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 レッドダイバーの方は、引き続きリズムゲームプラスパルクールをプレイし続ける。

 その中で、現状のままでは無理があるのでは――と思い始めていた。その一方で、彼はある存在を思い出す。

(ネオ・レッドダイバーか)

 それは、公式コラボの一種として発表されたレッドダイバーである。

 その形状は特撮版のソレとは非常に異なり、ネット上ではネオ・レッドダイバーと呼称されていた。

 ある意味で、これが公式名称の可能性もあるかもしれないが――あくまでもレッドダイバーとして運用するらしい。

 SNS上ではレッドダイバーと区別したい、もしくは今のレッドダイバーと誤認識するので分けたいという考えがあるらしく、そうした事情でネオ・レッドダイバーという名称が生まれた。

 こうした事情をレッドダイバー本人は知る訳もない。他の公式で言及されているレッドダイバーで通しているので、SNS上の名前はスルーしている人だっている。

 あくまでもネオ・レッドダイバー

 はファンによる名称であり、公式名称ではないだろう。こうした名称で区別する勢力も、もしかするとSNS炎上勢とやっている事は似ているのだろう。

 こうした行動に対し、ガーディアンが問答無用に炎上と認識して大量の摘発者が――となるのを誰もが予想したが、それはなかったのである。

【ガーディアンが動くと思ったが、動かないか】

【なりすましガーディアンが炎上させるケースであれば、事例はありそうだな】

【今までの行動を踏まえると、今回のケースで動かないのはおかしい。これもSNS炎上の火種になるのでは?】

【何でもかんでも炎上と結び付ければ、それこそ別の思考を持っているという事で危険視されると思ったのではないのか】

【ガーディアンの行動に疑問を持つ勢力、反対派等を刺激してパニックになるのは得策ではない、と】

 SNS上の槍取りでも、今回のガーディアンが動かない事に関して疑問の声は出る。

 それに加えて、悪質ななりすましガーディアンが動くとも考えている人物だっているのだ。

 放置をすれば大炎上も避けられない――そう考える人物がいたのも事実だが、逆にそうした人物の発言が原因で炎上する事もあり得る。

 本人は炎上する事を考えていないような人物による『何気ない発言』こそ、ガーディアンがSNS炎上に直結すると考えているのだろう。



 偽のガーディアンが暗躍しているという情報を入手し、現場に姿を見せたのは――ゲーマー同盟のガラハッドだった。

 ARアーマーを装着し、その素顔を見せる事は一切ない。アーマーの形状はSF系と言うよりは北欧神話のテイストが若干入っているものに変えたようである。

『貴様たちがやっているのは、悪質な炎上煽り行為――それこそ、正義など全くないような悪意の――』

 ガラハッドの話にも彼らが耳を傾ける事はない。外見もガーディアンの警備用アーマーと同型の装備をしているが、明らかにノイズ的な物が発生しているように見えた。

 つまり、このアーマー自体は偽装なのである。それをガラハッドは速攻で見破った。

 まるで、その技術を最初から彼らが披露するのを目的にしている事を――知っていたかのような発言とも言える。

『あくまでも、こちらの意見は無視をするのか。それもいいだろう』

 ガラハッドが展開したのは、白銀の大型アームユニットだ。それを左腕に装着し、ガラハッドは戦闘態勢に入る。

 展開したフィールド、それはまさかの物だった。

《リズムゲームプラスパルクール》

『聞いていないぞ。リズムゲームでこのシステムが実装されているタイトルがあるなんて』

『このシステムは、本来であればバトル系ジャンルのゲームに絞られるはず』

『何が起きたというのか!?』

『バトル系ジャンル以外では、設置場所の関係で非対応のジャンルがあるとも書いてあった』

『まさか、あいつは何かを知っているのか?』

 展開したのは、何とリズムゲームプラスパルクール。それにはガーディアンに偽装したパリピ勢力も動揺する。

 どうやら、このシステムをガラハッドが把握していた事に動揺している可能性も高いだろう。

『何を驚く必要がある? ARゲームを聖地巡礼に利用しようとしている草加市が、これを導入している事に』

 冷静すぎるガラハッドの対応、これにはパリピ勢も言葉を失っていた。まるで、話がかみ合わない。

 他のエリアでは特定エリア以外で稼働していないARゲームは呼び出せないような事が――まとめサイトにあったはず。

『こちらとしても妙だと思ったのだ。ガーディアンの行動、ARゲームの対応ジャンル、それに――空中のなドローンに』


 ガラハッドが大型アームを装着していない右手で上空を飛ぶドローンを指差した。

 そのドローンは明らかにドット抜けしている様な不自然なモデリングで、空を自由に飛んでいる。

『普通はあり得ないだろう。あれだけ不自然なモデリングのドローンが飛んでいれば。ゲームソフトであれば、バグと思われてもおかしくはないレベルだ』

 次の瞬間、ガラハッドは左腕のアームユニットを起動、瞬時にしてガーディアンの偽装アーマーを無効化したのである。

 彼が使用していたアームユニット、それはパリピ勢力も恐れていたシステムだった。その名前は――。

「アガートラーム!? まさか、お前がシステム管理者の――」

 残る一人のパリピもガラハッドが気絶させた。厳密には無力化したという表現が正しいか?

 ガラハッドは、ガーディアンの偽者を発見してから特に動いた様子はない。静止しているようにも見えるのだが、

 一部のギャラリーが捏造しているのかもしれないだろう。

 それ位に、ガラハッドの目的を含めて謎の箇所が多かった。SNS上で彼の名前を騙って炎上させれば、自分が有名になれると思っていたらしい。

 それこそ近年に問題になっている動画投稿者のモラルのない炎上、暴走行為――そうした事例を踏まえてガーディアンが作られ、草加市で動いていたのは言うまでもないだろう。



 ガラハッドがガーディアンの偽者を倒している頃、レッドダイバーはネオ・レッドダイバーのアバターを入手していた。

 このアバター自体はログインボーナスの様なもので、期間内にプレイすれば誰でも入手出来る。

 能力上昇やアビリティの変化等はリズムゲームである関係でないだろうが、外見が変化するのは非常に大きい。

 これをカスタマイズしたブラックダイバーの様な事例を踏まえれば、明らかだろう。

『これが、なのか』

 レッドダイバーは思う。特撮版レッドダイバーにこだわらなければ、このアバターを使うのもありだろう。ある意味公式コラボと言うのも大きい。

 しかし、レッドダイバーにこだわりはあってもデザインを特撮版にこだわる必要性はあるのか?

 下手にアバターのデザインで著作権等を理由にしてトラブルになれば、アカウント凍結の可能性だってある。

 今のSNS上における立ち位置を考えると、ネオ・レッドダイバーのアバターに乗り換えるべきなのか――彼は悩む。

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