アリストロメリアの雑感
黒崎葦雀
アリストロメリアの雑感
平成の世が終わるらしい、というと大げさにも聞こえる。
だが確かに年号は代わり、平成の世は終わる。
時代が終わるというのは、こういうことなのだろう。
昭和の最後の方に生まれた私にとって、平成は、まさに私が生きた時代そのものだった。
幼いころから腎臓に持病があり、小さい頃はそれが苦痛であった。病魔の苦しみではなく、人と違うことに、である。
特に薬の副作用で外見が変わってしまい、それをネタに笑われるのが一番イヤだった。
だが、そんな若い時代も、とりあえずは去っていった。
私は平成を生き、平成に生かされてきた。
平成は、様々なものが異常なほど急速に創られてきた時代でもあった。
人々は新時代の、そう、それこそ新しい『時代』の到来とばかりに、それらを歓迎した。
無論、私も例外ではない。多くの機械、娯楽、学問、それらに魅せられていった。
気づけば、様々なところが飽和状態になっていった。部屋とか。
無駄に生きた、とは到底思えないが、平成の最後の方は、確かに迷走していたように思う。
そして、無為に過ごした時間も長かった。無駄かどうかは別として。
令和の時代が始まるらしい。
だからといって何が変わるでもないのだろうが、私にとっては、何か変わらなければならないのかな、とも思う。
目の前の花瓶に佇むアリストロメリアの花に、私は、それが何であるのか、それこそ問いただしたい思いだった。
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