第45話~再開~

目撃地点に到着した3人は思った、吹雪いてるこの視界の悪さでどうしろと、と


そう思った時、美由紀は後ろから何かに押し倒され仰向けのまま押さえつけられた。


「ガルルル」


「トレート?」


吹雪の中で微かに聞こえた獣の声につい答えてしまった。


「ガル?」


押さえつけが解かれ、美由紀は体を半回転させて声の主を確認した。


服はボロボロになっていたがどう見てもトレートだった。


美由紀は思わずトレートに飛びついてしまった。


「ガゥウウウン」


それに答えるかの様にトレートも答えた。



美由紀達は言葉が通じないトレートと支部の厳重な部屋に監禁されていた、むろんトレート以外の出入りは自由だった。


「ねぇジン、何で言葉が通じないんだろう」


「魔具を失ったからでは」


「でもアリスは魔具無でも話してたよね」


「言われてみれば確かに、希望の魔具では」


「試してみようか」


美由紀は希望に魔具があれば話が出来るかもと説明をした、何度か希望が試していると希望とトレートが急に耳を抑えて動かなくなった。


心配になった美由紀が希望達に近づくと希望が耳から手を放しながら


「ママ大丈夫、ちょっとキーンってなっただけ」


「それならいいけど、急に動かなく・・」


希望は話してる美由紀を手で制し何とトレートと会話を始めた。


「それでね私達がルナ間通信をする様に魔具にも魔具間通信があるんだけど、魔具には作った人が設定した周波数みたいな物が同じじゃないと繋がらないそうで」


そう希望が説明すると美由紀が


「なるほどね、私が持っていた魔具は元々トレート達と周波数が同じだったからいきなり話ができたのか」


続けて希望が


「今、耳がキーンってなったのは強制的に周波数を合わせたらしい、だから今トレートと会話できる。」


「それって大事な時にしか出てこない何とかの意思ってのじゃないかな、まぁ意思疎通ができれば問題ないか」



翌日、大問題が発生した、JP-SASの上役からトレートを本部に引き渡す様に北海道支社の片山支部長に指示が出た。


「ごめんなさい美由紀」


と申し訳なさそうに片山


「しょうがないよ組織ってのは珍しいものが好きだから、私だってとめさんいなかったら今頃解剖でもされてるかもしれないし」


と笑いながら美由紀


「大丈夫、どんな手を使っても必ず自由にしてみせる」


何故かやる気満々の希望



東京まではトレートのお陰で普通の旅客機は使えず、軍用の輸送機で行くことになった。



本部では幸い檻には入れられなかったが壁の厚い特殊な部屋に入れさせられた。



翌日、トレートの行く末を決める会議が行われた。


その結果、とめさんを除く賛成多数でとある研究施設に行くことが決まった・・はずだった・・・採決の途中、希望が会議室に乱入しなければ。


「無礼を承知で、異議申し立てに参りました・・・この度異星からの国王の行き先についてですが・・・会話可能または指示を出せる者がこの地球で・・・竜機1号機及び製造中の2号機の破壊・・・と言う事で東京を一面焼け野原させていただいても・・・私は一向にかまいませんが・・・新装備?いいでしょうただし戦闘用ではない物で・・・トレートと西谷美由紀を私の家でと言う事でいいですね」


のちにとめさんから聞いた話では希望VS日本政府という絵を描いたらしい。


「相も変わらず無茶するのは母親の血かね」


とめさんはそう思ったのであった。

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