仮面の王 ~KING OF MASK~

アカサタ七斗

Install Start 王の種

「博士、何故に被験者があのような男なのですか?」


博士と呼ばれた男は急に後ろから質問されたことに少しビビッてしまったことを必死に顔に出さないようにしながらも指紋が付きまくったメガネを大量の資料が乱雑に置かれたデスクから取り出し、背後に音も立てずに忍び寄って来ていた美人の研究助手に振り返った。


「おお! なんだ! サナダ君か! 全く気が付かなかったぞ... この部屋にいるときくらい普通にしていても良いのだがな...」

「癖ですので...」

「まあいい... ああ それで被験者なんだが...別に問題はないだろう?」

「折角なんですし、もう少し強固な意志を持った...というか兵士、最低でも警官などの方が良かったのでは?」

「サナダ君はそういう男性がタイプなのかね?」

「違います」

「即答だな... というか彼が適任なのだよ 人に流されやすい何にも染まっていない無垢な被験者の方がね それに知識もある程度ある」

「そういうものですか...」

「ああ。 というかもうこんな時間だ。もうすぐ被験者が来てしまう! 早くサナダ君は移動をしてくれたまえ」

『了解です』

「今は脳内通信しなくても良いのだが...」














ピピピピピピピピ!!


「...さい!.......ん? あー..... もうこんな時間!?」


一人暮らしには十分なほどの広さを誇る部屋に昨夜セットしていたアラーム音が鳴り響く。


時刻を確認したパジャマ姿の男....彼、セリザワ・カクは大急ぎでベッドからぬくぬくと起き出し、床に準備という名目で放り捨てていた今日の服に着替える。


「いって!」


ちょうどズボンに足を片足いれた瞬間に重心を崩し、セリザワの21歳男子の体にしては頑丈な図体が物で散乱した床に激突した。


脇腹に嫌な痛みを感じる。よく見ると未開封のダンボールの箱の角が直撃したようだ。紙の塊でも尖っていれば痛い。


この物で散らかった部屋にはセリザワしかいないのだが、やりようもない小さな怒りを光る壁にぶつけたくなった。


「おい!FIS! 昨日あれだけ念入りに起こしてくれと言ったのになんで時間ギリギリなんだよ」

『申し訳ございませんカク様 起床時刻の30分前からアラームはかけていたのですが、カク様のお耳には届いておらなかったようです』

「今日は大事なインターン初日なの! 遅れたらどうすんだよ!」

『その場合はリモートワークを推奨します』

「それは無理なんだって」

『・・・』

「なんか言ってよ」

『ご用件はなんでしょう?』

「あーーもういい! 念の為確認なんだけどさリンク社からのメッセージで今日の服は私服で良かったんだっけ?」

『私服可 以上です』


セリザワが話しているのはこの部屋に搭載されたFISというスマートファンクションだ。主に部屋に住んでいる住居者のサポートをしてくれるサービスである。彼の妄想癖による独り言からではない。FIS自体も今では90%以上の家庭に普及しているので特別な存在でもない。声による会話も可能だが、壁に映し出されたインタフェースからも操作可能である。


昨夜、事前に一通りの身支度を済ませていたセリザワはものの数分で出る準備を完了すると一言FISに言う。


「行ってきます」

『いってらっしゃいませご主人様』


このセリフは彼の趣味である。







–––––––––40分後。


セリザワはリンク社が入るビルの前まで来ていた。


「よしっ! 時間的には大丈夫だ。 あと5分待ったらエントランスに入ろう」


リンク社。今話題の人間とロボットの新たなる豊かな時代を作り出すことを企業理念に発足された大企業であり、セリザワが今通っているデイス大学の人間知能AIネットワーク研究室と共同で開発を行っている企業でもある。


今回セリザワは研究室の担当教授であるビル・クラウス教授の推薦でリンク社のインターンシップに採用されることとなっていたのだ。大企業のそれも研究部署にインターンに行ける機会などちょっとした宝くじに当たるほどの奇跡であるのでセリザワはいつも以上に張り切っている。


