鉄柱の林
第123話
世界を旅していると、変わった風景にお目にかかる事があるが、ノイマルクの東部一帯では、帝国でも有数の奇妙な光景が見られる。そこには基本的に、樹木が成長せず、草もほとんど生えない赤茶けた荒野が広がっているのだが、木が育たない代わりとばかりに、別のあるものが林立していた。
「……錆びた、鉄?」
その角張った赤茶色の“柱”に近寄ったアルフェは、小首を傾げてつぶやいた。
「これが全部……」
柱は一本だけではない。この荒野には、数え切れないくらいの大小の鉄柱が、見渡す限り一面に立ち並んでいるのだ。
ノイマルクの主産業は鉱業である。特に鉄鉱の産出量は凄まじく、一説には、帝国内に出回る鉄の三分の一はノイマルク産だという。
そしてその大部分が、この鉄柱の林から切り出される。地面に埋まっているものを掘り出す必要すら無い。木を伐採するかのごとく、立っているものを切り倒すのだ。おまけに普通の鉄鉱石とは、鉄の純度も桁違いである。すなわち、この奇妙な林こそが、ノイマルクの鉄生産の要であった。
砦にいた魔術士が説明してくれたのだが、ここに鉄柱が生える原因は、土質と魔力が複雑に絡み合っているらしい。元々金属を多量に含む地面に、温泉脈と共に流れる魔力が作用して、この景観を創り出している……のだそうだ。
魔術士という人種は、ひょっとしたら自分たちに分からないことを、全て魔力のせいにしているのではないだろうか。原理の説明を話半分に聞いていたアルフェだったが、めまいがしそうになる目の前の光景は現実だった。
――リーフさんあたりが見たら、喜びそうですが……。
エアハルトで出会った少年魔術士の事を思い出しつつ、アルフェは見上げていた鉄柱から離れた。まずは、冒険者としての仕事をこなさなければならない。彼女は歩きながら、ベレン将軍の依頼内容を思い出した。
その依頼とは、この一帯に出現した、大量のエレメンタルの駆逐であった。
この鉄柱地帯は、一部が結界の範囲外に入っている。鉄柱が生み出されるのは魔力が原因と言ったが、結界外ではほぼそれと同じ原理で、各種のエレメンタルが湧いて出るのだそうだ。
エレメンタルは魔物の一種である。その種類は非常に豊富だ。土のエレメンタルや水のエレメンタルなど、アルフェが遭遇し、戦ったたことがあるものも多い。彼女の師であるコンラッドは、大山脈で巨大な溶岩のエレメンタルを倒したと自慢していた。他にも、空気や雷のエレメンタルなど、とにかくあらゆる自然物や現象が、エレメンタルになり得るのだ。
――正確に言うと、エレメンタルとは魔力ではなく精霊です。
砦の魔術士はそうとも言っていた。
精霊とは何かとアルフェが尋ねたら、意志を持った魔力だと答えられた。その小さな精霊達が集合して、自身と親和性の高い、なにがしかのものを動かすのだという。どうして魔力が意志を持つのかと聞いたら、その魔術士は答えられなかった。
エレメンタルは、他の魔物のように、大挙して人里を襲うことはまずない。しかし、放っておけば加速度的に増え、更に自分に近づく者には容赦なく攻撃を浴びせるため、定期的に駆除しなければ、ノイマルクの鉱業に多大な悪影響が出る恐れがあった。
「どうでした? ノイマルクの外から来た人は、皆驚くんですよ」
馬車に戻ってきたアルフェに、案内役の若い兵が声をかけた。地元の名所を紹介する彼の顔は、どこか自慢げであった。
彼を含めて、アルフェに付いて来たノイマルク兵は四人いる。案内役というよりも、アルフェがきちんと仕事をするかどうかの見届け役と言ったほうが正しいかもしれない。ちなみに、ここにフロイドは居ない。あの男は、こことは違った別の場所で、アルフェと同じようにベレンからの依頼をこなしているはずだ。
「目視できる範囲だけで、相当数の敵がいました」
