【設定・備忘録】

地理案内

【帝国】

 大陸北西部に領土を持つ大国。皇帝直轄領と大小の領邦によって構成される。特に有力な八大諸侯によって皇帝が選出・承認されるという選挙王制をとっている。ここ百年ほどは諸事情で皇帝位は空位となっており。直轄領を帝国元老院が代理統治するという状況が続いている。それもあって、急速に地方分権化が進んでいる様子。国名は特になく、ただ「帝国」と呼び習わされている。

 帝国は全体的に南高北低の地形で、北部は内海、西部は外海に面している。外海は水棲の魔物が大量発生するため船舶の航行が実質的に不可能。内海は海を挟んだ他大陸との交易にも利用されている。帝国の気候は比較的穏やかで、最も寒いラトリア地方でも平野部における冬期の積雪はそれほど多くない。

 他国との関係は、先述の内海を介した交易が主である。結界に領土の形が制限されている関係上、ドニエステを始めとする陸上の「隣国」とは、むしろ行き来が少ない。


【ラトリア】

 帝国八大諸侯の一人、ラトリア大公が治める領地。帝国南東部の山脈沿いに位置しており、ドニエステ王国領と山脈を挟んで隣接している。主な資源は山脈で採掘される鉱物や木材など。他には学問の都として知られており、大公の膝元には帝国内でも名の知られた魔術学園が設置されている。

 山を越えたドニエステの侵攻を受けた。


【エアハルト】

 帝国八大諸侯の一人、エアハルト伯が治める領地。帝国北東部に位置する。近年は北方諸国との交易の活性化や政治改革を推し進め、帝国諸領の中でも産業振興と中央集権が著しい。実力主義・成果主義で、ラトリアの魔術学園をモデルに建設された魔術研究所は平民からの登用も盛ん。三大観光スポットは、ウルム大聖堂・エアハルト城・大劇場。


【ドニエステ王国】

 ラトリアよりさらに大陸の奥地にある王国。帝国と比べて冷涼で土地が痩せているため、峻厳な性格の国民性だという。しかし、帝国から王国に実際に訪れたことがある者は限られているので、得られる情報は少ない。


【神聖教会】

 帝国をはじめとするいくつかの国家で信奉されている。神聖教会が崇める神は、人類に結界を与え安寧をもたらした。各地の教会を運営している他、教会領も保有する。本山は複数存在し、帝都にある大聖堂もその一つ。日常的には、各地の礼拝所や聖堂で説教活動を行ったり、婚姻や葬儀等の儀礼、祈祷や傷病人の治癒を行ったりしている。


【神殿騎士団】

 神の意志を達成するために教会の命を受けて活動する。一般人からは混同されていることも多いが、厳密には教会とは別組織。総長を頂点として、数名の団長が各団を預かる。教会と同じく、成員には細かく位階が割り当てられている。その位階とは別に、最上級の戦闘力を持つ騎士たちをパラディンと呼び、特別な任務が与えられる慣例がある。


【帝国自由都市】

 ベルダンのように、帝国各地には皇帝直属の自由都市が存在する。そうした都市はほとんどの場合、市議会・市参事会が市政を運営している。冒険者組合は、このような都市における同職組合=ギルドの一つとして発足したものが、都市間で連携をとるようになって発展してきた。


【辺境】

 結界の外や、結界の端で極めてその効果の薄い地域をそう呼ぶ。魔物が出現する以外は、基本的には結界の内側と何も変わらない。辺境にはしばしば、資源の獲得や交易上の都合から、開拓村と呼ばれる共同体が建設される。しかし、そうした開拓村は領邦からの積極的な支援がない限り、短期間で崩壊する場合が多い。


【大森林・大山脈】

 帝国を南西に向かって進み結界の外に出ると、漆黒の大森林に行き当たる。結界から離れるほど魔物が強力になっていくのは常識だが、大森林にはどのような種類の魔物が生息しているかすら定かではない。一説には巨大な亜人種の王国があるとも、地獄への入り口があるとも言われている。

 そして、大森林のさらに奥には大山脈がそびえている。ここにたどり着いた人間は有史以来わずかで、帰還した彼らは例外なく英雄と呼ばれた。


【結界】

 人間の住む領域には魔物を寄せ付けない不可視の結界が張られており、教会がそれを管理している。結界は基本的に、各地の大小の聖堂を中心にして同心円状に広がっている。神代の時代に作られたとされており、今の教会には新しい結界を創り出す技術は残されていないという。結界外を走る主要な街道には簡易結界と呼ばれる石柱が設置されているが、これには魔物が嫌う匂いを発する香草が入っているだけで、本物の結界とは根本的に違う。


【冒険者組合】

 主要な都市には大体存在し、ギルドの中でも最も一般的で、最も数が多いと言われている。主な仕事は魔物退治・物品調達・護衛・治安維持・情報収集・戦闘・雑用等々、要するに何でもする。市民には重宝されているものの、ならず者の集団として低く見られていることも確か。都市やギルドマスターの性格によって印象ががらりと変わる。例えばベルダンの冒険者組合は、“冒険者組合の中では”最上級に紳士的で友好的。


【魔物】

 魔物という呼び名は慣習的なもので、特に根拠があるものではない。実際に、魔物と動物の違いは生物学的には証明されていないという。魔物は「結界の外にいる」「人間に敵対的な」生物。動物は「結界の中にいる」「人間の役に立つ」生物という程度である。しかし、エレメンタルを始めとして明らかに生物でない存在まで魔物に含めているなど、議論の余地が大きい。


【アンデッド】

 魔物に対する上記の定義から、魔物と一緒くたにされることが多い。「死霊が関わる存在」という定義ができるため、魔物と同じに扱うのは乱暴だという専門家の指摘がある。しかし、結界の外では発生しにくく、人間に害を及ぼすという点では魔物と同じで区別する必要を感じないというのが、おおかたの一般人の反応である。


【亜人】

 オークやゴブリン、オーガ等を他の魔物と区別してこう呼ぶ。鳥や獣型の魔物よりも知能が高く、人間と似た共同体を築いている場合もある。オークとゴブリンには人間の言語を教え込むことが可能で、地方によっては彼らを奴隷的な労働力として使用している。


【魔術】

 魔力に手を加えて、何らかの効果を引き出す方法を魔術という。治癒・破壊・占星・召喚・変性・錬金などの一般に受け入れられている魔術体系もあれば、心術のように聞いた者が眉をひそめるようなものもある。死霊術の遣い手に至っては、教会関係者に見つかれば即処刑される。

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