第12話 貴様の名は?

 開封のやり方としては……流石に一度ですべてを開けるわけにはいかないので、各4個ずつ9回に分けて行う事にした(昨日は、部屋に入れるギリギリの人数だった)。ウリナとフォルトはキューブの状態に戻ると、二人連れ立って、机の上まで飛び、そこにゆっくりと着地した。二人の周りには、他のキューブ達も置かれていた。

 

 彼女達は何も喋らず、新しい仲間の出現を待った。

 

 俺は一個目の袋に手を伸ばし、その袋をゆっくりと開けた。袋の中には……ここまで来ると、笑えてくる。有色透明のアレが、青色のキューブが入っていた。

 

 俺は掌の上に「それ」を乗せ、キューブが擬人化するのを待った。

 

 キューブは、すぐに擬人化した。俺の掌から離れて……しばらくは部屋の中を飛びまわっていたが、適当な場所を見つけると、そこで光を放ってからすぐ、その身体を「人間」へと変化させた。次第に現れる、人間の姿。その姿は、やっぱり俺と同じくらいか? たぶん、十七歳くらいの少女だった。

 髪は「クール」を思わせる青、髪型は文字通りのポニーテールで、目つきの方はやや鋭いが、その口元には女性らしさ、つまりは「優しさ」が浮かんでいる。身長はラミアよりも高い長身(ガルシャさんと大体、同じくらい)、体型の方もスラリとしていた。

 

 俺は、その姿(服装はやっぱり、アニメのコスプレモドキだ)に息を飲んだ。

 

 少女は冷静な顔で、ラミアの方に目をやった。


「そこの女は、モノフル。だとすると? おい」


「は、はい」と応えている間、少女が俺の顔に視線を移した。


「貴様が私の主人か?」


 俺は生唾を呑みつつ、その質問に答えた。


「い、いえ、俺は、あの」


「なんだ?」


 少女は(何故か)、俺の前に詰め寄った。すげぇ、良い匂い!


「主人かどうかハッキリしろ」


「しゅ、主人じゃありません。俺はその、はい! 選ばれた人間です!」


「私達に、か?」


「はい」


「そうか」と、どうやら納得したご様子。その証拠に「なら良い」と、可愛らしい笑みを浮かべた。「それは最早もはや、主人と同義だ」

 

 少女は、俺の目を見つめた。


「貴様の名は?」


「時任智です」


「トキトウサトルか。うむ、良い名前だな。私の名は、レイレ。『青』の力を宿す」


「モノフル」と、ラミアが割り込んだ。「私は、『銀』の力を宿すモノフル」


 レイレはまた、ラミアの顔に視線を戻した。


「無属性か?」


「そう。私達スーパーレアの力は、無属性。あなたの青は、水に関わる力でしょう?」


「ああ。モノフルには、その色に合った属性がる。私の場合は、『水』に関わる青」


 から少し黙る、レイレ。


「貴様の名は?」


「ラミア」


「スーパーレアの?」


「ええ」


 レイレは何故か、口元に笑みを浮かべた。


「今の会話で分かる。お前とは、気が合いそうだな」


 ラミアも、それに笑いかえした。


「私も同じ事を思った」


 二人の間に友情、のようなモノが芽生えた(ようだ)。


 二人は互いの目をしばらく見合ったが、ラミアが彼女に「レイレ」と言うと、真面目な顔でその視線を逸らし合った。「大事な話がある」


 レイレは、その言葉に眉を寄せた。


「すぐには、話せない話か?」


「ええ」


「分かった。なら」


 と言いつつ、ベッドの近くまで行き、そこにスッと腰掛ける。


「その時まで待つ」


「ありがとう」


 彼女は脚を組み(脚が超綺麗)、その時が来るのを待った。


 ラミアは、俺の顔に視線を戻した。


「時任君」


 から続く言葉は分かっていたので、特に驚く事もなく、二つ目の袋を開けた。袋の中に入っていたのは……って、この件はもう良いだろう? 

 

 俺も正直、疲れてきたし。

 

 なので、文字通りのショートカット!

 

 ここからは、擬人化したモノフルの特徴だけを挙げていく。

 

 11人目のモノフルは……。

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