アルフェは兵が求めていたであろう反応を返さず、事務的な口調で仕事の話をした。年下の娘のつれない態度に、兵は少し気を悪くしたようだったが、アルフェを案内するのは、筆頭将軍からの直々の命令である。話を続けた。
「いつもは大勢で、数日がかりで掃討するんです。鉄のエレメンタル以外にも、たまに手強いエレメンタルが混じりますから、精鋭じゃないと参加すらさせてもらえません」
「……」
「まあ、ベレン将軍が、ここの敵を一人で全部倒したことがあるっていうのは、軍の伝説ですけど――」
兵が濁した言葉の先には、「ベレンでなければできない事を、お前などが本当に?」というアルフェに対する不信が透けて見えていた。
ベレンはノイマルク軍の英雄で、彼のような兵卒にとっては憧れの対象である。そして、数日前に軍に加わったこの謎の娘は、その憧れの英雄と同じことをやるために、ここに来ているという。兵が多少の反感を抱くのは、無理も無いとは言わないまでも、自然なことだったかもしれない。
「何日で?」
「――は?」
「ベレン将軍が、一人で、何日で、ですか」
鉄柱の林を眺めながら、アルフェは無機質な声で、兵に聞き返した。
「えっと……、半日で、だったかな」
「……そうですか」
「無理なら、早めに無理って言った方が良いですよ」
そこでアルフェが表情を曇らせた理由を、彼女が恐れを成したからだと思ったこの兵は、アルフェという少女のことを、全く理解していなかった。
アルフェが見た感じ、勝てるか分からないほど強力な魔物は、視界内には存在しない。時間さえあれば、普通に全て駆逐できるだろう。彼女が表情を曇らせたのは、この広い平野を半日で掃討したという、ベレンの実力に驚嘆したからだ。
きっと自分なら、急いでも二、三日はかかる。単純に考えて、その時間の差が、アルフェとベレンの力の差だ。
「将軍は特別ですからね。同じことができる人間なんて、帝国には――」
「三日後くらいに、ここに回収に来てください」
「……え?」
「私は仕事にかかりますから」
そう告げると、うろたえる兵に目も向けず、アルフェは鉄の林の中に入っていった。
鉄柱の林に入ると、早速大きな鉄のエレメンタルが見つかった。
これだけ鉄がある場所だから、当然だろうとアルフェは思った。
その敵の見た目は、かつてゴーレムクラフターのリーフが作った、アイアンゴーレムに似ていた。今目の前に居る個体のほうが錆付いていて、人型をとりながら、どこか歪な形をしているのが違いだろうか。
アルフェが無造作に歩み寄ると、エレメンタルは振り向いた。一応はこれにも、前と後ろの区別があるのだ。
エレメンタルが振り向きながらなぎ払った手は、むなしく空を切っている。攻撃を避けながら敵の懐に入ったアルフェは、エレメンタルの胴に右掌を触れ、足を踏み込んだ。
鉄の人型は後方に勢いよく吹き飛び、鉄柱の一つにぶち当たって止まった。
活動を停止した今の個体に、アルフェは目もくれようとしない。彼女は軽く腕を振りつつ、自分の動作を頭の中で反芻している。その顔は、あまり納得していないようだった。
次にアルフェが見つけたのも、同じく鉄のエレメンタルだった。さっきよりは少し小さく、人間大の個体だ。
アルフェがまたしても無造作に近づくと、敵は彼女に気が付いた。襲いかかるエレメンタルの攻撃をかわして、アルフェは、今度は中段の蹴りを見舞った。
人型は吹き飛ばない。その場に激しく倒れただけだ。
――……軽い。
止めを刺すために、倒れた相手の頭部を蹴り飛ばしてから、アルフェは思った。自分の攻撃は、やはり軽い。
戦いの中で課題を見つけて、改善すること。アルフェは最近、常にそのことを意識していた。特に今、アルフェが問題だと思っているのは、自分の攻撃の威力の不足だ。
