第12話~共に友に~

学校が休みの日以外の放課後に訓練が続く。


合格を貰った次の日から美由紀、片山、荒川の3人で訓練が行われている。


荒川は近接戦闘術を美由紀と片山は長谷川と魔法全般を教わっている。


美由紀は魔法の威力のコントロールから始めている、一方の片山は魔法自体に問題は無かったので新しい魔法の練習をしていた。


美由紀の得意な魔法は破壊及び消滅で特に範囲を決めなければ物凄い威力を発揮した。


但し、魔法が具現化するまでの時間が片山の2倍の時間を要した。


片山の得意な魔法は氷を使った魔法で攻守共にバランスが良かった。


荒川の得意な魔法は具現化装備と分身、分身は多く分身するほど使用時間が短くなる。



時刻は18時、時計をみながら長谷川が


「今日の訓練はここまで、明日は実践方式で練習を行うのでよろしく」


そう言い残して演習場を後にする。


残った3人も各自帰宅の準備をして帰路についた。


美由紀は毎日帰ってご飯を食べるのが面倒になっていて、帰りに食堂に通っていた。


「あー今日も疲れた、今日は何カレーにしようかな」


とカレーコーナーに行くと、そこには片山がメニューの前で腕を組んで悩んでいる姿があった。


食堂だったのでいつものように声を掛けてみた。


「片山さん、今日は食堂で夜ご飯」


声を掛けられた片山が振り向き


「西谷さんはカレーに何を乗せる」


美由紀は一瞬転びそうになったが体制を建て直し


「夜はカレーとサラダで済ましている」


そう言うと片山が


「なるほど、カレー本来の味を楽しむというわけだな」


食堂に居る時の片山さんって可愛いと思った美由紀だった。


結局2人でカレーとサラダを注文して同じ席で食べることになった。


「そうだ西谷さん、私のこと雪でいいよ」


カレーを味わいながら片山がそう言うと西谷も


「じゃ雪ちゃん、私も美由紀で呼んで」


「うん、美由紀ちゃんで呼ぶね」


今まで普通にできた会話が出来て美由紀は嬉しかった。


食事を終え2人は別々のコンビニへ


最寄のコンビニを出ようとした時にジンからの声が聞こえる


「美由紀、お願いがあるのだが」


「何よ改まって」


「ここのコンビニで売っているデカビリンローヤルVと言う商品を買ってもらいたいのだが」


「それって栄養ドリンクか何かの事かな」


「ここではそう呼ばれている物だ」


美由紀は出かけたコンビニに戻りドリンクコーナーに行くとそれは売っていた。


「これでいいのかな?」


「それで頼む、購入する時にIDを見せると安く購入できる」


言われてレジに持っていくと店員が2400円になりますと。


美由紀は値段を聞いて耳を疑ったが確かに2400円の表示が、慌ててIDを見せると店員がレジのあるボタンを押す、すると2400円だった表示が400円に変わった。


レジを済ませコンビニを出るとジンが少し興奮気味で


「美由紀、それを摂取してもらえないか」


まだ人通りもあり、女子高生が店前で栄養ドリンクを飲む勇気が美由紀には無かった。


「恥ずかしいから、ちょっと家まで待ってよ」


と美由紀


「理解に苦しむ」


とジン


家に着くと美由紀がジンに聞いた。


「何で栄養ドリンクなんて欲しがるの?」


「それは、SASがルナ向けに開発したドリンクで消耗した体力を回復させる」


「そんな物がコンビニで売っているの?」


「必ずコンビニを通るからだな」


「なるほどだけど、私は外では絶対に飲まないからね」


「理解に苦しむ」


「サラリーマンじゃあるまいし、女子高生は飲まないの」


「わかったからそれを摂取してくれないか」


そう言われて蓋を開けて飲んでみると蜂蜜味の強い栄養ドリンクの味がした。


「これでいいの?」


「これからも定期的に頼む」


そう言うとジンは静かになった。


まだ寝る時間には早いが美由紀も睡魔に襲われシャワーを浴びて寝てしまった。

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