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「本当は――俺はエターナルの敵でしかねぇ! そりゃ、この国に長く居すぎて、メリッサにも会えたし、この国を好きになったのが間違いなんだが――俺はついこの前まで、メリッサを連れて祖国に戻ろうと考えてた! でもな! お前たちを見ていて、俺は変わっちまったんだよ! あの悠久の魔女様にだって着いて行こうとは思わなかったこの俺が、お前たちになら乗り換えても良いとすら思っちまったんだっ!!」


 ヘッドは頭をかき、


「いいさ。俺だって苦しんでやるさ。だがな、その代わりに――俺が乗り換えたことを後悔させねぇぐらいの働きを、お前たちにもさせてやるからなっ!?」


「くくくくくくくっ!」


 腹を抱えて笑うタルサを前に、俺はようやくタルサがしたかったことに気づく。


 今まで積み重ねてきたタルサの言葉は全て――本当はヘッドに向けた言葉だったのかも知れない。ヘッドを仲間に引き入れることは、それだけ困難なことだったのだと思う。


 やっぱり、タルサって凄い。


 そう思いながら盗み見た先で――タルサはなぜかミーナさんを見つめていた。


 タルサはまた、俺には想像もつかないことを考えているのだろう。


 タルサは一体、次は何を見せてくれるんだろうか?


「……それじゃ、俺が何をすればいいのか話してくれねぇか?」


 声に視線をやれば、煙草を吸い終えたロウが灰皿に煙草を押し付けていた。


「むしろ、ロウ殿は何をすれば良いと思う?」


 タルサの問いに、ロウはやれやれと首を振る。


「俺はアリシアやヘッドと違ってしがない医者の一人でしかねぇぞ? 俺が使える伝なんて医療協会ぐらいだし、俺がお前たちの国づくりの役に立つとはとても思えねぇ」


「妾はそうは思わぬよ?」


 ロウの自己評価に、タルサはニヤリと笑う。


「魔力の供給の他に、エターナルにおいて早急に必要なのは軍事力じゃ。今までは悠久の魔女殿がそれを担っていたために不必要であったが――悠久の魔女殿が不在だと周知された場合、この国はすぐに攻め落とされるであろう。妾もおることじゃし、神ランキング協会や戦力になる民をかき集めれば陥落はなくとも、民間人に被害が出るのは間違いない。ならば、それを防ぐための最低限の防衛力を集めねばならん。そのために――ヘッド殿には神ランキング協会ののんべぇ達を、ロウ殿には医療関係者とリザードマン達の橋渡しをして頂きたい」


 タルサのその言葉により、ようやく俺たちの国づくりが始まった。

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