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「よし!」
俺は席を立ち、受付へと歩く。
「相談があるんですけど、聞いてもらえますか?」
俺の言葉に、エルフのコメットさんは顔を上げた。
「どのようなご用件でしょうか?」
「これを読んでみてください」
俺は事前に準備した紙を渡す。
コメットさんは俺の差し出した紙を読んでくれたが、その内容に眉を寄せた。
「……この情報を、どこから手に入れたんですか?」
素直に答えるべきだろうか?
俺は少しだけ考えてから、
「これは、俺の転生者としての力です。俺にはこの世界の歴史を知る力があります。そこから導き出した情報で……その、信用に足る情報だと思います」
俺はここがセールスポイントだと思い、言葉を続ける。
「で、できれば、この情報を買い取ってもらうことはできませんか!?」
対して、コメットさんは悩むように
「これが本当であれば、とても価値のある情報です。しかし、これが偽の情報である場合、混乱材料となるため、その……私だけでは判断しかねます。どうしましょう?」
聞き返されてしまった。
――この情報が正しいのかどうか。
確かに、それはとても大切なことだ。
つまり、俺がやるべきことはひとつ。
この情報や、俺の言葉が、信用できるのか証明しなくちゃいけない。
「なら、コメットさんしか分からない事を言い当てたら、俺を信用してくれますか?」
俺の提案に、コメットさんは戸惑いながらもうなずいてくれた。
「……でも、何を当てるんですか?」
「パンツの色を教えてくれよっ!」
質問に答えたのは、俺でもコメットさんでもなかった。
振り返ると、昨日の昼に見かけた狼男さんが、酒のジョッキを片手に笑っている。
「どうせ当てるなんて無理だとコメットは思ってんだろ? なら――」
「何をセクハラしてんじゃこのアホ!」
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