島太郎 凸凹水産と出会う
※
ドアから入ると いきなり応接セットがあります。
しかし、到底 応接室とは思えない様子です。
薄汚れた室内に、おんぼろのソファーセット。 小汚ないテーブル。
そして薄暗い照明。
とても まともな会社とは思えません。
応接セットには、二人が座っています。
入り口に向かって座っているのは、それとなく 社長らしき人物。島太郎より、少し年上のようですが、なかなかの貫禄と恰幅の良さ。
その目は鋭く 島太郎威圧し、観察しているようです。
そして 後ろ姿の男性は、短髪、白髪の人でした。
この会社の番頭さんという感じです。
「社長、お連れしましたよ」
マスターの声に反応したのは、意外にも 短髪白髪の人でした。
ソファーに座り、振り返りながら
「ようこそ いらっさりました。凸凹水産社長の
兄さん、朝の食事はまだのご様子、どうぞ食堂でおすまし下さい。
マスターと少し話がござりますので 仕事の話は後ほどさせていただきましょう。
こちら、息子で副社長、そして寮長の鮃太です」
社長。物腰柔らかな対応ですが、その顔に刻まれた皺が 長年の苦労を感じさせます。
「あんちゃん、行こうか」
一方、息子の鮃太。
風貌とは裏腹に、ずいぶん気さくな男のようです。
入り口応接室の横のドアをあけると、そこは異質な空間。島太郎か今まで見たこともない、いや テレビのドラマでかすかに見た記憶があるような、そんな場所でした。
小学校の教室ほどの部屋は 打ち抜きの土間になっていて、部屋の真ん中に、大きなテーブルが置かれています。
テーブルの周りには、折り畳み椅子が配置されて 何人が座り食事をし、あるいは島太郎のことを興味深げに眺めています。
壁ぎわには、やはりテーブルが置かれ その上には、料理がのせられた大きな皿が数枚置いてあります。
皿には それぞれ別々の料理がのせられています。
大きな鍋や電子レンジ、給水器、ポットもあり 『冷蔵庫には 納豆、卵入っています』の貼り紙。
中央のテーブルには、醤油、塩などの調味料や フリカケなどかおかれています。
「俺も朝飯は まだなんだ。一緒に食おう」
鮃太は自分の食事の用意を始めました。
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