最初の目覚め6

目を開くとさっきまでよりも沢山の草木が、


地面も遠くまで広がって見える。


そうか、俺はこのツタで上に引き上げられたのか。


「いつまでそこにいるんだ?早く上がってこいよ?」


頭上からまた声がして見上げると、そいつは予想外なビジュアルで驚きのあまり少し手の力を緩めてしまった。


「おい!危ないぞ!今下に落ちたら」


足元からカツカツと石を叩きつける様な音が聞こえる。見下ろすとさっきの獣が7頭ほど集まりそのうちの何頭かが今にも俺の足を食い千切ろうと飛び跳ねていた。


「わぁぁぁ!!まだ空中じゃないか!」


「おうよ!そんな変なもん持ってないで両の手でちゃんと掴まないと上がってこれんぞー。」


は??変な物??何言ってんだ、そんな事より早く登らないと!


揺れるツタを両足と左手でぐっと掴んで右手を上へと伸ばすと顔に何か生暖かい物がかかった。


「え!?何だこれ!!」


驚いて右手に握っていたモノを投げ捨てる。


それは根元から飛沫を飛ばしながら空中を優しく滑り落ちていく。


逆光の黒いシルエットがとけていくと白く透き通った姿が現れた。


慌てて手を伸ばしたがもう届くはずもなく、それは鯉の池に飲み込まれていった。


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