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 赤をベースとしたスーツ、アーマーは青ベース、アーマー及びメットの形状はSFと言うよりは若干の西洋騎士テイストかもしれない。

その姿は現在再放送が放送中のアニメ版ではなく、間違いなく特撮版のレッドダイバーである。

『私の名は、レッドダイバー。悪しきまとめサイトを全滅する為に――この世界にやってきたヒーロー!』

 周囲のギャラリーが歓声を上げるのも無理はない。動画サイト等で視聴している者も驚くしかないだろう。

声に関してはボイスチェンジャーがかけられているかのような気配だが、レッドダイバーのオリジナルキャストの声に変わる訳ではない。

(これはややこしくなりそうだな)

 ジャック・ザ・リッパーとは別のマッチングしたプレイヤーは、レッドダイバーの出現が別の意味でも真実を歪められそうな気配を察していた。

そう言った事もあり、彼が逆に来ない方が真実は伝えられそうな――と思う。実際、この人物が所属しているのはガーディアンだからである。

 ガーディアンはSNS炎上案件を監視し、悪質なものであれば改善を指示、それが出来なければ最終手段として実力行使に及ぶという。

SNS炎上勢力の監視はガーディアンも行っており、ジャック・ザ・リッパーも監視対象の一人だった。

それを踏まえると、レッドダイバーの登場は事態を悪化させるだけ――周囲のギャラリーの一部も、似たような事を思っているだろうか。

《マッチングプレイヤーが揃いました》

 該当するプレイヤーのARメットにインフォメーションが表示され、所定の位置につく。

道路に何か表示がされる訳ではなく、ARメットに所定位置の指示を行っている形である――。



 所定のスタート位置に付いたのはジャック、レッドダイバー以外では二名のプレイヤーだろう。

しかし、既にバトルの構図はジャックとレッドダイバーの二人に集中しているような気配だ。

(明らかに――向こうは何かを狙っている)

 ジャックは、レッドダイバーの方へ視線を向けることなく一直線に向いていた。

レッドダイバーの方は無言でガジェットやオプションを開いての調整を行う。楽曲のセレクトは既に終わっており、それを踏まえての調整だろうか。

それ以外の二人もオプションを調整しており、各自で様々な対応をしているのかもしれない。

ジャックの方はオプションを何も触らないのは、もしかするとチートが発覚するのを防ぐ目的だろう。

四人とも共通してオプションガジェットなし、ガジェットは現在装備している物だけになるようだ。

「楽曲は――」

「この曲って、難易度がいきなり高いものじゃないか」

「高難易度譜面のみをプレイするプレイヤーがいる話はあるが、まさか――?」

 周囲のギャラリーが動揺するのも無理はない。セレクトされた楽曲の難易度は10段階で8と言う高難易度。

それに加えて、他のプレイヤーも選んだ楽曲が全て高難易度――どう考えてもギャラリーの認識力が試されそうな気配はする。

「しかし、パルクールにリズムゲーム要素を足すなんて、よく出来たな」

「実際、ARゲームではない作品で似たようなシステムを持つリズムゲームがあったらしい。それがヒントになったとか」

「完全オリジナルのゲームが作りにくいような環境で、ここまで操作性すら違うゲームが出来るものなのか?」

 リズムゲームプラスパルクールはリズムゲームとパルクール要素を足したARゲームであり、埼玉県で人気のARゲームの一つだった。

それに加えて、披露されるパルクールアクションはSNS映えするという事でも話題で、草加市には観光客が集まるような流れになっている。

その一方、危険なアクションに走ってSNSで悪目立ちしようというプレイヤーもいた。ARゲームでは危険プレイを禁止しているガイドラインがあるはずなのに――。

「これだけのゲームを、一回二〇〇円と言う事らしい」

「二〇〇円!?」

「コスパは大丈夫なのか?」

「それが大丈夫だからこそ、こうして爆発的な人気になっている――のではないのか」

 ギャラリーが更に驚いたのはプレイの値段である。対戦格闘ゲームでも一〇〇円設定が多く、対戦要素が絡むものであれば値段設定は神経を使う。

その中で1プレイが二〇〇円と言うのは若干の破格設定である。あれだけの体験が出来るのであれば、一回三〇〇円位の設定でも高いとは感じない。

むしろ、この値段で本当に採算が取れるのかも疑われるレベルで、格安設定になっているのだ。

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