360.孫子篇:四.形篇

 今回は「自分のスタイル」と「ランキング争い」についてですが、分量が少ないかな。

「テンプレート」の重要性も説いています。





孫子篇:四.形篇


 今回は「自分のスタイル」と「ランキング争い五段階」についてです。

 なぜ「文豪」は「文豪」たりえたのでしょうか。

 それは「文豪」が「自分のスタイル」を確立したからです。




自分のスタイル

 昔のいわゆる「文豪」はまず「自分のスタイル」を確立し、競争相手によって売上が左右されない万全の態勢を作りました。

 そのうえで競争相手が弱いところを見せて確実に勝てる時を待ったのです。

「自分のスタイル」を確立することは自分たちで行なえます。

 しかし相手が弱いところを見せて確実に勝てるようになるかは相手次第です。

 こちらから作り出せるものではありません。


「自分のスタイル」を確立したうえでこちらの動きを悟られないようにします。勝負を仕掛けるのがうまい書き手は、一段高いところからよく見て好機を逃さないように動くのです。


「ネームバリュー」があることと、能力が高いこととは根本的に異なります。

 勝因を見抜く能力が一般人と同様であれば、すぐれた書き手とは言えません。

「ランキング」に載って読み手が素晴らしいと褒め称えたとしてもすぐれた書き手とは限らないのです。


「文豪」は「勝ちやすいスタイル」で勝ったものです。

 当時は名声ネームバリューも功績(実績)もそれほど讃えられはしませんでしたが、戦えば必ず勝ちました。

 だから「文豪」は「自分のスタイル」を盤石にし、相手のいかなるスキも見逃さないのです。

 つまりランキングに載るような小説というのは、まずランキング入りを確実に期待できる態勢を作ってから勝負を仕掛けます。

 ブックマークや評価が付かないような小説は、まず投稿してからブックマークや評価が上がることを期待しているにすぎないのです。


 文章の巧みな人は、正しい文法をマスターして適宜これを用いるので、思いのままに「ランキング」に躍り出ます。




競争を仕掛ける機会を計る五段階

 競争を仕掛ける機会を計るには五段階あります。

【度】投稿するサイトにおいてジャンルの可能性を計る

【量】投入すべきリソース(時間・資金・健康など)を計る

【数】投入すべき情熱・情報の量を計る

【称】他人とどちらが「テンプレート」に沿っているかを計る

【勝】そのうえで全体的な勝敗を計る

 このように「ランキング」に載るような作品というのは「載って当たり前」なのです。

 載らない作品というのは軽い重りで重い重りと張り合おうとするようなものだから、まったく勝ち目がありません。


「ランキング」に載る書き手は、満々と堰き止めた水を一気に深い谷底に落とすようなもので、必ず勝てる「テンプレート」を使っているものです。




―――――――――――――




 今回も『孫子』は「テンプレート」を説いています。

「私には私のスタイルがある。安易に『テンプレート』に頼りたくない」という心意気はとても立派です。

 ですが、小説投稿サイトで人気を集めたいなら「テンプレート」に頼るしかありません。

 『pixiv』の二次創作に限れば、「二次創作の需要がある作品」の二次創作であることが求められます。

 ですが『小説家になろう』『エブリスタ』『カクヨム』『ピクシブ文芸』など一次創作(オリジナル小説)で勝負しなければならないときに、なにも頼るものがないのであれば心細いですし、実際に反応は微少かまったくありません。

「『テンプレート』は卑怯だ」と主張する気持ちは私にもあります。

 ですが、読み手としても「海の物とも山の物ともつかぬ」作品を読むための空いている時間なんてないのです。

 読み手の「読む」「読まない」を分けるのは、「テンプレート」の安定性つまり「ある程度の面白さが保証されている」作品かどうかになります。

 そのほうが効率的に「面白い」小説が読めると判断できるからです。

 もちろん「総合評価ポイント」の高さがあればなお良い。

 いかに『小説家になろう』での「あらすじ」、『ピクシブ文芸』での「キャプション」で「この小説はこのテンプレートを使っています」というアピールができるかどうか。

 そこが最も問われます。





最後に

 今回は「自分のスタイル」と「競争を仕掛ける機会を計る五段階」について述べていましたね。

『孫子』は少しずつ実戦に近づいていく書き方をしているので、兵法(小説)の初心者にとってやさしい作りをしているはずです。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る