第13話~チーム~

今日は演習場で実践形式の練習。


西谷・荒川・片山対長谷川の3対1であった。



「長谷川さん、いくらなんでも3対1なんて」


そう言ったのは西谷


「手加減しないですよ」


実戦経験豊富な荒川がそう言う


「長谷川さんは何系?」


相手の情報が欲しい片山。


「もしかして皆さんは私に勝とうとしている?」


長谷川は口元をニヤリとさせながら続けて


「ルールは時間内に有効な攻撃が1回でも私に当たったら君たちの勝ち、負けた方が食堂で好きな物を好きなだけご馳走するって言うのはどうかな?」


「その話乗った」


即答で答えたのは荒川だった。


好きなだけと言われ女心に火が点いた西谷と片山の2人がゴージャスなトッピングの乗った美味しいカレーを妄想させながら了解をした。


長谷川は少し離れ3人の方へ向くと


「では始めようか」


そう言うと各自フィールドを展開し戦闘態勢に入る。


いつもと変わらない格好の長谷川、西洋甲冑の荒川、雪女風の片山、そしてマジシャン風の西谷


それを見た長谷川がニヤニヤしながら


「何故にその格好?師匠は荒川さんかな?」


西谷は荒川の名前を出されて顔を真っ赤にしながら


「ち、違います。私なりに考えて」



時刻は遡り昨日の晩。


西谷は考えていた魔法の威力の調整が難しければ数字で表せばいいのだと。


ジンと協議してトランプを使用し4種類(スペードは破壊魔法、ダイヤが防御魔法、クラブが消滅魔法、ハートが回復魔法)と今出せるそれぞれの最大の威力を13段階に分ける事にしたが、威力調整できる反面発動までに時間がかかる様になった。


戦闘服もそれに合わせてマジシャンの格好にしたが、決して荒川流れでの格好ではなかった。



そして3対1の夕食を賭けた戦いが始まった。


西谷、荒川、片山は各々の得意とする方法で攻撃をしていく。


それに対し長谷川は1つ1つの攻撃を的確に防御していた。


制限時間の残りが1分になったところで長谷川は防御しながら戦闘そっちのけで


「前菜はあれで、メインは何にしようかな、デザートは・・」


そう言われた荒川が一度離れて西谷と片山に声に出さないルナ間会話を始める。


「別々に攻撃してもあの防御魔法は突破できない、私が動きを抑えるから片山は詠唱の時間の掛かる西谷の援護、残り時間も少ないから西谷はデッカイやつをぶちかましてやれ」


了解と2人が答えるのと同時に荒川が長谷川に向かって走りだし分身し長谷川の全方位を取り囲む、片山は西谷の前に立ち長谷川から西谷を見えない様にマジックミラーの様な氷の壁を作り出す。


そして西谷は両手を前に出すと1枚のカードが手の上で横にクルクル回りながら現れる。


西谷は集中しながらジンに伝える「スペードの13」と


手の上で回っていたカードが止まりボッと燃え消える。


消えたのと同時に長谷川の頭上に巨大な火の球が現れ荒川を巻き込みながら大爆発を起こした。


爆発が収まるとそこには倒れた長谷川と片足を着き2枚の盾と氷の膜で覆われた荒川がいた。


「荒川さんは間に合ったけど、美由紀ちゃん・・デッカイにも程があるよ」


片山は涼しげな顔でそう言うと爆発の余波でボロボロになった氷の壁と荒川を覆っていた氷幕の魔法を解除する。


「ご、ごめん、デッカイのって言われたからつい」


申し訳なさそうに西谷は答える。


2人はそう話すと動かない荒川の方へ向かった。


近づくと荒川は肩で息をしながら親指を出し、声にはしなかったが「GJ」と


すると長谷川の嬉しそうな声で演習場に放送が入る


「はい、そこまで、3人共ご苦労であった」


その放送が流れ終わると3人は倒れて動かない長谷川の方を見た、そこには長谷川似の焦げた人形が転がっていた。



「え?ずっと会議室で会議していたけど」


この長谷川の言葉に私達は誰と戦っていたのだろうと3人共同じ疑問を持ちながら、約束の夕食をご馳走してもらっていた。

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