第3部 理想郷の秘密《2》
物語が、やっと半分までたどり着きました。残りあと半分、頑張るぞー!\(^o^)/
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ピンポン玉くらいのパステルグリーンの丸っこい蜂と、蜜蜂似の薄い紫色の蜂は、やっぱり見た目が普通の蜂と違うため、親や仲間達から捨てられた蜂だった。
パステルグリーンの蜂は、もともとはダンジョンにいた魔物だったけど、地上での適性があって、地上で暮らし始めた蜂から生まれたらしい。捨てられてひとりぼっちの生活をしていたけど、ある日やっぱり捨てられてた薄い紫色の蜂を見つけ、それからは、2匹で一生懸命生きてきたみたい。
それが今日は、大型の動物に追いかけられて、薄い紫色の蜂を守ろうとパステルグリーンの蜂は頑張った。でも、ついに二匹は力尽き倒れた。
そんな危機一髪の所を、狼さんと天使達に助けられ、ここに連れてこられたと言うわけ。間に合ってよかったね!
「がんばちゃ、の。よちよち」
まぁ私達からすれば、パステルグリーンの蜂はかなり大きいけど、丸っこ体型でこの小さな私の手のひらに乗っている姿を見ると、可愛いと思う。
頑張ったねーと、撫で撫でしてあげました!
「喜べグルナ。これで美味しい蜂蜜と蜜蝋が、ダンジョンのドロップ品に加わるかもしれないぞ」
「ふぉ! はちみちゅ!」
蜂蜜と蜜蝋、食べ物にも化粧品にも使えますよ! わ〜い♪ と、手のひらに蜂を乗せて、くるくる回って喜んだのは言うまでもない。
パステルグリーンの蜂も、薄い紫色の蜂も、黒色とのしましま模様でお尻の所だけ渦巻き模様になっている。また、おめめは大きなつぶらな瞳で、瞬きするとパチリパチリと音がしそう。
今もお兄さんなパステルグリーンの蜂が、まだ幼い薄い紫色の蜂を
このダンジョンにいれば、かなり大きくなるらしいから楽しみだね!
“はっちみちゅ〜♪ はっちみちゅ〜♪” とキャメリアに手をひかれ、呪文のように唱えてお屋敷の中をスキップしていたら
「おや、グルナお嬢様。今日もご機嫌ですな」
と、声をかけてきたお爺ちゃんが。私は振り返り、とてとて歩いて行くと
「アユじーじ、こんにちはー!」
と、元気よくペコリと頭を下げた。
「ふぉっほほ、こんにちは」
同じように丁寧に頭を下げてくれたのは、アルケミーオさん。
錬金術の箱がある研究所の一番偉い人で、“向こうお店に連れて行ってくれ! ” と、もうプッシュをかけてくるマージェさんのお祖父様でもある。
若い頃は曽祖父に色々
「アユじーじ、むこーの、しぇかい、はにゃし、しってゆ」
「向こうの世界の話ですかな」
「あい!」
にっこりと満面の笑顔で、ぴょんと飛び跳ねてしまったよ。曽祖父の時代、初めて扉を開けて向こうの世界に行った時の話。
アユじーじは、実際に向こうの世界に行ったわけじゃない。でもアユじーじのお父さんは、曽祖父について向こうの世界に行った1人だ。アユじーじはその時の話を、お父さんからから聞いたことがあるそう。
ちなみにお祖父様は、曽祖父から話は聞いていないそうだ。ただあの納屋は危ないから、決して開けてはいけないと言われていた。
アユじーじと並んで、とてとて廊下を歩く。お爺ちゃんと幼児の足で歩みは遅いけど、お喋りしながら一階の広間へ。
お爺ちゃんに、3階の私の部屋にきてもらうには、階段が長すぎるからね。
「どーじょ」
アユじーじにソファーに座ってもらい、私も横に座る。いや、よじ登る。
キャメリアに飲み物を頼んで、アユじーじの話を聞きますよ。
「アユじーじ、おはなち」
アユじーじのお膝にポンと手を置き、おはなちーと言えば、かってお父さんから聞いたと言う話をしてくれました。
アユじーじの話によると、曽祖父達が王都からこのお屋敷にきて、数日後には数ヶ所ある納屋の中を確認したそうなんだけど、その時には変わったことはなかったらしい。
ただ、
馬の体を洗うために、大河から汲んできた水の入った
曽祖父達はその扉を開け、中に入る。入った先にあったのは、おそらく60年前の向こうの世界のお姉さんの家なんだろうけど、その家を見る前に前方の山がものすごい熱気を放ち燃えている様子が目に入ったみたい。
アユじーじのお父さんは、
「ちゃくねちゅ、あっちゅっちゅ、ちゃいへん、にゃの。」
両方をいっぱいに広げ、たーいへんと言う私に “そうですなぁ” と笑ったアユじーじは、話を続ける。
灼熱の巨人、それはそれでちょっと怖いと思う。で、その灼熱の中で曽祖父達は倒れている少年を助けた。
熱気を少しでも冷ますため辺りに水をまこうとした所、倒れていた少年が何かを必死に訴えて、燃え盛る山とは反対側の方を指さしたそう。お姉さんのお家の裏、桜の木がある方向だね。フムフムと頷きながらお話を聞く。
水を持って少年について山の中に入って行くと、そこには立派な木があったんだって。向かいの山からくる熱気に、元気をなくしていた木。少年がその木に水をかけてくれと曽祖父達に
曽祖父達は少年の熱意に、持っていた
その瞬間、曽祖父達は木から
その木は、まるで
「ふぇ! ちぇーぢゅ」
聖樹、それは向こうの世界的には御神木のような感じだろうか。私は思わずソファーの上に立ち、ぴょ〜んと跳んだ。
風向きがかわり、熱気まではおさまり、
曽祖父達は、この木を何とか助けたいと思った少年の気持ちが、何となくわかったような気がすると言っていたそうだ。
その後、少年の家まで戻ると、まるで聖樹の結界がそこまで届いているかのように、正面の山は燃えているのに、そこには熱気が感じられなかったと言う。
「ふちぎ」
「本当に、不思議なこともあるもの。父は言っておりましたよ、まるであの聖樹に呼ばれ、大河の水を持って行くために、あの世界への扉が開いたのではないか……と」
その後、多数の人々の声が聞こえはじめ、曽祖父達はこちらの世界に帰ってきたんだって。
あの少年は、曽祖父達が向こうとこちらを分かつ扉を閉まるその瞬間まで、曽祖父達に感謝し頭を下げ続けていたらしい。
いいことをしたね、曽祖父!
「その後あの納屋は、灼熱の世界に通じる扉があり大変危険とされ、屋敷の者達や兵士達には、“入ってはならない納屋” として伝えられていたのですよ」
と、アユじーじは締めくくってくれた。そーね、私も最初トルキーソにそう言われたよ!
「にゃるほど」
何となくわかったよ。ソファーに座り、足をプラプラさせながら一人納得する私に、アユじーじは最後に爆弾発言を投げかけ笑った。
「知っていますかな、グルナお嬢様。この領地を護るように流れる大河には
と。
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一口メモ
エスペラント国 → 日本語
アルケミーオ → 錬金術
暑くなり身体が追いつかず、文章作りに時間がかかるようになってきました。申し訳ありませんが、投稿間隔をなか2日からなか3日にさせていただきたいと思います。m(__)m
次回投稿は6日か7日が目標です。
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