第25話 何一つの役にも立たんでしょう

「ヘ、ックシュン!」

鼻風邪、ひとつ。

「…ここは、どこだ?」

どうやら俺は、クシャミの弾みで異世界転移したらしい。


「来たぞ…最後の転移者だ」

状況が分からんが、俺は数人の現代人と大勢の異世界人に囲まれていた。

パーティを組まされるのかと、一先ず俺は成り行きを静観する事にした。


 老人が俺にスキル鑑定紙を向け、チェックし始めた。

『この手の事態』も当然あり得るので、外部アクセスに対しては『該当世界で得たスキル』しか表示されないよう、フィルターをかけている。


 老人は言う。

「雑魚スキルですな。魔王討伐には、何一つの役にも立たんでしょう」

それを聞き、周囲の異世界人はあからさまに落胆する。

数人の現代人も、蔑む様な目で俺を見てくる。


 ハハーン。ざまぁ系パーティ追放モノか?

その後は『成り上がり』か『スローライフ』か、見極める必要があるのでさらに静観の必要がある。

「全く、使えねぇクズが来やがって」

「目ざわりなんだよ、ザコが」

現代人達は口々に俺を罵る。

しかしまぁ、どうしてこう、ネガティブシーンだけは念入りなのか。

「状況もわかって無ぇみたいだし、これだから異世界シロートは」


 はぁ~ん??!誰がシロートだって?^^


 イラッ☆とした俺は、相手にするのをやめた。

瞬間移動と隠し持っていたチート能力とで、俺は四天王と魔王の首をもぎ取り戻った。


「はい、四天王と魔王ね。魔王軍は指揮系統が消えたので、全軍撤退したから」


 どよめく元パーティと異世界人たち。

プロとアマの差を見せてやろう。さあ、ようく、見ておけよ?


「あれ?俺なんかやっちゃいましたかぁ?」キョトン


 そうして帰還した俺は、栄養ドリンクを買いにドラッグストアへ向かうのだった。

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