第2話
ふぅ‥‥今日の仕事疲れた‥。
夕暮れとき村外れの小さな小川が見えるところで俺は胡座をかいて座っていた。
右手には動物の皮袋で中身は酒、左手には肴の動物の肉の串刺しを持ちながら1人の時間を楽しんでいる。
肴の肉の串刺しは村の食堂で余り物を貰ってきた。酒は盗ん‥‥ではなくただ“拝借”しただけた。
酒は甘口で飲みやすい。これを数杯を飲んでも酔いはしないなぁ。‥‥前の世界のチューハイのようなものだ。
レモンを入れれば俺は最高だ。しかしここ五年もいてレモンなどは見たことはない。
前の世界は普通にあるものが、普通にある。
それが当たり前のようだった。
しかしこの世界はそれはない。人が汗水を流して初めて得るものがある。
普通にあるものは、普通にある。それは奇跡だと今思う。
ん?小魚が今跳ねた。
何気なく小川に近づいた。目を凝らせば小さな小魚達が泳いでいる。
小魚を取る道具も無ければ、捕っても今は意味がない。
明日この村を出る。
村の人々がみな寂しがっていたなぁ。‥中には陰で泣いていた女もいた。
村では働き手もあまりいないからな。
村長や自警団の団長が“補佐“にするから行かないでくれと言っていたな。
“村長補佐”
“団長補佐”
‥‥‥なんかパットしないなぁ。
俺はそう思うと何気なく水面に映る自分の顔を見た。
‥‥ずいぶん更けたな。17の頃にこの異世界に来て色々な経験をした。
時には前の世界だったら警察に捕まって、刑務所で懲役数十年のような事をしでかした。
だか、それはこの異世界で生きるためにしたこと相手が俺を殺そうとした。
1人ではない数名が俺を殺そうとした。
だから俺は自分の身を守った。
話し合いで解決するなら、争いなどは起きない。
むざむざと死んでたまるか。俺はまだくだばる訳にはいかない。偽善者と呼ばれてもかまわない。
俺はこの異世界を見るためにも。
怨んでもかまわない、俺が地獄に落ちてもかまわない。
俺はそう決意をすると空になった酒の皮袋と串を持って借り家に向かった。
最後の荷物整理をしなければ。
勇者?‥‥そんなもの糞くらえ。 夢 @45169152
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。勇者?‥‥そんなもの糞くらえ。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます