835.創作篇:読みたいものしか読まない

 今日は「読み手は読みたいものしか読まない」という理についてです。

 あなたの作品の中で閲覧数(PV)ゼロの作品はありませんか。

 それをどう活かせばよいのでしょうか。





読みたいものしか読まない


 あなたがどんなによい小説を書こうとも、読み手が必ず読んで評価やいいねやブックマークを付けてくれるとは限りません。

 最悪の場合、閲覧数(PV)ゼロのまま小説投稿サイトで埋もれていくだけになることすらあります。

 あなたはよい小説を書いたのです。それにもかかわらず閲覧数(PV)ゼロになります。

 なぜでしょうか。




読み手は読みたいものしか読まない

 閲覧数(PV)ゼロになった作品は、ゼロになるべくしてなった小説であることが多いのです。

「なるべくしてなった」というのは、書き手が「書きたいものを書いた」結果が反映されています。

 読み手になって考えてください。

 あなたはまず興味のあるジャンルの作品が読みたいと思います。たとえば『小説家になろう』で「異世界転生ファンタジー」が読みたい。それなら「ハイファンタジー」ジャンルと「異世界転生」キーワードで検索するはずです。「ハイファンタジー」のランキングを見て上位に表示されたものの中に「異世界転生」キーワードを含むものを選択するケースもあるでしょう。

 ではあなたが書いた小説のジャンルはなんですか。もし「時代小説」を書いたのなら、「異世界転生ファンタジー」が読みたい読み手にとって、あなたの作品はまったく視界に入りません。至極当たり前の話です。

『小説家になろう』は「ハイファンタジー」がとても強いため、読み手としても「ハイファンタジー」を期待している方が多くいます。

 そんな中「時代小説」で勝負したいわけですから、閲覧数が少なくなることはあらかじめ覚悟してください。


 少数の「時代小説」ファンは検索やランキングで読みたい作品を探します。このとき読み手が読みたくなるような「キーワード」「タグ」を設定してあるでしょうか。

 もし適切な「キーワード」「タグ」を設定していなければ、読み手はあなたの作品までたどり着けません。

 読みたい作品を見つけるためには、読みたい作品の属性を「キーワード」「タグ」で示していなければならないのです。

 これができていないと、閲覧数(PV)ゼロになって当たり前。新着欄から運良くたどり着いてくれればゼロはなくなりますが、閲覧数(PV)が少ないままになるのは必然です。

 だからまず適切な「キーワード」「タグ」を設定してください。

 ですが、すでに投稿してから時間が経っている完結済み作品の場合、適切な「キーワード」「タグ」を設定しても閲覧数(PV)に変化はほとんどないのです。なぜなら、多くの小説投稿サイトでの検索機能は、「キーワード」「タグ」が当てはまる作品を「新着順(投稿時間の新しいものの順)」でリストアップします。古い作品が救済される余地はないのです。それでも旧作の「キーワード」「タグ」はつねに見直しましょう。




連鎖効果を狙う

 書き手であるあなたが「これは絶対に傑作だから、ぜひ皆に読んでもらいたい」と思う作品があるのなら、「同じジャンルの新作」を書いて投稿してください。もちろん適切な「キーワード」「タグ」を必ず付け加えましょう。

 新作の閲覧数が増えれば、作品の出来不出来にもよりますが、古い作品も読んでみるかと「ついで読み」してくれる方が現れるかもしれません。そのためにも古い作品にも適切な「キーワード」「タグ」を付け加えるべきなのです。

 新作を導入としてあなたの世界観に読み手を巻き込み、旧作も読んでもらいます。

 これはアニメのシリーズ化のような効果をもたらすのです。

 たとえば『機動戦士Ζガンダム』を観て「面白い作品だ」と思ったら『機動戦士ガンダム』を観る。それも傑作だったから、同じ監督の『無敵鋼人ダイターン3』も観てみよう。こういう連鎖効果が期待できます。

「絶対自信のある作品」が閲覧数(PV)ゼロであっても、巻き返す策はあるのです。

 そもそも『機動戦士ガンダム』は打ち切りになったアニメです。にもかかわらず現在までシリーズが続いているのは、当時としては珍しかったメカニックに特化した「設定資料集」であったり、劇場版三部作が創られたりしたからです。それが呼び水となって初代の『機動戦士ガンダム』は再評価されました。