エントランスに入る前に巨大なガラスに反射する自分の姿を確認し、身だしなみを適当にチェックすると音もなく開くガラス製の自動ドアを通り、受付へと向かった。


「うお...さすがに大企業のエントランスはすごいな... 空港かよ」


リンク社のエントランスはセリザワが想像していた以上に巨大だった。天井付近にはホログラムで表示されたリンク社を宣伝するムービーが流れており、左右対称に配置されるように何台ものエスカレーターがあった。空港カウンターのように横に長く設置された受付には受付ロボットではなくCAのような格好をした綺麗な女性達が並んでいる。


受付などの作業は中小企業やベンチャー企業ではロボットが対応しているのだが、リンク社ほどの大企業になれば人間が応対するのだろう。やはり人間を相手にする仕事には無機物よりも同じ人間の方が受けが良い。資金面に余裕があることをアピールしたいのかもしれない。


早速、空いてる受付かつ好みの受付を探すと再度身だしなみを整え、向かう。


「あの すみません。この度こちらのインターンシップに参加させて頂くことになったデイワ大学3年のセリザワ・カクと言う者なのですが...」

「セリザワ・カク様でいらっしゃいますね」


そう言うと受付の女性はセリザワの位置からは見えないところに設置されているパソコンに何やら入力をし始めた。そして数秒後。


「ただいま確認がとれました。ヒューマンネットワーク研究室は154階になります。セリザワ様から見て右手に見えますエスカレーターを登って頂くとエレベーターホールがありますのでそこからお登り下さい。こちらが入社許可証になります。」

「ありがとうございます」


若干緊張を隠しきれないながらも入社許可証を貰ったセリザワは154階へと向かった。


リンク社が所有するこのリンクタワーは222階立て。一昔前だったら超高層ビルの枠組みであっただろうが、今や国家よりも権力をもつ大企業が持つタワーとしては標準となりつつある。階数がぞろ目なのはわざと臭い。


エレベーターから見える景色は最高だ。巨大なビルが何本もまるでつららを逆さまにしたようにして生えており、その間を高速交通線が立体的に伸びている。そしてその間を縫うようにして高速道路が通っていた。それはまるで毛細血管の中を登っているような感覚にさえ陥るほどだ。空を時折飛んでいる飛行タクシーや警備ドローンがハエのようで少し邪魔だなと思ってしまうが、それも絵になってしまう。夜はどんな絶景が見えるのか少し楽しみである。


そんなことを考えているとすぐにエレベーターは目的の154階に到達した。


エレベーターから降りると曇りガラスで覆われた長い通路が現れた。曇りガラス越しからは何やら沢山の人の影が見える。この長い通路も仕事に追われている職員が早足で歩きながら何やら議論している集団が何組か見受けられる。


「完全にアウェーだ」


そう言ってしまいたくなるのも仕方ない。154階に来たものの完全に部外者扱いである。何故に受付の人はもっと詳細に語ってくれなかったのか。少しイライラするが綺麗な方であったのですぐにその気持ちも消える。


1人で歩いていた職員を見つけ、なんとか勇気を出して話しかけてみる。ここまで来て部外者扱いではさすがに癇に障るしな。


「あの....すみません」

「ん! なんだ?」

「インターンで来たものなんですが...」

「ああ そう 頑張ってね」

「はい... それでヒューマンネットワーク研究室に行きたいのですが、どこに行けばいいのでしょうか?」

「そんなもんここはこのオフィスしかないんだからそこのドアを通ればいいでしょ」

「このまま入ってもいいですかね?」

「いいんじゃない? インターン生でしょ?」

「はい...」


なんともアバウトな感じだな...。大企業だから色々規則に厳しいかと思って下手に聞いたのに。いい気持ちはしない。淡白な感じも妙にムカつくがこれが仕事というものなのかもしれない。


