第50話~現在と過去と未来~

美由紀が戦場に到着した時には既に戦闘が終わっていた。


戦闘は希望が覚醒して柳を倒すと、橋本は逃げてしまったそうだ。



とある麻薙の行きつけの居酒屋。


「ごめんなさい、間に合わなくって」


と頭下げっぱなしの美由紀


「偶然とはいえ結果オーライじゃないか」


といい感じに出来上がっている麻薙


「方向音痴が役に立った」


とぼそり言った希望


「まぁーまぁー今日は麻薙の奢りだから楽しんでよ」


希望と美由紀の肩を叩きながら麻薙は言った。


1時間が経った頃、麻薙が酔いを抜きタバコに火をつけながら切り出した。


「であんたらここに何しに来た?」


美由紀と希望はこれから起きる事を話した。


「なるほどね、新浜の件は手出ししないとして、今日が私の命日になるんだ・・・おねーさんまだやりたい事一杯あるのに・・明日の新台入れ替え、週末の無馬記念G1レース、年末の寝正月・・」


麻薙はちょっと寂しそうに言った。


本当にこの人が関東支部N,o1なのかと美由紀と希望は思ったが、先の戦いで柳と橋本にあれだけやれれば納得しないわけにはいかなかった。


「おし、わかった、未来の為におねーさんのこの命あげちゃうから最後に教えて」


急にテンションが上がった麻薙がそう言うと希望を指差して更に言った。


「何でジンが3人もいるんだ、2人ならわかるんだけど?」


「えー3人?どう言う事」と横で騒いでる美由紀を無視して希望と麻薙は話し始めた。


「気づいてました?そう私にいるのもジンです」


「だよな、覚醒した時うちのジンが気づいたらしい・・同じだって」


「これは・・私の母でここにいる美由紀さんから受け継いだ物で・・」


希望は少し小さな声で話したくなさそうに言った。


「てっきり姉が希望で妹が美由紀かと思ってたわマジで・・くぅー俺の感も鈍って来たか・・お前ら親子かよー」


麻薙は2人の顔を交互に見て更に


「ありえねぇー」


ボソッと美由紀が「私が妹の方なんだ」


希望もボソッと「美由紀が鈍感でよかった」


「俺を基準にすると変だから美由紀のジンは現在のジンで希望のが未来のジンで俺が過去のジンってことになるのか・・やっぱりありえねぇー」


そう言いながら麻薙は頭を掻き


「ジンよーお前らはどうなんだ?」


「「「同じルナが同じ時間軸にいるのに前例がないわけではない、ただ3つのルナが同時にとはルナの歴史に残る奇跡であろう」」」


と同じ3つのジンがハモリながら答え美由紀と希望にも聞こえた。


「奇跡ってよりも宝くじ1等前後賞をまとめて3本当たったって感じだよ、まぁー冗談はここまでにしてどうやって今の美由紀にジンを渡す?」


「冗談なんかぁーい」と美由紀は突っ込みたかったが急に話が真面目になっったので出しかけた右手を戻した。


「今から寝込みを襲うか?未来の本人がここにいるけど」


美由紀は飲んだ水を噴いてしまった。


「麻薙さんそれしかないかも」


と冷静な希望。


「希望ちゃんまで」



3人は過去の美由紀の部屋にいた。


「これって泥棒じゃ」と小さな声で美由紀


「お前んちだろ、本人いるんだしフィールド張ってるしOK」と小さな声で麻薙


「私、ここの孫だから・・」と小さな声で希望


「じゃ始めようか」と麻薙が寝ている過去の美由紀に近づいて顔を近づけた時に現在の美由紀が止めた。


「ちょっと待って、麻薙さん今から何をしようと」


麻薙は顔を離しながら振り向き口を尖らせたまま


「ん?ちゅーするんだよ、わかりやすく言うとキスか接吻、ルナの口移しって言い方もあるな」


「ちょっと待って心の準備が」


現在の美由紀がそう言うと希望が現在の美由紀の額にチョップをした。


「何であなたが心の準備するのよ」


チョップされた額を摩りながら現在の美由紀は恥ずかしそうに。


「だって・・これって私のファーストキスで・・しかも相手が女子だなんて」


ともじもじし始めた。


「これじゃ先に進まんから・・希望ちゃん、そのもじもじ娘を外に連れ出して、終わったらフィールド消えるから私を回収に着て」


麻薙がそう言うと


希望はラジャと右手を上げて現在の美由紀と共に外に移動した。



外に出た美由紀はフィールドが張られた部屋を見ながら涙をボロボロ流しながら泣いていた。



少しするとフィールドが消え希望が再度フィールドを張りなおし麻薙を抱えて戻って来た。


「貰う時より出す方が、いてーなぁちくしょう」


掠れた声で麻薙が言うと美由紀は麻薙に近寄り「ごめんなさいと」と言った。


「麻酔的な魔法かけておいたから大丈夫、それと本来より数時間も長く生きられたし、俺が美由紀を選んだ結果どこかの動物王国の星も救えたわけだし、俺にとって良い結果ってわかってよかったよ・・しかし無馬記念やりたかったなぁ鉄板だぜ鉄板・・まぁー人は運命には逆らえませんからってどっかの誰かが言ってたっけ・・最後にお前達に会えて良かっ・・」


最後まで言い切らず麻薙は目を閉じてしまった。


そして少しすると麻薙の体が蒸発して着ていた服だけが残り、ルナがいなくなると最後はこうなるを見る事になった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る