第7話:新たな力-ネオ・レッドダイバー誕生-
ゴールデンウィークに突入しようとしていた五月、レッドダイバーの快進撃は止まらない。突入までの四月末日近辺の天気も晴天が続いた事も影響しているのだろう。
動画サイトやまとめサイト等ではレッドダイバーの正体考察を行う所まで出てきており、その人物像に関しても憶測が飛び交う状態だ。
レッドダイバーの正体探りに関しては今に始まった事ではなく、以前にもあったのだが――過熱してきたのは快進撃が始まった辺りである。
「彼の快進撃は、何処まで続くのか」
SNSのニュースを見て疑問に思っていたのは、
それがレッドダイバーの快進撃でもあった。リズムゲームなので、他の対戦型ゲームと違って連勝などの単語は使われていないのが特徴だ。
そう言った事もあり、そのジャンルを知らないニワカと思われないように快進撃と言う単語を使っているのだろう。
どういう意味で快進撃なのか、シオンは困惑をしているが――スコアを見て更に驚くしかなかった。
(このスコアは……)
全譜面でのスコアが表示されていた、ある楽曲のスコアだけを見ると――【EASY】と【MAIN】のスコアしか表示されていない。
バグと言う訳でもなければ、表示ミスでもなく、単純にレッドダイバーがプレイしていないだけなのである。
しかも、スコアはフルコンボ達成した上でのスコアなので他のプレイヤーよりもやり込み度合いは大きいのだろう。
その一方で、スコアの大半はフルコンボを達成しているのだが理論値スコアではない。それを踏まえると、快進撃は盛り過ぎという声もあるのだろう。
しかし、仮に快進撃がまとめサイトによる炎上狙いの物だったとしても、彼のスコアが不正ツールによる物ではないのは揺るがない。
【あのスコアを不正ツールと言うのであれば、全スコア理論値を叩き出しているプレイヤーの方が不正と言われるべきだ】
【明らかに快進撃を見て何かを焦っているまとめサイトが炎上させようとしているのだろう】
【芸能事務所からのわいろか?】
様々な憶測でつぶやかされているSNS上のコメントを見て、シオンはため息を漏らす。結局、SNSでの炎上は避けられないものなのか?
草加駅近くのARゲームエリア、リズムゲームプラスパルクールの聖地となった場所でもあった。その理由は、言うまでもなくレッドダイバーの快進撃を受けての物である。
「ここでプレイしていれば、必ずレッドダイバーが来る」
「レッドダイバーを倒せば英雄に――」
「倒すって、格闘ゲームではないのだぞ」
「じゃあ、どうすれば?」
「これはリズムゲームだ。演奏後にゴールした際のスコアで決まる」
周辺のギャラリーやプレイヤーも、この盛り上がりには驚いている様でもあった。
しかし、レッドダイバーを倒せば逆に英雄になれると考えている物からすれば、もしかするとレッドダイバーはレイドボスなのかもしれない。
「そう簡単に攻略出来ないからこそ、まとめサイト等が炎上させる――そうではないのか?」
周囲の声を聞き、皮肉を言ったのはクー・フー・リンである。プライベートモードに近いので、マスクは着用をしていた。
今回の目的はプライベートなのだが、単純に聖地となったゲームエリアを見学に来た訳ではない。
「攻略出来ない? ジャンルが格ゲーや対戦アクションではない以上、勝ち目があるのではないのか」
彼女の一言に逆上したあるプレイヤーが近づいてくるのだが、それを見て騒動になると察したある人物が駆けつける。
「両者とも、そこまでにしてもらおうか。こちらとしてはSNS炎上で被害が出る事が――」
黒髪にショートヘア、メガネをかけた男性――彼の顔を見て、すぐさま拳を収めたのは逆上したプレイヤーの方である。
普通はクー・フー・リンが拳を収めそうな気配なのだが、彼の顔を見ても無表情なので知らない可能性が高いだろう。
この人物の正体は、
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