――特に、蹴り技が軽い。お師匠様の蹴りは、こんなものじゃなかった……。
比喩でなく、蹴りで小さな竜巻を起こせるほどに、コンラッドの蹴りの威力は凄まじかった。比べる対象がおかしいのかもしれないが、彼女が倒したいと願っている相手は、そのコンラッドの攻撃が、まともに通用しなかった。
――……体重が無いから? もっと太った方が……。
アルフェは無言で、自分の二の腕や腹をつまんだ。皮膚の下には硬い肉が隠れているものの、太さはベルダンにいた頃と、あまり変わっていない。
人より少し多く食べている自覚はある。しかし、それでもアルフェはあまり太れないのだ。身長は少し伸びたが、同年代の平均からすると、小柄なほうだろう。
今日のアルフェは、愛用の鋼のグリーブを身につけていない。意図的にそうしていた。そもそもベルダンであの装備を購入したのは、体重の不足をごまかし、蹴りの威力を上げるための方便だ。だが、いつまでもそれに頼っていると、肝心な時に力を出せない可能性がある。アルフェは根本的な改善を図りたかった。
それと、グリーブの金具が痛んできて、あまり乱暴に使うと壊れてしまいそうだからという理由もあった。あれは、ベルダンからの思い出の品だ。できれば失いたくはない。
――しかし、多少体重を増やした所で、根本的な解決にはならない……。やはり、お師匠様の技を、少しでも再現した方が。
彼女には、一つ試みている事があった。それは、彼女がまだ教わっていない、コンラッドの技を記憶から再構成することだ。
生前のコンラッドがアルフェに伝えたのは、彼の技術のほんの一部だった。実際に、アルフェも彼が使っているのを見ただけで、未だに修得していない技がいくつもある。それ以外にもきっと、アルフェが知らない多くの技があったのだろう。
アルフェの使う技の全ては、コンラッドの遺志であり、彼の生きた証拠である。コンラッドの血と汗と想いが作り上げた、大切な結晶だ。彼の弟子を名乗る以上、それを継ぐのも自分の役目だと、アルフェは固く信じている。
――見たことがあるものなら、再現することはできるはず。確か、お師匠様は……。
コンラッドの一挙一動を思い出しながら、アルフェは次の獲物を探した。
◇
「え?」
砦に突然やってきた軍監が放った言葉に、ベレンは一瞬耳を疑った。
「もう一度言おう、将軍、ルゾルフ様がお呼びだ。至急、ブレッツェンにおもむき、御前に出頭せよとのお言葉である」
「な……」
ノイマルク伯ルゾルフが呼んでいる。軍監がベレンに伝えたのは、伯の居城があるノイマルク首都ブレッツェンへの出頭命令だ。普通の状況ならば、二つ返事で了解しただろう。だが、戦況が予断を許さない今の状況下で、軍の最高指揮者たるベレンに前線を留守にせよというのは、あまりにも考え無しの命令に聞こえた。
そうするしかない重要な用件があるならやむを得ないが、ベレンには経験上、そうではないと分かっている。
ルゾルフは、気分に任せて軽率な振る舞いをする激情家だ。ベレンは忠義に篤い男だが、その彼でさえ、主君をそう評せざるを得ない。
「そんな――」
そんな馬鹿なことができるか。そう実際に言葉にしかけて、ベレンは咄嗟に口を閉じた。
軍監はじろりとベレンの顔をにらんでいる。伯はベレンに同意を求めていない。これは命令なのだ。
「……分かりました」
「よろしい」
軍監は、満足げにふふんと鼻を鳴らした。
この軍監は代々の貴族で、ベレンは平民からの成り上がりだ。だから、ノイマルク軍の第一人者であるはずのベレンが、横柄な態度をとる相手に向かって、丁重な言葉遣いをしている。
「確かに伝えたぞ、将軍。……それにしても、ひどい茶葉だ。もう少し、礼節というものを知りたまえ」
ベレンがもてなしに出した茶に口を付け、露骨に顔をしかめてから、軍監は帰っていった。
