先輩!付き合ってくれませんか!?
南河原 候
初恋からのお友達
「ギャハハ!」
「なんだよ、それウケる!」
俺達三人は良くつるむ中でこんなくだらない事でも大笑いしてバカ騒ぎをする。
「そうだ、いっくん、高校どうするの?」
「うーん。どうせ俺の頭じゃ、何処無理だろ」
「確かにな! いっくんの頭じゃ何処も無理だよね!」
「うるせーぞ! 自分で言うのは良いが人に言われると腹立つんだよ!」
そう言って俺は軽く雉飛の首を締める様にした。
「あはは! 痛いよ! いっくん!」
「言ってろ! 人に悪口言う奴が悪い!」
「えぇ。ほんとの事じゃん」
「なんだとこのやろう!」
さらに締める力を強くする。そうすると雉飛は「痛いよ~!」と言うがそんなの無視! 人に悪口言う奴が悪いんだよ!
でも、楽しいや。こいつらと居るだけで。だけどそれは長く続かないものだ。多分俺以外の二人は進級するだろうから会える時間は少なくなる。だから、今の内にこいつらと居る時間を楽しむ。
「あ、あれって」
そこで矢島が指を指した。その方向には一人の女子が居た。
艶やかな黒髪をロングストレートにしてて色白できめ細かい肌。愛らしさもある涼やかさもある顔立ちで身体付きも中々のものだ。
滅茶苦茶可愛い。そして、綺麗だ。それが俺が見た時の感想。その時自分の顔が火照るを感じた。
「あ、
「あぁ。綺麗だ」
「そうそう! 綺麗でもあり可愛い顔立ちだよな!」
「あぁ、可愛い」
「「?」」
「「いっくん?」」
二人に声を掛けられ、ふと、我に返る。
「え。どうした?」
「いや、その、まさかいっくん。優花先輩に惚れた?」
「はあ? うんな───」
否定しきれない。まだ自分の顔は火照ってると思うし、胸の高鳴りも収まってない。あながち雉飛が言うのは間違ってないかもしれない。
そして、俺はずっと遠くに居る優花先輩をじっっと見てるだけだった。
***
(優花先輩………)
俺はあれからもずっと優花先輩の事を考えていた。あの愛らしい顔立ちが今でも忘れなくずっと頭に残っている。
そして、もう一つ考えている事がある。それは雉飛に言われた言葉だ。
『優花先輩に惚れたのか?』
否定………しきれない。ただ見ただけなのに俺の頭も心も今では優花先輩で一杯だ。これは好きと言って良いのだろうか?
「なぁ、
そこで二人は一斉に含んでいたジュースを盛大に噴射する。汚いなぁ、なんだよ、いきなり。
「どうした?」
「いや、待て待て!! 本当にあれだけで優花先輩に惚れたのか!?」
「やっぱり、この気持ちは………そうなのか」
「いや、ないだろ。何処の恋愛漫画だよ」
「?」
雉飛が言ってる事は良く分からないが、この気持ちは『好き』と言う感情で間違いないらしい。
人ってあんだけで人を本当に好きになっちまうんだな。
「よし! 優花とに告白するぞ!」
「はあ?! いやいや! まず考えよう!」
「は? 何をだよ」
何故か驚愕の顔を浮かべている二人に『待とう!』と止められた。
何を待つ事があるのか、分からないがこいつらなりに何か思ったんだろう。話ぐらい聞いてやるか。
「いやね、告白については何も言わないけど、まず何処に惚れたか言ってみて」
それはもうあれしかない。
「いや、容姿だろ?」
「うん。いっくん、速攻でフラれるよ?」
「はあ? そんなのやってみねぇとわかんねーだろ! もう良い行ってやる!」
何でやっても居ないのにそんな事を決められないといけない。俺は誰かに指図されたり勝手に決定されるのだけは嫌いなんだ。こいつら何か放ってさっさと行こう。
「あ! 待って!………行っちゃった」
最後に呼び止める声が聞こえたが無視。俺は急いで優花先輩のもとに向かった。
と、言っても優花先輩が居る場所なんて知らないから何処をどう探せば良いのか分からないが、多分適当に探せば見つかるだろう。
そして、数分後───廊下を一人で歩く優花先輩を見つけた。
「ゆ、優花先輩!」
「ん? 何? 私に何か用?」
間近で見るとやはり可愛い。優花先輩は円ら瞳で俺を見てくる。ヤバい、胸のドキドキが止まらねぇ。早くこの想いを伝えたい!
「優花先輩! 好きです! 付き合って下さい!」
「………うーん、その、初対面だよね? 私の何処に惚れたの?」
「容姿です!」
「わぁ、素直」
俺は前に手を伸ばしてお辞儀をしているから今優花先輩がどんな顔を浮かべてるか分からない。さぁ! 答えは!
「うん。まぁ、
「え? マジですか!」
ここまで半分勢いで来てたから少し自信がなかったのに、友達から良いと言われた。
「うん。じゃあ、メアド交換しよ」
「は、はい!」
それから優花先輩とメアドを交換してから雉飛達の所に戻った。
**
「よし、慰めてやる準備出来てる。飲もうぜ」
「はあ?」
そう言われオレンジジュースを渡される。俺はそれを開けて少し飲む。うん、オレンジジュースだ。
「言っとくが、フラれた訳じゃないぞ!」
「んな、バカな。幾ら優しい先輩でもそれは流石に許さないだろ」
「ふっ───友達からと言われた!」
俺は自信満々にそう言い放った。だが、雉飛達は呆れた溜め息をついたら直ぐに哀れみの顔を向けて二人共、俺の肩を掴んできた。え、何? 俺変な事言った?
「うん。いっくんはバカだから分かんないんだ」
「そうだな。いっくんは“バカ”だからその意味を理解してないんだ」
「え?」
「じゃあ、いっくんにも分かり安い様に言ってあげる。まず付き合って下さいへの答えは?」
「友達からだが?」
「うん。それは世間一般的にはフラれた事になるんだ」
「いや、でも、メアド交換したけど?」
「「はあ?」」
二人共同じ様な反応をしてを首を傾げた。おれは昇降口として優花先輩とのメアドを見せると二人は驚愕の顔になり暫く口が開いたままで固まっていた。
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