第78話 初めての付与

俺は悩んだ末、急がば回れの選択をした。図書館に行き、付与について学ぼうと考えたのだ


理由は簡単だ。


元々隠密が得意なアクティーの装備に、気配遮断や視覚阻害や消音の効果の付与をすることが出来れば、直接牢獄へ忍び込むことも可能となるのではないかと考えたのだ。



そもそも、付与師になったのに、どのような効果を付与出来るかの知識もないのだ。一度調べて、使えそうな効果とその必要素材をリストアップする必要があるのだ。


その上で、必要な素材を集めていかねばならない。



予想通り図書館には、付与師の本は多く存在した。


思ってた以上に付与には、多くの種類があり、同じ効果でも使う素材によって効果の上限が変わってくるようだ。


さらに、いくら上位の素材を使用しても実際に付与をすると、出来映えは、付与師の運次第のようだ。


つまりは、運が悪いと上位の素材を利用しても、下位の素材でも余裕でつくような微妙な付与になることもあるのだ。



調べた結果、気配遮断や視覚阻害や消音の付与は存在せず、代わりに「隠密」という付与でその全てを賄えるようだ。


下位素材は、ダイアウルフの皮

上位素材は、ストーキングウルフの皮


下位素材は持ってないが、ラッキーなことに上位素材はアレフザック街道でかなりの数ゲットしていた。マジックバッグに入っている。



この世界の付与は、日本で遊んでたゲームとは違い、部位別でこの効果が付けられる、付けられないなどの決まりがないようだ。


例えば、日本で遊んでたゲームでは、よく隠密効果は足装備だけにしか付けれなかったりしてた。だが、この世界では身に付けられる装備品ならあらゆるものに付与を出来る。


つまりこの世界では、防具だけでなく、武器にまで、この隠密の効果を付与でき、斬られている認識が邪魔をされ、多少避けたり、受けたりがしにくくなることが期待できる。



さらに、重ねて装備すれば効果は足されていくため、何かの効果を全身に装備すれば特化した効果を期待できるようだ。


さらに、装備品の数にも制限はなく、身に付けられるものならたくさんの付与されたものを身に付けるのも戦略となるようだ。


しかし、あくまでも付与の効果はそうそう高いものが付くわけではないので、特化させたところで、微々たる効果な上、コストが高過ぎるのがネックだと本には書かれていた。



中には複数の効果を付与した装備もあるが、とても貴重な物として、国宝として国に管理されていることが多いらしい。


何故なら、2つ目以降の付与には失敗があり、失敗すると素材どころか、その装備そのものまで消滅してしまうのだ。


しかも、成功する確率はかなり低いらしい。そのため、挑戦する者もほとんどおらず、この数千年の間にも数える程しか産み出されてないそうだ。




宿に少し早めに戻った俺は、早速付与の準備を始めた。ストーキングウルフの皮を出して、アクティーの装備に出来るだけ多く付与をつけたいと考えていた。



俺は現在、遊び人42レベル、付与師覗式13レベルまで上がっている。


エリクサラマンダーとの死闘で上がったのだ。今のところ付与師覗式は、3レベル以降何のスキルも覚えていない。



ちょうどいいことに、アクティーも約束の時間より早く宿に戻ってきた。


『おかえり、アクティー。』


『ただいま、アランが早かったのね?』


『あー。ちょっとしておきたいことがあったから、準備をしていたよ。


ビアンカのこと何か分かった?』



『ビアンカの情報はまだね…


ところで、しておきたいことって?』



『そうか…あとは、ましろに期待か。


実は、俺は先日2次ジョブを取得したんだ。その2次ジョブが付与師なんだけど、アク…』


『エエエ!?もう2次ジョブ!?早すぎない?』


アクティーの驚きの声に俺の声はかき消されてしまった。



『アレフザック街道では、ずっと格上のモンスターの大群と戦っていたからレベルが凄く上がったんだ!


で話の続きだけど、俺の2次ジョブは付与師なんだ。俺の付与師は1次ジョブの付与師より高い効果を付与出来るらしいんだ。


だから、アクティーの装備品一式に上位素材で「隠密」を付与しまくろうかと考えている。その素材がこのストーキングウルフの皮なんだ。


どの程度の効果を発揮するかは分からないけど、やるだけやってみようと思う。』



『2次ジョブで付与師なんて、初めて聞いたわ!しかも、より効果の高い付与が出来るなんて、凄いジョブだわ!!おめでとう!』


『ありがとう。それで、身につけている装備を一式付与していくから貸して欲しいんだ。』


アクティーは、分かったと返事した後、次々と着ているものを脱ぎ始める…



『ストップ!!何故下着まで脱ごうとしてるんだ?』


『下着にも付与するかもと思って…それに私自身にも久しぶりに愛の付与を欲しいなと…』


『うまいこと言っても、今はそんな暇ないです。ましろが帰って来るまでに付与を終わらせたいんですから…


まずは、アクティーのナイフからにしましょうか…』



(鑑定)


鑑定内容

名前 暗殺者のナイフ

種類 ナイフ

ランク C

付与 なし



(よし!早速付与をしてみよう。

ストーキングウルフの皮を使ってと…


付与!)


素材のストーキングウルフの皮が光の粒子へと変化し、アクティーのナイフへと吸い込まれていく。


鑑定内容

名前 暗殺者のナイフ

種類 ナイフ

ランク C

付与 隠密効果3.2%上昇



『よし!成功した。隠密効果3.2%上昇が付いたよ。』


『3.2%!?本当に凄い数値が付いちゃってる!隠密効果って、私の記憶では最大で2%だった筈なんだけど…』



それからも、次々と装備品に付与を付けていった。先程のナイフも合わせて10この装備品に同じ付与を付けていった。平均すると3.4%、つまり合計34%の隠密効果の上昇だ。


どうやら、2次ジョブの効果アップと、遊び人の運の良さの影響でかなりの良い付与が付けられるようだ。



【ジョブレベルが上がりました】

【スキル 透視 を取得しました】


(鑑定と付与をしたからレベルが上がったのか?新スキルは嬉しいが、嫌な予感のするスキル名だ…オータス!)



名前 アラン

種族 ヒューム

年齢 12歳

力 487(541-108+54)

体力 1101(789+78+234)

俊敏 794(662+66+66)

器用 1681(1294+258+129)

知力 447(496-98+49)

魔力 415(461-92+46)


ジョブ 遊び人lv42、付与師覗式lv14

ジョブスキル 逃げ足、口笛、流し目、体力成長、器用成長、チャーム、絶技、チャームⅡ、フェロモン、即時回復、鑑定S、付与S、透視

称号 転生者、神ファルスの加護を受けし者、魔物を狩りし者、ネズミをテイムせし者、初心者ダンジョンを制した者、ハーレム野郎、エリクサラマンダー稀少種をテイムせし者、リザードライダー


(透視説明)


透視

スキルを発動させると、10分間着衣している服を透けて視ることができる。



(こ、これは…男なら思春期に一度は欲しいと願うスキルなのでは?一度は試しておかないといざというときに使うことが出来ないしな…


アクティーで試させて貰うかな?透視!)



効果は予想通りの効果だった。アクティーの着用している下着は、完全に俺の視界から消え去り、その中の存在が惜しげもなく目の前に存在していた。相変わらず、綺麗で大きなおっぱいをしている。


ちょっとだけ、こっそりと興奮を覚えていると、


『どうしたの?そんなに私の胸を見つめて…もしかしてその気になってきた?』


とアクティーに気づかれてしまった。


『いあ、そういうわけでは…


付与はこの10点の装備には隠密効果の上昇の効果が付きました!合計34%の隠密効果の上昇です。』


焦って、思わず敬語になってしまった。



『34%!?恐ろしい数値ね?』


『まだ、素材はたくさんあるので、装備を増やせばもっと付けられるよ。』


『そんなにじゃらじゃら色々と身に付けるのは好きではないから、そこまでしなくても大丈夫よ。


早速装備してみるわね!』



装備を身につけていっているのだが、アクティーが持っているだけではその装備品は目に見えるのに、身につけてしまうとその姿は消えてしまい、その部分も再び裸へと変わってしまう。



全身の装備をした後、アクティーは気配を消してしまう。すると、アクティーがいきなりかなり認識しにくくなってしまった。


そこにいるのは何とか分かるが、その存在をぼやけてしか感じることが出来ないのだ。



『結構効果あるかも。アクティーをうまく認識出来なくなった!』



『それなら隠密行動だけでなく、戦闘にも効果あるかもね?』




こうして、俺の初めての付与と透視による覗きを終えるのであった。



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