一人になり、しばらく考え込んでから、ベレンは砦の練兵場に降りた。そこにあった訓練用の人形を、無言のまま、渾身の力で一発殴りつけると、ベレンは自身の次に位の高い将校を見つけて、声をかけた。
「どうされました? 将軍。荒れてらっしゃるようですが」
ベレンに殴られた人形は、砦の石壁まで吹き飛んで、文字通り粉々になっている。
「ルゾルフ様からの呼び出しを食らった。俺はブレッツェンに行ってくるぞ、ジェイムス」
「呼び出し……? ああ、それで……」
将校はそれだけで、ベレンの不機嫌の理由を悟ったようだ。さりげなく人気の無い方に歩きながら、二人は声を落として会話をした。
「ルゾルフ様は、将軍に何を命じるつもりでしょうか」
「知らん」
「……エドガー・トーレスの件ですかね」
「……そうかもしれん」
かもしれないというより、確実にそれに関する事だとベレンは思っていた。
神殿騎士団のパラディン、エドガー・トーレスが敵方についた。それを耳にしたルゾルフが、怒り狂ってベレンにキルケル大聖堂への進撃を命じる。ベレンたち前線の責任者が一番恐れているのは、そのシナリオである。
だから伯には、パラディンの件をあえて報告していなかったのだが、こんな大事を秘密にしておくのは、いくらなんでも無理があった。きっと、どこかから噂が漏れ出たのだろう。
「しかし、エドガー・トーレスは、交渉に応じてくれそうだったのでしょう?」
「ああ、それはすんなりいった。意外にな」
ベレンたちは、神殿騎士団との全面抗争を避けるために、水面下でエドガーとの会談の機会を設けようと試みていた。エドガーがトリールに入った時から、そのための工作を開始し、既に密使がエドガーとの接触に成功していたのだ。
感触は悪くなかった。事前に得ていた情報通り、エドガー個人は、話の通じる穏当な人物のようだった。
「トーレス卿……神殿騎士団の要求は、ノイマルク領内での“例の事件”の調査権だ」
例の事件という言葉を聞いた瞬間、将校は不安そうに周囲を見渡した。誰も聞き耳を立てていない事を確認して、次に口を開いた時、将校はさらに小声になっていた。
「例の……、あれは終わった話では?」
「俺たちにとってそうでも、騎士団にとっては終わっていないということだろう。実際、まだ犯人は見つかっていない」
先年、ノイマルク領内で何者かに殺害されたパラディン。彼らが話しているのは、その極秘事項だ。
「しかし、ノイマルク人の仕業で無いという事は、納得してくれたのでは」
「あちらさんにも、色々と事情があるんじゃないか」
「勝手に領内で死んでおいて、迷惑な話です」
「全くだ。しかし、調べたいなら調べてくれればいい。こちらに痛い腹は無い。調査権さえ寄越せば、敵対する理由は無いと言っているんだ。それで済むなら安い話さ」
そんな風に、エドガーとの交渉は、既にある程度上手く進んでいたのだ。重大な懸念事項が一つ減りそうで、成り行きを知る者たちはほっと胸をなで下ろしていた。
だがそれだけに、このタイミングで、ベレンに対しルゾルフからの呼び出しがかかったのは不穏だった。
「いつもの、下らない用件であって欲しいですね」
将校の言葉は主君に対する暴言に近かったが、ベレンは否定しなかった。
実際、「顔を見たかったから呼んだ」くらいのことは、ルゾルフなら言いかねない。この状況なら、むしろそうあって欲しいと思う。
「俺はすぐに発つ。可能な限り早く戻るから、俺が留守にしているということは、兵にも知らせるな」
将校が真剣な顔で頷く。言葉通り、ベレンはその日の夜中、供も連れずに一人で馬を走らせた。
◇
冬の太陽が傾き、荒野に林立する鉄柱が、幾本もの長い陰を伸ばしている。
その中に点々と倒れているのは、どれもこれも金属のエレメンタルだ。ほとんどは赤黒い鉄で、時たまそれ以外の種類が混じっている。これらは、全てアルフェが一人で倒した。