 小説投稿サイトもその機能を見直し、あなたが読み手だと仮定して小説を探す行動を想定してみましょう。

 読み手は読みたいものしか読みません。

 もし「同じジャンルの新作」を書いたのに閲覧数(PV)が低いままであれば、あなたの使用している「キーワード」「タグ」が適切ではないのです。もし「キーワード」「タグ」が適切なら、いいねやブックマークは付かないまでも、閲覧数(PV)は増えるはずだからです。




キーワードやタグはいくらでも変更してよい

 一度設定した「キーワード」「タグ」を後で編集して大丈夫か迷う方もおられるでしょう。

 大丈夫です。時代に合わせて「キーワード」「タグ」を見直しましょう。

『小説家になろう』では、昔流行った「俺TUEEE」が「チート」に、「チート」から「主人公最強」へ置き換わったような事例が見られます。

 あなたの旧作が「キーワード」「タグ」で「俺TUEEE」しか付けていなければ「チート」や「主人公最強」を加えるべきです。もし「キーワード」「タグ」をすべて使ってしまっているのなら、「俺TUEEE」を「チート」または「主人公最強」に置き換えて差し支えありません。

 そうしなければ旧作が再び日の目を見ることはないのです。

 このように投稿済みでも完結済みでも、時代によって適切な「キーワード」「タグ」は変化するので、それに対応しましょう。

 そうやって「新作から旧作への動線を確保する」ことで、旧作は閲覧数(PV)ゼロから抜け出せます。

 時代に合った「キーワード」「タグ」を設定する手間を惜しんで閲覧数(PV)ゼロのまま沈んでいった作品のなんと多いことか。

 一度沈んでしまったら、復活させるために「同じジャンルの新作」を書いてヒットさせるしかありません。それ以外の手段で旧作は読んでもらえないのです。

 手間を惜しまず、流行りの「キーワード」「タグ」を調べてから作品を投稿するようにしてください。そうすれば閲覧数(PV)ゼロのまま沈んでいかないはずです。

 このように小説投稿サイトの特性を理解すれば「まったく読まれない」という事態は避けられるはずです。




投稿時間帯にも注意

 これだけやっても駄目な場合は、投稿している時間帯が悪い可能性があります。

 たとえば17時に予約投稿を設定してある場合、同じ時間帯に予約投稿をしている方が多いので、投稿した途端に検索の三ページ外まで流されてしまいます。

 同じ理由で切りのよい時間の直前(たとえば16時59分)に投稿してしまうと、一分経っただけで17時になり、あっという間に検索の三ページ外です。

 もし手動で投稿しているようでしたら、予約投稿のできる時間の少し後に投稿することをオススメします。そうすれば、たとえ人気の高い「ハイファンタジー」であっても、検索の三ページに残る可能性が出てくるのです。

 予約投稿してよいのは、すでに人気のある連載になっている作品に限られます。人気があれば、すでにブックマークしているでしょうから、毎日同じ時間に新作が読めるというだけでありがたがられます。検索ではなくブックマークから新作をチェックするので、たとえ予約投稿で流されたとしても問題ないのです。





最後に

 今回は「読みたいものしか読まない」ことについて述べました。

 小説投稿サイトでは、読みたいものを探すのに「ジャンル」と「キーワード」「タグ」の組み合わせで検索しています。

「読みたいものしか読まない」読み手に対してあなたの作品をアピールしたければ、適切な「キーワード」「タグ」を設定すべきです。

 もし適切でない「キーワード」「タグ」を付けてしまっても、「キーワード」「タグ」はいくらでも変えてかまいません。「キーワード」「タグ」詐欺にならない限りは。

 あなたの作品を読みたがっている読み手がいるだろうことを考えれば、その検索に引っかかるようにしてあげるのも、投稿する書き手の責務です。

 また旧作ですでに賞味期限切れの「キーワード」「タグ」は、今流行りの「キーワード」「タグ」に置き換えることも忘れないようにしてください。「同じジャンルの新作」を投稿した際、もし読み手があなたの旧作も読んでみようかなと思ったとき、「キーワード」「タグ」を見て判断されますから、古びた「キーワード」「タグ」では二匹目のドジョウは狙えません。

 あなたのファンをひとりでも増やすためにも、旧作を資産として活かすべきなのです。



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