半透明（はんとうめい）の傘（かさ）に黒い斑紋（はんもん）がうっすらと浮かぶキノコ。

平時（へいじ）であれば絶対（ぜったい）に食べない謂（いわ）れのある品（しな）。

暗い月の光を浴びて育ったというキノコは食べた者に魔法（げんかく）を見せてくれる。

故にキノコは悪夢の中で夢を見る為の道具（どうぐ）である。

酔狂（すいきょう）な逸品（いっぴん）ではあるが実際に口にしたことがあると嘯（うそぶ）くモノは少なくない。

それは一つの憧（あこが）れなのだろう。

私もいざとなれば口にするだろうが、いざまでは勘弁（かんべん）したい。

謂れもそうだが、怪しげな商人から手渡されたコレを口にするときは

最後の手段だと決めている。

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