第14話 ダンジョン核

俺たちはボス部屋の奥にあるダンジョン核の部屋にやって来ていた。部屋はボス部屋よりやや狭く、中央に台座が1つあるだけの部屋であった。


その台座の上には虹色に輝く大きな宝石が置かれていた。

勿論、ここダンジョンチューケイブのダンジョン核である。



俺たちは、あれからどう行動するかを話し合い1つの答えを出した。


それはダンジョン核の側まで行き、ダンジョンマスターの能力でここから地上へ戻る道を人間サイズで作ってもらう。それが出来次第ダンジョン核を破壊する。それから、事前に作った道を利用して地上に戻るというものだ。



何故このプランにしたかというと、ネズミが、ボスをあのまま復活しないようにしたかったのが1つ。



俺が魔力を得て、魔法を使えるようになりたいというのが1つ。



そしてこれは懸念なのだが、道が突然出来れば近くにいる者が降りてくるかもしれない。今はボスもいないし、短時間でここまで到着するかもしれない。


もし、これだけ大きなダンジョン核を持ち出そうとすれば、帰り道どんな奴に狙われるか分かったもんじゃない!


下手をすれば今以上のとんでもないトラブルに巻き込まれかねない。


ということで、このプランに決定となった。



『最後に聞くが、本当にこれでいいか?もうダンジョンマスターには戻れないぞ!』


『心配いらないにゃ!ダーリンも準備はいいかにゃ?いいなら地上への道を作るけど…』


『俺はいつでも大丈夫だ!道が完成したら教えてくれ。必ず人間が通れるサイズで頼んだからな!!』


暫くネズミは黙ったままぶつぶつ何かを言っている。


『道が出来たにゃ!核を壊すにゃ!!』



俺は核を2本のナイフで思いっきり切りつけた。

ダンジョン核はひび割れ、宝石と同じく七色の光を部屋中に撒き散らしながら音もなく砕けていく。


『これはきれいだな!!これで俺は魔力を得たのか?』


(オータス)


名前 アラン

種族 ヒューム

年齢 12歳

力 150(166-32+16)

体力 213(179+17+17)

俊敏 284(238+23+23)

器用 450(348+68+34)

知力 140(155-30+15)

魔力 90(100-20+10)


ジョブ 遊び人lv25

ジョブスキル 逃げ足、口笛、流し目、体力成長、器用成長、チャーム、絶技

称号 転生者、神ファルスの加護を受けし者、魔物を狩りし者、ネズミをテイムせし者、初心者ダンジョンを制した者



「テイム」とは、本来であれば敵であるモンスターや動物を手懐けてペットにすることをいう。



(お~!やったぞ!!!魔力が0じゃない!!これで努力すれば念願の魔法を使えるのか♪ついでに称号がついて、ステータスに補正付いたみたいだ!ハイド。)



『無事ここでの用事も済んだようだ!さっさとここを出よう!そういえば、お前名前ないのか?


…ちなみに俺はアランだ。』



『名前なんてこれまでなかったにゃ…ハニーって呼んで貰えたらそれでいいだけにゃ♪私はダーリンって呼ぶしにゃ♪』


『それじゃー今後不便になるから名前を付けておこう…真っ白だから…【ましろ】ってのはどうだ?』



『..単純な理由にゃ…まあダーリンがそれでいいならいいにゃ!私は今日からましろにゃ♪』



俺たちはそれから急いで地上へ戻った。出来れば誰にも会うことなく戻りたいからだ。



1番の理由は、俺がチューケイブを攻略したことを公にしたくないからだ。


500年もの間王都の食料事情に貢献し続けてきたダンジョンを勝手に攻略したのだ。


例え、攻略を禁じられてはいないとはいえ、それはボスの部屋すら確認されていなかったからであり、これだけ国に貢献してきたダンジョンを消滅させた俺は、罪人にはできないが、国からすると面白くない人間であり、下手をすると村や父に迷惑を掛ける恐れがあるのだ。



それと、もう1つ。クリスに俺が戻ったことをまだ把握されたくないのだ!おそらく俺が無事に戻った情報を知れば、クリスは逃げ出すだろう。


俺を殺そうとしたんだ。きちんとその罪は償って貰わねばならない!逃がしてなるものか…



俺の懸念を余所に、あっさりと誰にも会うことなく地上へ戻ることが出来た。それは、俺の思っていた地上とましろの思っていた地上の意味が異なっていたからだ。


俺は、自分が落ちた崖の場所に戻るのかと思っていたのだが、長い坂道を上りきるとそこは見知らぬ森の中、ダンジョンの外であった。


久しぶりの太陽の光は眩しくて暖かい…妙に生きて戻ったことを実感させられた。。やはり、外はいい♪



ましろの案内で30分ほど歩いたところで、ダンジョンの入り口が遠くに見える場所までやってきた。俺がいなくなって、騒ぎになってるかと思ったが、ダンジョンの入り口は平常運転だった。


よくよく考えるとそれもそうだ。


ダンジョンに入った人間の生死は自己責任!よっぽどのお偉いさんでもいなくならない限り、誰が死のうが、いなくなろうが、気にする者はいないに決まっている!



あれからどれくらいの時間が経過しているのかは分からないが、まだ丸1日は経っていないはずだ。それくらいならまだ最後の夜営地近くで、俺の探索を行っているのではないだろうか…



俺はもう一度ダンジョンの奥を目指すことに決めた。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る