例大祭の参拝客数は御神威に比例する。御神威は俺の年収に比例する。

一蓮托生

 高校生宮司の俺は、年収200万円。7人の巫女と同居中。家は広いけど、使えるお金は少ない。そんな俺の年収を上げるには光龍様の御神威を高めるしかない。そして御神威を高めるには、例大祭で沢山の参拝客が訪れないといけない。


(明後日の月次祭の支度をするのじゃ)


 って、いきなりの『御神託』かよっ。まぁ、良いけど。で、何をすれば良いかっていうと、簡単。境内で巫女の写真を撮りまくる。で、良いなってのをプリントする。月次祭の日におみくじで大大凶を引いた参拝者に配る用。運の悪い参拝客を慰めるため15年前から行なっている当社独自のサービス。という訳で、撮影開始。


 夏とはいえ、午前中の陽射しは柔らかい。光龍大社は四方を木々に囲まれている。自然な木漏れ日を生かしてあちこちで撮影する。柄杓や箒をそのまま小道具にする。

 それにしても、今年の巫女達は画になる。金魚は世界最古の観賞魚な訳で、人に魅入られて命を繋いできた種族。だからかもしれないけど、魅せ方が上手いんだよね。グラビアアイドル顔負けだよ。金魚じゃないあゆみちゃんも負けてない。恥ずかしがり屋な割に、写真に収まるのがとても上手い。聞いてみると、コスプレイヤーなんだって。納得。あおいちゃんも謎に写真写りが良い。全員実物もかわいいけど、四角いフレームで切り取ると、かわいさが3割増しになる。女子って凄い。嫌いってほどじゃなくなったけど、得意にはなれないなぁ……。

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