「えーっ、皆さん。おはようござります」


 独特の言い回しによる 社長、鯛一による挨拶が始まります。


「さて、いよいよ新たな漁への出港となります。

 皆さん方には しばらくのお休みの間に鋭気も蓄えられ、これよりの作業に全力を尽くされることをお願いいたします。


 なお、すでにお気付きの皆さんもおられますように、このたび久しぶりに新しい お仲間がお越しになりました。


 まあ、皆さんもご経験済みかとは思いますが、初航海でございますから大変な思いをされることと思います」


 島太郎の回りで失笑がおこり、あるいは ウンウンとうなづく人もいます。


「皆さんには新しいお仲間へのお気づかいをもって、お仲間が長らく凸凹水産でお働きを続けられますようにお助けをお願いいたします。


 なお、いつも申し上げておりますように、作業に当たられましては 安全第一にて、こちらもお願いいたします」



 続いて鮃太が話出します。


「みんな、お疲れさま。いや、疲れるのはこれからだな。

 今、社長からあったように今日から新人が作業に加わる。

 おい、あんちゃん。いや島太郎! 挨拶だ」



「えーっ、あの、えーっ、浦 島太郎です。よろしくお願いします」



「…… えっ?


 それだけか?



 まあ、いい。最初だからな。



 じゃあ、早速作業に入ってもらう。

 作業分け、班分けは貼り出してあるから見てくれ。


 作業手順と予定は冊子を用意したから、それぞれ手元に置いて参考にしてくれ。


 ……島太郎は、今日から最初の漁が終わって戻るまで 俺に付いてくれ。

 まあ、ほとんど何も出来ないだろうがな?


 では『ご安全に!』」



「ご安全に!」


 その場の人が一斉に唱和しました。



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る