最終話 災いへの序曲

 お帰り、ラミレ。

 

 夕方の散歩は、楽しかった?

 

 って……まだ、悩んでいるの?

 

 他のみんなはもう、賛成してくれたのに。

 

 ねぇ?

 

 ラミレは、私の事が嫌いなの?

 

 そんな事は、ない?

 

 なら、私の言う事を聞いて。

 

 私は……。

 

 ラミレは、私がどんな目に遭ってきたか知っているでしょう?

 

 僻まれ、疎まれ、憎まれ。

 

 今日だって、クラスのみんなに言われたんだから。


「お前、なんで学校に来ているんだ」って。


 ショックだった。


 私だって、学校になんか行きたくないのに。


 アイツらは、私の事なんてまったく考えていないんだ。


 家の親もそう。


「学校の成績が良ければ、それだけで良い」って。


 普通の親じゃない。


 ねぇ?


 ラミレなら分かるでしょう?


 おかしいのは、私じゃない。


 周りの、世界の方だって。


 賢いあなたなら分かる筈でしょう?

 

 私の事を愛するあなたなら。

 

 ねぇ、ラミレ。

 

 お願いだから、私の計画に協力してよ?



「……分かりました。あなたの計画に従います」



 の言葉には、色んな葛藤が感じられたけど。


 まあいい。


 私は、その言葉が聞きたかった!


 彼の身体を抱きしめる。


 周りのモノフル達は、「それ」を羨ましげに見ているけど。


 フフフ、大丈夫。


 あなた達も、後でしてあげるから。


 私の身体も含めて、その味をたっぷり味わわせてあげる。


 私の身体は、本当に美味しいから。


 フフフ。


 さあ、みんな。


 ラミレも、「うん」ってうなずいたし。


「災いへの序曲を奏でよう?」


 私は「ニヤリ」と笑って、部屋中のキューブ達を見渡した。

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