ぼっち陰キャ影山くんによる正しい青春のおくり方
椎羽
第1話 正しい青春のおくり方
晴れて入学したここ、相良川相良高校。
俺、影山陽太は入学者の名簿をみながら知り合いが一人もいないことを確認し、安堵のため息をついた。
「受験勉強頑張ってよかった....」
ここは自称進学校、まあそこそこ頭がいいとこでなおかつとても地元から遠い片道1時間半かかるとこである。色々あってどうしても近くの高校に行きたくなかった俺は、母親の「わざわざ高い交通費をかけて遠くの学校にいきたいなら多少頭のいいとこにしなさい」という無茶ぶりをどうにか乗り越え入学したのだ。
....俺は受かった時から決めていた目標がある。それは陽キャと関わらず女子と話さないこと!!
陽キャと関わっても確かにたのしいかもしれない。事実、陽キャであるスクールカースト上位の男子女子は青春ライフをおくり楽しそうにインスタグラムとやらを更新している。でもあいつらは陽キャゆえに人と関わることが多いので人間関係に悩まされやすいのだ!!それは時に争いを産む.....俺はそんなものには困りたくないしめんどうな思いはしたくない。そして何より女子!あいつらは自分のことなど棚において男子を侮辱する!!いくら陽キャの男子でも変わらないのだ。陽キャの男子にスクールカースト上位の女子が告白し振られたとする。するとどうだ?今まで陽キャだったはずの男子の悪口がどんどん広まっていく...!
うん、絶対俺はこんなふうになりたくない。まあ告白されることがねえんだけどさ...。
そうして俺は陰キャで生きることを決めた。陰キャ3点セット、メガネにオタクに長い髪!!...正直俺はオタクではないがメガネと長い黒髪を揃えてきた。これで少なくとも女子が話しかけてくることは無いしむしろすれ違っただけで
『うわ、やだなんかキモイやつとすれ違ったあ〜』
くらいに思われるだろう、少し傷つくが..。
そうしてクラス替え表をみて教室に向かおうとした時だった。
「う.....」
ピンク色の長い綺麗な髪の毛をした少女が木陰に倒れ込んでいるのがみえた。
となりには友達と思われる女子が大丈夫?などと声をかけながら背中をさすっている。
どうしたんだ...?貧血か...?まあ、俺には関係ないか...とその場を去ろうとした時だった。背中をさすっていた紫色の長い髪の毛を上で高く括っているキツそうな金色の目をした少女と目があってしまった。
「.....ちょっとあんた。」
「なんすか ...。」
「どうせ無理だろうけど一応聞いとくわ、女子一人運べるくらいの力持ってない?まあ持ってないよねその見た目じゃ」
いやなんで最初から決めつけなんだ??つーか分かってんなら聞くなよ!まあでも流石に女子一人運べるくらいの力はある......が。ここで断れば女子から嫌われあの2人の女子に『あいつ、入学式のとき倒れてる女の子のこと置いて教室入ってっちゃったんだよー!クズくない?』
『うわー超クズ!まじきも!』
などと言って女子と関わることも減り、なおかつ男子は女子に嫌われてる男子と一緒にいない習性をもっているので関節的に男子 とも関わらなくなる...!最高のシチュエーションじゃないか!
でも...俺が行ったらあの2人は困るんじゃないだろうか。
そろそろ入学式が始まってしまうから人も周りに見当たらないし先生を呼ぶっていう選択肢もあるけど、あからさまに倒れ込んでいる少女は顔色が悪いし立てるような状況でもない、紫髪の女もあの細い体型では女子高校生を保健室まで運ぶのは難しいだろう。
まあ...女子一人運んだくらいで青春ラブコメが始まるのはラノベか少女漫画くらいだ。
「運べるけど...」
そんなこんなで、俺は保健室まで運ぶことになったのだ。初日から目標破ってるしなにより保健室に行く途中紫髪の少女に謎に「かがりが超可愛いからって欲情しないでよね?」
「いっとくけどちょっとしか感謝してないんだからね?かがりの連絡先は教えないから!」などと野次られた。お前は彼氏か?
..実は、俺はかがりという名前に見覚えがあった。いや、同じクラスに名前があったのだ....。
入学式も終わり、クラスで何人かが名前なんて言うの?やら、中学どこ?などと話しかけたりしている中、俺は即座にカバンの中からイヤホンとスマートフォンを出し音楽を聞く、名付けて「誰も話しかけるなオーラを出す作戦!」をし先生が戻ってくるのを待っていた。
そんな時だった。
後ろから背中をつんつん、と可愛らしくつつかれた。
へえ、こんな俺にも話しかけてくれる奴がいんだな...
「ねえ、君が私を保健室まで運んでくれたんだよ.....」
そこにたっていたのは
「ね...」
大きいな目を見開いた先程のピンク髪の女子だった。
「ちょ〜〜タイプなんだけど??!!!
出席番号38番宮ノかがりです!一目惚れしました付き合ってください!」
クラス中がどよめき、後ろにいた紫髪の友達と思われる女子の顔が酷く歪んだ
俺の平和が壊れる音がする....。
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