今の時代、仕事をするのにも政府へ許可証を発行してもらう時代になってしまった所為か仕事を積極的にやろうとするものは前の時代も意識が高いものが多い。


「それで 君は誰か探してるの?」


興味なさげにそしてぶっきらぼうに職員が聞いてきた。


「はい ジル・ロルマン博士なんですが」

「ああ 博士に会いに来たのか 案内してやるよ ついてこい」

「ありがとうございます!」


当たりは少々きついが意外に気が利く人だ。


案内の後ろをついていくとオフィスの中を通り、会議室のような壁で囲まれた場所まで連れてこられた。


すると、そこには


「ん? おう! 来たか」


ヒューマンネットワーク研究室室長、ジル・ロルマン博士がオフィスチェアにもたれ掛かりながらセリザワを待っていた。正確にはオフィスチェアの背もたれの部分を背中で押したり引いたりしながら遊んでいたが正しい。


「あ! インターン生のセリザワ・カクと申します。 これからよろしくお願いします!」

「おうおう 元気で何よりだ! 僕はここで研究を行っているジルだよ まあもう知ってるよね?」

「はい」

「ハハハ! そうかそうか じゃあ早速だが研究室まで案内するよ ついてきてくれ」


移動が多いなということは決して言葉には出さずに営業スマイルで博士に応じると片手にコーヒーカップを持ったまま立ち上がった博士の後ろをついていく。


オフィス専用のエレベーターがどうやら備え付けられているらしく、それに乗り博士とともに159階まで登っていく。


「ところでだが、セリザワ君」

「はい なんでしょうか?」

「これから将来やりたいこととかあるのかね? 夢とか」

「そうですね... えー 将来的には人間の知能をサポートするAIの研究をしてみたいです」

「なるほど 君の研究室らしい答えだ 素晴らしい考えだが、楽しいかね?」

「えー まー そうですね 問題を解決するときに得られる達成感はなんとも言えぬ快感です」

「確かに研究にはその姿勢は重要だが、99%は辛い作業だぞ?」

「おっしゃる通りかもしれません が残りの1%は最高の味がしますよ」

「珍しい人だね インターンだからってそんな優等生みたいな返答しなくていいんだぞ これからは関係なくなるしな...」


短い期間だがこれからインターンを続ける間にはそのような硬い関係性では無くなってくるぞという意味なのだろうか。


「そうですか...まあ 正直言って研究以外に楽しいことが無いんですよね」

「そうだ この世の中には楽しみが少ない....ロマンもないな.... レッドラインを超えれば未知の世界が待っているというのにな」

「赤道のことですか? 確かにあのあたりは熱帯でリゾート地が多いとは聞いていますけど」

「まあ じきにわかるよ それより今回のインターンは結構ハードな内容だけど頑張ってくれ 期待しているぞ!」

「はい! 頑張ります!」


博士に案内され、とある研究室の中に通された。中には巨大なドーナッツ状の白い機械が置かれており、その機械の周りを分厚いガラスが覆っている。ガラスの外には何台ものディスプレイやコンピュータが並ばれており奇妙な部屋だというのがひとまずの感想だ。


ファンの回る音がこの部屋を占めている。


「これから簡単な実験をしたいのだが、協力してくれるかい? ただ寝ているだけでいいんだ」

「どんな実験ですか?」

「うーん そーだね ここはヒューマンネットワーク研究室って名乗っているだろう?その名の通り人間がキーワードなんだ。それで人間、特に脳を分析するためにあの真ん中の機械の中に入って欲しいんだよ。僕もやってるから心配はしないでくれ。この通り安全だ」

「わかりました」

「ありがとう じゃあ実験前に簡単なアンケートとサインをしてくれ」


博士に渡された数枚の紙を受け取り、適当に目を通しながら機械的に欄を埋めていく。ここまで来て何もせずに帰るわけにはいかないし、事務的な面倒臭い作業は早めに済ましておきたい。


何枚か記入していると、博士以外の研究者らしき者たちが数人入ってきた。実験装置の準備に取り掛かっている。作業のテンポがやけに早い。


「じゃあ セリザワ君、そこに横になってくれ。そのまま台を動かしていくから」


ベッドほどのサイズの細長い台に横になる。すると、今まで眠っていた巨大なドーナッツ型の機械が動きだした。ヘッドフォンをしていても防ぎきれないほどの音が鳴っているようだ。


なんか少し不安になってきた。


しかし、そんな不安も束の間、台はどんどんとドーナッツの穴の内部へと入っていく。


そして、徐々に意識が薄れ始めていく。










『Brainwashing Buster Install Start』

『King Install Start』

『Brain Machine Device Platform Install Start』

『Outside Install Platform Install Start』

『Soldier Install Start』

『Hacki....』



なんだ...? 何が起きてる....?















「ん?.....?」


先ほどから己の顔の肌を叩きつけるかのごとく強風が吹き荒れている。


そのことに気づき咄嗟に手を顔の前に翳し、邪魔な強風から顔を守る。


(というか 何故こんな風が吹いてんだ?)


先ほどまで研究室で横になっていたはず....


少しずつ目を開く。眼球に入ってくる光が眩しくて開けるのが辛いがそれでも今の状況を確認したい。


そして、完全に目が慣れ始めた頃、セリザワ・カクは自分の今いる場所を確認した。


「なっ!? 屋上?」


ここはビルの屋上だった。周りを見渡すと、巨大なビルがいくつも生えている。屋上だがどうやらここはリンク社の屋上ではないようだ。なぜならここから数百メートル先にリンクタワーが聳え立っていたのだ。


ガタんっ!


立ち上がろうとした瞬間、何か重い物体が地面に落ちたような音が聞こえた。


みると銀色のジュラルミンケースが転がっている。


「なんだこれ?」


意味のわからない出来事の連続にまだ状況が把握できていないが、自分の体の周りにはジュラルミンケース以外にもいくつもの子供が入れそうなほどの大きさの黒い箱、というかほぼキャリーケースが10個ほど転がっている。


『セリザワ君 起きたかね?』

「なっ!」


突然の聞き慣れた声に思わず声を出してしまった。


仕方がないだろう。なにせ周りには誰もおらず、携帯もないのに頭の中から博士の声が急に流れたのだから。


「ジル博士ですか...?」

『ああ そうだよ 無事に起きられてなによりだ。 なにか異常はないかね? 体の違和感とか?』

「そ...そうですね 別に体は特に大丈夫ですけど.... というかここはどこなんです? なんかどこかのビルの屋上なんですけど」

『詳しい説明は後にしよう これもまだ実験途中なんだよ えーと....セリザワ君に異常はないようだ....ビム君、ソフトの方を起動してくれ!』

「あ...あの...博士?」

『あー すまんすまん こっちの話だ これからちょっと頭痛がするけど我慢してくれな まあ男だから大丈夫だろう』

「え? なんですか? どういうこ––––––」


博士に質問をしようとしたその瞬間。


激しい頭痛に襲われた。まるで木刀でグリグリと押し込まれたような逃げられない痛みが頭の内側を覆う。


「ああああ!!! うううっ!」

『あともう少しの辛抱だ 頑張れ!』


頭を振り、気を紛らわそうとしても取れない痛みがしばらく続くと....


(ん? なんかいつもと違う...)


頭痛が消えた瞬間....。いつも見ている景色に違和感を感じた。風景に変わったところはないが、何か変だ。それにいつもよりも自信が漲っているように感じる。


「なんか変...」

『お! 違和感を感じるか! まあ最初はなんのことだかわからんだろう 君の思考速度が上がり、内面に変化が表れ始めているという証拠だよ! どうやらInputは成功したようだね それではOutputの方を確認しよう! セリザワ君!』

「はい!」

『そこに銀色のジュラルミンケースがあるだろう』

「ええありますね」

『それ以外の箱を全て開けてくれ』

「...はー わかりました」


先ほどから博士は興奮しながら色々説明をしてくるがなのことだがさっぱりわからない。だが、ここは言う通りにキャリーケースのような黒い箱を順に開けていく。


『えーと 今セリザワ君が開けたやつは右腕につけるやつだ つけてくれ 装着方法は言わなくてもわかるだろう 人間工学的に作ったからな! ハハハ!』

「あー はい」


箱の中には黒色のロボットアームが入っていた。鰻をお腹から割いて開いたようになっていてアームの中は空洞だ。要するにこの空洞部分に腕を突っ込むのだろう。ロボットアームを取り出し、おもむろに腕を入れていく。


すると、


ウイーン ガチャン!


自動でロボットアームが腕の形に合わせて巻きつきてきた。少々重いのが気になるが。


「これでいいですかね? なんか重いんですけど...」

『あーそれはまだ起動してないからね よし! その調子で左腕も装着してくれ ちなみに足も腕と同じ要領だ』


博士の指示に言われるがまま 左腕、右足、左足をはめていく。


『よし いいね! それじゃあ 胴体をはめよう! あっ! 先胴体の方が良かったかー まあいい』

「じゃあ 装着しますね」


防弾チョッキのようなベストを装着する。これはどんな装置なんだろうか。


『あー それちゃんとつけてな 心臓を弾丸から守るには必要だ』

「え!?」


今聞き捨てならないことを博士が言った気がする。弾丸だと...!?


「博士! それはどういうことですか!?」

『あー まあ例えだよ例え そのくらい丈夫なベストってことさ』

「ちょっと よく状況がわからない時にそういう冗談はやめてくださいよ」

『....すまん....すまん じゃあ 次はローブを羽織ってくれ』


箱の中から茶色のローブを取り出し羽織った。ローブについている大きめのフードが風に揺られて気になるな。だが、はためくローブがなんかマントっぽくてカッコいいと思ってしまう。


『最後に顔の部分だが...折角だ 起動してからにしよう 動く仮面も見てみたいしな!』

「動く仮面?」

『初心者だから いきなりイメージだけで指令をだすのは難しいだろう そいうときは言語化するんだ 起動! って言葉に出して言って見てくれ イメージは今装着した装置を起動するイメージでだ』

「もしかして 脳波で指令が出せるんですか!?」

『違うな BMDによるものだ とりあえず言ってくれ! あ! そうだ 同時に右手を前に突き出してから拳を握ろうか』


右手を前に出す。


そして拳を握り、


「起動!」


すると、身につけていた装置がわずかに振動をし始め、ウィーン!という起動と共に動き出した。先ほどまで重いと感じていたロボットアームも今ではその重さを感じない。自分の動きを補助してくれているようだ。


ガチャガチャガチャガチャ


背後から金属が擦れる音が近づいてきていることに気づく。


音のする方を振り向くと、そこにはWと書かれた白い仮面が自分目指して走って来ていたのだ。仮面が走る。意味がわからんが、仮面の側面から伸びた金属製の足がガチャガチャと音を出してまるで虫のように走ってきているということだ。


「うわ! なんじゃ」


白い仮面が足元まで到達すると、そのまま動くのを止めずに足を這い上がってくる。さすがに機械とわかっていても都心部の嫌われ者の虫、Gを彷彿させてしまう。


どこまで登ってくるのだろうか。いや、仮面ということは勿論...。


『おー 完璧だ! これで完全形態になったなセリザワ君!』


その仮面、顔面に張り付いた。


(これエイリアンかよ!)


「あー まだ開けてない箱があるんですが、それらはどうするんですか?」

『放っておいて構わない 予備だよ それじゃ実験を開始する!』

「はい!」


こんな装置を身体中につけてなんの実験をするのだろう。


このビルの上で取り付け工事でもするのだろうか。


しかし、そんな甘い考えは次の博士の発言で消えることとなる。







『今からこの街の警察が全力で君を殺しにくるだろう それから全力で逃げてくれ! 心配するな 今の君は念じるだけで全ての機械を操作することができるから多分可能だろう! それにサポートもある』



「えっ!? どういう意味ですか!?」

『よし 実験開始!』



「嘘だよな...?」



しかし、それはこのビルの屋上へとつながる階段を登ってくる複数人の足音が聞こえ始めた頃に現実だと知ることになる。















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