異世界帰りの元最強勇者、パパになる。〜19歳だけど精神年齢29歳のぼくに双子の娘が出来てしまった

ネコタロス

プロローグ 元最強勇者の自己紹介

ぼく、七瀬颯太は、異世界帰還者である。



自己紹介でいきなりこんなことを言い出して、頭がおかしいと思わないで欲しいのだけれど、大学2年生になったばかりの僕は、突如として異世界へと召喚された。


バイトからの帰り道、確か駅のホームで電車を待っていた時だったと思う。

線路の向こうから強い、あまりに強い光が放たれて、ぼくは思わず目を閉じた。


そして、周囲から一切の音が消え、光が弱くなるのを感じた頃、恐る恐る目を開けたら…



そこはもう、地球ではない世界だった。



突然のことだったので、自分でも何が何だかわからなくて大混乱した。

ちなみに肉体は精霊の加護とやらでほとんど年を取っていないけれど、

およそ10年もあちらに滞在していたために、当時の記憶は少し曖昧になっている。


それでも覚えているのは、目に飛び込んできた

漫画や映画の中でしか見たことのないファンタジー世界の情景。

街中を大きな剣や槍を持って闊歩する屈強な冒険者たちを見た時、

これはあの「異世界召喚」なのだと僕は理解した。



それから、本当に色々なことがあった。



ぼくに使命を託す精霊。世界を牛耳ろうとする邪竜。種族の垣根を超え共に戦った仲間たち。始めて恋をした亡国の姫。出逢いと別れ。勝利と敗北。絶望と歓喜。生と…死。



懐かしの地へと帰還した今、その冒険の仔細をわざわざ語ることはないだろう。何故なら、19歳の肉体に29歳の精神を宿す「ぼく」と、ぼくに託された「彼女たち」の物語は、この日本、この東京で始まるのだから。そこには剣も魔法も怪物も存在しないはずだから。



ぼく、七瀬颯太は、異世界から帰還した元最強の勇者であり、

この春、2人の娘のパパになる。



邪竜を倒した異世界で、レベルがカンストしていた男は

レベル0のパパとなった。









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