第18話 新しい一歩(旅立ち)

目を開けた、私の前に、

黒く固まった血だまり


硬く握り締められたスマホ


えっ

あれ?

膜が

えっ、ない


(そう、もう、膜は要らない、俺は奈緒であって、奈緒はオレ)


心に浮かんだイメージが


優しく、暖かく


スマホ、画面にこびりついた

黒いものをぬぐい


電源を

恐々と開いた「微笑みの奈緒」のお部屋


私の中にあった、すりガラスの最後の薄片が

降りかかる雪のように

光のかけらに・・・・・


そこには

私が今まで、


今まで

私を

伝えて来たみんなからの

呼びかけが・・・・・


おしらせ > 奈緒さんが入室しました♪


奈緒   > みんな

奈緒  > ありがとう

奈緒  > うん、みんなありがとう!

私の頬を伝う、暖かいもの

それは、初めての感覚


ネット越しでない


はじめてのぬくもり


(な!、みんな居るだろ!)

こころのなかからも


おしらせ > しろさんが入室しました♪

しろ  > 「奈緒ちゃん!」

しろ  > 「奈緒ちゃん?、・・

       ・・・おかえりなさい」

しろ  > 「おかえりなさい!奈緒ちゃん」


しろ  > 「ちょっと、まってて・・・・」


おしらせ > 柴さんが入室しました♪

柴   > 「おかえり?、奈緒?・・か?」


奈緒  > 「えっ、

        しろちゃん、しばさん、」


しろ  > 「奈緒ちゃん、大丈夫?」


柴    > 「大丈夫か?」 (2017/10/1 16:02:32)

柴  > 「・・・・・

       いいか、何度も言わないぞ!」

柴   > 「おれは、ちゃんと見てるからな、お前の心の中を!」

柴   > 「心をぎゅーってしてやるからな!」


しろ  > 「奈緒ちゃん、私はいつも一緒だよ!

       奈緒ちゃん!」

しろ  > 「奈緒ちゃんが、居てくれて、私も助けられた!」

しろ  > 「今度は、私の番!」

しろ   > 「奈緒ちゃん、いつも一緒にいるから!」


視界を遮る、温かいものに


こころのなかを満たす、ぬくもりに


奈緒  > 「うん・・・・・・



       みんな・・・・・


       ありがとう・・・・・


       うん・・・・・


       うん、笑うね・・・」


しろ  > 「ダメーーーー!」


えっ?


しろ  > 「泣きたい時は泣かなきゃダメーーーーー!」


しろ  > 「笑うんじゃないの、奈緒ちゃんは奈緒ちゃん!」


しろ  > 「泣きたい時は、一緒に泣いてあげる!

       だから、我慢しないで!」


奈緒  > 「うん・・・うん

        ありがと・・

        うん、笑える


        ありがとう」




奈緒  > あ、ちょっとまって

       モッカさんが・・・・・


奈緒  > 「えっと


        改めて、ありがとう

        はじめまして

        みんなのおかげで、何とかなった」


柴   > 「・・・・・ 」

しろ  > 「・・・・・・」


奈緒  > 「???あっ、この前は

       いきなり、どうもすみませんでした」


柴   > 「ん〜〜、今度ちょっと落ち着いたら

       話したいことあるんで、また来てくれるかな、もっかさん」


奈緒  > 「あ、はい?」


柴   > 「奈緒、今日、明日ははゆっくりお休み!

        月曜には仕事行くんだろ」


しろ > 「奈緒ちゃん、絶対忘れないでね

       みんな!ここに書き込んでくれたみんなは

       奈緒ちゃんと一緒だからね!」

しろ  >  「奈緒ちゃん、また、ちゃんと笑って・・・お話ししよ!」



奈緒  > 「うん・・・」


流れる涙が

暖かくて


奈緒  > 「 うん・・・・」

奈緒  > 「うん、また、みんなから元気貰いに来る!

       また来る!絶対!」


そうして、私は


新しい一歩を・・・・





後日

俺は、

今まで、知らなかった存在について教えられた。

柴さんと、しろさんが、いいごもった存在!


どちらの感想も

邪悪な、とか闇と言った存在


共通の見解は

「存在は、不明だが、あれは、あんまり出ては行けない!」


それから、

あれ以降、直人と奈緒は、取り決めをした。


俺は俺として、リアルを

私は私として、ネットに


ネットに、怒りが必要な時は俺が

時折訪れることに・・


リアルの怒りは、私がここで癒すことを


2人で、住み分けることを

二人でシェアしようってw


ずっと空っぽだった、2人の中には

みんなが

直人くんが

奈緒さんが

寄り添い

助け合って

生きていこうって・・・!



直人

なお、俺は、見つけたよ

居場所を!


出来たら

一緒に見たかったな


なお、ありがとう

俺を生んでくれて


奈緒

なおくん

ありがとう。

どこかで、聞いていてくれたら嬉しいな


今はもう居ない、なお

今はもう居ないわたし


いつか

時の輪の

閉じた先で

みんなで、笑い合おうね!


直人

それまで

しばらくは

ゆっくりおやすみ

じゃー、またな・・・・・

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