● 第58話 ユーリとのナイショ話。 ~その2~
ヤッパリ、そう来たか……。
オレは恐らく……というか、かなりの確率でユーリが自分の過去の話や『ギフト』能力の件を打ち明け始めた段階で、次はオレが話す事になるんだろうと思っていた。
だけど、ナニをドコまでドウ話すべきか……。
正直、コノ点を考えあぐねていたんだ。
「オレの番……、か。
確かに、ユーリにばっかり喋らせてばっかじゃフェアじゃないもんな。
まぁ、聴きたい事がアルなら答えるよ。
でも、ソノ前に一つ質問していい?」
「今更、ナニを改まってんダヨ!
サッキも言った様に、俺とユウは既に同志なんだカラ何かありゃワザワザお断りなんざ入れずに、普通に聴きゃイイ。
で、ソノ質問ってのは何ダ?」
「うん。ユーリはさ、前に宰相から依頼されて初代元首のカイザールって人の護衛をするぐらい、当時のノヴェラードを動かすような要人に信用されてたんだよね?
ユーリの事だから、モチロン任務は成功して報酬も貰い、傭兵としての信頼度っていうか格みたいなモノも上がったと思うんだけど?」
「あぁ、そりゃソノ通りだ!
アノ仕事をキッカケに、俺の『傭兵』っつーか『戦える何デモ屋』のランクは一気に上昇したのヨ! ありゃあ、ホントに嬉しかったゼ。
正に、傭兵冥利に尽きるってヤツだ。
それにヨ、……宰相のエルネスト様とカイザール陛下御自ら、若造だった当時の俺を『家族』とまで呼んで認めて下さり、ソノ証として頂いたのが……コイツだ!」
ユーリは、服の襟元の合わせ部分を広げ首に掛かっていたペンダントを外し、オレに見せた。
ソノ顔は、子供が自慢の宝物を友人に見せるかの様だった。
――そして、オレはそのペンダントを見て正直驚いた。
何故かって?
そりゃ、決まってる!
ユーリがしてたペンダントは、オレが爺ちゃんに以前お守りとして貰ったモノと瓜二つだったからだ。
「スゲーだろ、コイツ!
コレは、アントワーヌと俺の命の次に大事な一生の宝モンだ。
出来る事なら、今の傭兵として成長した俺の姿を見てもらいテェし改めて礼も言いたいモンだが、ドコにいらっしゃるのかも解からネェし、俺のコトなんざモウ忘れちまってるかも知れネェしな……、ん?
どうした、ナニしてんだユウ? 何、イキナリ脱いでんだ?」
次の瞬間、ユーリは文字通り言葉を失っていた。
自分がついサッキまで身に付け、今手にしている名誉の証とも言えるペンダントと全く同じ物を付けた他の人間と向かい合っているのだ。
まぁ、驚くのは無理ないよなー。さて、こっからの説明どうしたもんかな?
「お、……オマエさん、いやユウ!
コイツは……、コレってまさか……!
いや、間違いない!
この革の編み方といいトップといい、間違いなく、こりゃホンモノだ。
ユウ、何でオマエがコレを持ってるんダ?
オマエも、エルネスト様とカイザール陛下の
頼む、教えてクレ! コンナ奇遇なコトがあるなんて……。
イヤ、これは奇遇なんてハナシじゃない。俺とユウの出逢いは運命だったんダ!」
「ユーリってば、ちょっと落ち着きなって!
確かにオレも、ユーリとの出逢いから考えたらコンナ風に仲良く話せる仲になれるなんて思わなかったから、本当に嬉しく思ってるし感謝もしてる。
だからこそ、今から話すオレの話をよく聴いて欲しい。
で、その話を聴いた上で考えて欲しいんだ。
改めて、オレ達に力を貸す事を……」
それまで自らが同志として認めた相手が、自分の一生の宝と同じモノを持っている事に大いに盛り上がっていたユーリは、オレの真剣な口調から明らかにいつもの冷静さを取り戻していた。
「あぁ、すまなかったナ。
一人で勝手に騒いじまって……。
もう、大丈夫ダ。
オマエさんの話ってヤツ、聴かせてくれ」
「オレは、ユーリにカイザールさんの護衛を依頼した宰相『エルネスト・ヘルブロス・バーン』の孫に当たる人間なんだ。
でも、十歳の時にドゥアーム教団の『ギフト』狩りに遭って、両親の能力と犠牲のお陰で、ココとは違う世界に飛ばされた。
それから八年間、飛ばされた別の世界で暮らしソノ世界の武術や格闘技を身に付けた。石段のトコロで見た技は、その一部だよ。
そして、アル時から何度も同じ夢を見る様になって、ソノ夢に呼ばれてオレはこのノヴェラードに戻って来たんだ。
今は、爺ちゃんやカイザールさん達『家族』と一緒に、打倒ドゥアーム教団を目標に闘ってる。モチロン教団に比べたら人数だって少ないし、まだまだ力も足りてないんだけどね。
オレがこの街、マーベルシュタットに来た目的は『Gの書』の回収と『人質の確保』なんだ。
……だから、今度はオレがユーリに頼みたい。
――今回の作戦をお互いに協力して成功させ、ソノ後は以前みたいにオレ達の『家族』として、アントワーヌさんも一緒に一生行動を供にして、ユーリの力をオレ達に貸してくれないか?」
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