普通の一軒家より大きな島太郎の部屋には、バス、トイレ、シャワーが完備され、キッチンには 電子レンジなどの調理器具、さらには ありとあらゆる電化製品が完備されています。


 しかしそれだけでは生活はできません。

 欲しい物を購入したり、部屋のゴミを出したりと 外部との連絡が必要です。


 テーブルと呼び出しベルはそのためのものでした。

 欲しい物がある時や 用事があるときは、メモをテーブルの上に置き、ベルを鳴らして連絡するのです。

 じいやさんや家政婦さんが、品物を用意して、テーブルの上に置きベルで合図する、というわけです。



 しかし、島太郎も ずっと引きこもっていたわけではありませんでした。


 数ヶ月に一度程度『気晴らし』と称して 街へ出掛けます。


 島太郎がどこへ出掛けるのか、誰も知りません。

 開店休業状態の運転手さんを呼びつけ、いつも街の中心部で 車を降ります。


 決まった時間になると、また 車で迎えに来させます。



 実は島太郎の行動は、単なる気晴らしではありませんでした。


 いつ来るか分からないその日に向けた計画を 実行するためのものだったのです。



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