動かなくなったエレメンタルの身体は、純粋な鉱物の塊である。持って帰ることができれば、鍛冶屋などで、それなりの値で引き取ってくれるだろう。
一日でアルフェが倒した敵の数は、かなりに上る。鉱石の量に換算すると、百人の鉱夫が、数日かけて切り出しても足りないくらいだろうか。
冒険者的な論理からすれば、倒した魔物の身体は、倒した人間のものになる。しかしノイマルクでは、アルフェは小石一つ拾うことも許されていない。鉱業を主産業とする領邦だけあって、特に鉱物の売り買いや領外持ち出しに関しては、ノイマルクでは非常に厳しい制限がかけられている。
それを少し残念だと思う気持ちは片隅にあったが、アルフェは基本、己の鍛錬のことだけを考えて魔物を掃討していた。
そして一日目の日が暮れようとしている今、彼女が取り組んでいるのは――
「――ぐっ!」
アルフェの胸に、一風変わったエレメンタルの拳が直撃した。吹き飛ばされたアルフェの身体は、近場の鉄柱にぶつかって止まる。ごきんと、大きな音が一帯に響いた。
このエレメンタルの薄紫の全身は、紫陽石という金属の一種で構成されている。この金属は鉄よりも稀少で、魔力との親和性が高い。したがって、これまで相手にしてきた鉄のエレメンタルよりも、丈夫で動きが鋭かった。
「かはっ――!」
今度は腹を打たれて、アルフェの身体がくの字に折れた。
さっきから続けて、彼女は敵の攻撃をまともに食らっている。
「く――!」
避けられないのではない。
「ぶふっ!」
避けていないのだ。
繰り返し繰り返し、彼女はかわさずに敵の攻撃を受け止めて、自分の耐久力の限界を測っていた。
この魔物の攻撃では、己が死なないと分かっているからやっている。
アルフェに聞けば、彼女はそのように答えるはずだ。だがもし、この光景を他人がみれば、その者は彼女を何と評価するだろうか。
「ごほっ!」
一際強い打撃を食らって、アルフェは地面に四つん這いになった。そんな彼女の後頭部を、エレメンタルの足が踏み割ろうとする。しかしその攻撃は、目標に届く前に停止した。
「ふぅ……」
エレメンタルの足裏を、アルフェの細腕が支えている。小休止とばかりに息をついた彼女は、声に出さずに思考した。
――硬体術の精度は上がっている。防御は、かなり上手くなった。
生身で魔物の攻撃を受け止めることを、防御と表現して良いものだろうか。それはともかくとして、アルフェはそう思った。
今のアルフェが硬体術を全開にすれば、鋼以上の硬度を出す事ができる。実際に、彼女が吹き飛ばされてぶち当たった鉄の柱は、アルフェの身体の堅さに負けて、へこんだり折れ曲がったりしていた。
ただし、鋼を斬る程度ならフロイドにすら可能だ。パラディンのロザリンデ・アイゼンシュタインに至っては、巨大な闘技場の建物を、一刀で真っ二つにして見せた。まだまだ技の精度を高める余地はあっても、他の部分で成長が無ければ、そういう強敵には勝てないだろう。
――でも、これを応用させれば、まだ何かできる気がする。
それでもアルフェがこんな無謀をしているのは、硬体術を応用して、何かを閃けないかと思ったからだ。
――硬くなったり、速くなったりするだけじゃない。魔力の流れを操作すれば、もっと色々なことができるはず。
エレメンタルが、更に足に力を込める。しかしその下にいる少女は、びくとも動かず考え込んでいた。
――何か、できること……。
エレメンタルが全体重をかけると、大地にびしりとひび割れが走った。アルフェの両膝と片手が、陥没した地面に深くめり込む。
――あ。
それを見て、そうかとアルフェは閃いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます