選ばれし者としての存在
● 第60話 オレって、本当にコノ世界を救う『選ばれし者』なんだってサ!
「お……オマエ、いや貴君がアノ伝説の力と言われている『箱』の能力者だって?
コレは、驚いた……いや、驚きました!
では、貴君がコノ世界『統一国家 ノヴェラード』を救うと語り継がれる、選ばれし者なのですね。やはり、コノ出逢いは運命だったんダ……。
この、
「だから、ユーリってば!
何でまた、そーなっちゃうかなぁ~……。
サッキ言ったばっかりダヨ。
今まで通りに、気楽に普通に接するって!」
相手の反応のループに、半ば呆れながらオレは言った。
「あ! あぁ……、すまネェ。悪かった。
でも、今のハナシ聴いたらドンナ傭兵や少し『ギフト』に関して詳しいヤツなら、絶対同じ反応するゾ。だって、伝説と言われてる『箱』の力の持ち主だなんて言われたらヨ。
そうか……、ユウが『選ばれし者』だったんだナ……。
おっと、すまねぇ。一人で、納得しちまってヨ……。
オマエさん自身は知らネェかもしれんが、ソノ『箱』の能力ってのは言わば飛びっきりの『特別』なシロモンなのヨ。
コノ世界が、例のクソ教団のせいでこんなヒドイ状態になっちまったのを、元に戻せるのは『箱』の力を持った、選ばれし者ダケなんだゼ。
まぁ、尤もコイツはコノ世界に『ギフト』が誕生してから、いつの間にか語られる様になった伝説……っていうか、言い伝えみたいなモン何だがナ。
何といってもコノ話を言い出したのが、あの『占術』の天才にして『ギフト』の探求者で、例の『Gの書』の著者であるサシャ・ガラード様なんだからヨ!
コノ点に関しては、絶対的に信用出来るってもんダ!
ん? どーしたヨ? また
俺、ヘンなコト言ってねぇゾ!」
何なんだヨ……、コノ展開。
サシャが言い始めたの?
オレの『箱』の力が伝説級の代物で、ソノ力を持ってる者がコノ世界ノヴェラードを救う、選ばれし者とか……。確かに『箱』の力は、使い方が多様化出来るし便利だとは思うけど、ホントにそこまで凄い能力なんだろうか?
確かに、現世で何度と無く見たアノ夢の中でも『汝のギフトこそが、我らの世界を救う唯一の光であると心得よ……』なんて言ってたけど、イマイチ、ピンと来てないんだよな。
だって、カイザールさんの『平和的統治』みたいな人の心ソノモノに作用する力ならともかく、オレの『箱』に関して言えば幾ら物理作用系最強だナンテ言われたって、ドウ使えばコノ世界を救うなんてコトが出来るっていうんだろう?
コレは、師匠であるサシャに改めてチャント聴かないとダメだな。今のオレが出来る事って、せいぜい結界でミンナを守ったりする事ぐらいだもんなぁ……。
でも、前にサシャは『オレのギフトは、進化する事になるだろう。そして、その時が来るのも、そう遠くない』みたいな風に言ってたんだよな。
でも『進化』って言われても、全く理解不能だしね~。
ソコら辺の事をチャント知るためにも、早く『Gの書』を回収して人質も助けなきゃ!
だけど、コノ世界を救う選ばれし者……かぁ。よく考えたら凄いスケールのハナシだよな。
オレは自然と、昔見た『幻魔大戦』っていう宇宙規模の敵と戦うために世界中から選ばれた超能力者達が力を合わせるっていう映画に思いを馳せていた。
サントラで奏でられる、キース・エマーソンのシンセは圧巻だったなぁ……。
あの物語の主人公も、確か話が進むに連れて使える力が増えていったんじゃなかったっけ? オレの『箱』のギフトも、ソンナ感じになっていくんだろうか?
オレは、原作者が人狼を描いた別の作品がお気に入りだったから、自然に幻魔大戦も読んだし正直ハマッたのでヨク憶えていた。。
あ、イカンいかん。また、いつもの様に脱線しちゃったよ。
「ようやく落ち着いたカ……。
とにかく、ユウがどう思おうが『箱』の力ってのは、ソウイウ特別なモンなんダ。
『ギフト』を授かる者に資格が在るとするなら、その資格を持ってる全ての人間が手にしたいと思う……、言ってみりゃ憧れの存在みたいなモンなのサ。
その憧れの存在である、オマエさんがコノ俺の『同志』なんだ!
コンナ、光栄な事はねぇゼ!
改めて、これからもヨロシク頼む。
さて、もう一つ質問してもイイか?
ユウが使う、アノ不思議な動きの技についてなんだがヨ……」
……そうか、ヤッパリ次はそっちのハナシか。
まぁ、仕方ないよね。
そもそもが、コノ世界には存在しない技な訳だし。
オレは、包み隠さず話す事にした。
「石段のトコロで使ったアノ技は、オレが飛ばされてた別の世界で習得してきた、武術や格闘技を適当に組み合わせたタダの我流だよ。
でも、オレは他にも色んな闘い方が出来るんだ。
例えば……、千八百年以上に渡る歴史を持つ『いかに効率的に敵の人体を破壊し、無力化するか』なんて言う超過激で超実戦的な思想を具現化した、古武術とかネ」
「な……、なんじゃそらァ?
そんな技があるのかよ!
ソレって、俺も習えないのかヨ?
スゲー技じゃねぇーカ」
「死ぬ気で鍛錬すれば、アル程度は使えるかもしれない。
でも、ソレって結局は真似事と同じだから……ね。
正式に入門して毎日死ぬような思いして、体得しないと意味無いかな。
……いや待てよ、コノ世界の今の状況を考えれば、例え形だけでもあの技を使える人間が味方に居たら、強力な力になるかもしれない。
このノヴェラードには、存在すらしてない技なんだから……」
「よぉ、ソノ言葉待ってたゼ! 俺にその技、教えろヨ!
どんなに厳しくても、辛くてもコノ世界の為なら俺は必ずソイツを手にしてヤル。
それに……、強力な味方は多い方がイイダロ?
ソノ技って、どんなモンなんだ?」
「うん、技というか流派の名前は『天狼派古流』って言うんだけどね。
オレは今現在、継承者として宗家の頭首からも『天狼派古流』の象徴ソノモノと言ってもいいコイツにもソノ技を認められてるんだ。
チョット驚かす事になると思うけど、見てて欲しい。
――姿を見せてくれ『炎纏狼牙』よ……」
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