最初の目覚め7
「やっときたか!やったな!頑張ったな!」
大木の上に登ると声の主はニッコリと笑って此
方へ駆け寄ってきた。
そいつは大柄かと思いきや腰ぐらいの大きさしかなかった。
「オイラ、シュガー!よろしくな!」
ふわふわした手を差し出され、握ろうとした途端、腰の力が抜け膝をついてしまった。
「どうした!?腹痛いのか!?…ん?…泣いてるのか?」
小さな鼻と長いヒゲがひくひくと忙しなく俺の
状態を探ろうと動きだし、クリクリの大きな瞳
が心配そうに覗き込んでくる。
「離した…離したくない、離したら駄目だったのに…救えなかったっ…怖くて、、おれッ。」
「大丈夫だ。オイラも怖いよ。でも怖いって生きたいって事だとオイラ思うんだ。」
キュッと抱きしめられると頭の上に長い耳が被
さってきて、まるで毛布にくるまっているよう
で不思議と安心できた。
生きたいか…そんな事初めて考えたかもしれない。
「ま、オイラ馬鹿だからよく分かんないんだけどな!」
「何だそれ。」
また2本の長い前歯を覗かせてニコッと笑うそい
つが可笑しくて気づくと溢れる涙は止まり、笑
い合っていた。
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