閑話 【琴音と凛】最近ちょっとモヤモヤが……
「琴音ちゃん! 聞いてください!!」
「……どうしたの凛? って、急に距離が近いから」
「あ、ごめんなさい。でもそんなことより大変なんですっ!」
「……大変?」
「はい……。これは非常に由々しき事態です。早急に速やかに……対処しなくてはなりません。死活問題と言っても過言ではないでしょう」
「……そんなに? えっと何があったの?? そこまで言うってことは深刻なんだよね?」
「とても……一大事です」
(凄く真剣な顔……。何があったんだろう?? 表情にもどこか影があって、焦りも感じる。苛立ちと不機嫌さ……色々な負の感情がありそうな。そんな様子よね。は!? も、もしかして常盤木君と喧嘩して関係性が崩壊しそうとか!?!? それだったら、やばいやばい……。もしかして、私のせい? 今まで“チキンチキン”って言い続けたから、『あんな友人がいる凛とは一緒にいられない!』って思われたとか!? どうしよ〜。こう言う時に健一がいたら……。仕方ない、内容によっては健一に相談したいから——)
「琴音ちゃん?」
「ひゃい!」
「え、えーっと。そんな難しい顔してどうかしましたか?」
「……な、何でもない。とりあえず、今からの会話は録音させてもらうね(健一に相談するために)」
「録音!? いいですけど、まるで取り調べみたいですね」
「……じゃあ話を聞かせて。虚偽の発言はしない方がいい。自分のためにならない」
「本当に取り調べじゃないですか!?!?」
「……正確に伝わらないと困るでしょ? 私、凛と違って頭良くないから、覚えられないし。内容を深く知らないと対策も対応も出来ないから」
「なるほど……。そういうことでしたか」
「……うん。だから遠慮なく話して。ほらほら、はりぃー」
「じゃあ言いますね……」
(うわぁ……。いつになく真剣。なんとか空気変えようとしたけど、ダメじゃん! やはり、よっぽどやばい内容で——)
「最近、翔和くんに相野谷さんがかなり絡んでいます」
「……え?」
(あれ? 相野谷さんって確か、健一のクラスにいるいつもハイテンションな子だよね? 誰にでも距離が近いし、フレンドリーだから勘違いで告白して撃墜する人が後を絶たないっていう……って、ことはもしかして?」
「放課後、私がバタバタしている間に絡んでいるみたいなんです。それも毎日ですよ! この前は、昼休みに絡んでました! 同じクラスという土地の理を生かしての接触は羨ま————いえ、ズルいと思います!
アンフェアですっ!!」
「……はぁぁぁ」
「ため息!?」
「……心配して損したんだけど。普通に嫉妬でしょ」
「違います。心にモヤモヤが生まれる新手の病気です」
「……それなら自分の父親に見てもらいなさい」
「むぅ、琴音ちゃんが冷たいです!」
(嫉妬の相談かぁぁ……。よかったぁ、まだ可愛い相談で。でも、凛からしたら急にスキンシップが多めの女の子が来たら戸惑うよね。かと言って、大人の対応って言っても難しいし、変に演技させると感情の昂りでボロが出るだろうから……よし、それなら)
「……心配なら、とりあえず参加したら? いつも放課後に絡んでるでしょ? 凛が行けばガードできるんじゃ……」
「いい考えですね! そうしよう思います!! 翔和くんは私が守りますっ!!」
「……頑張ってねー。でも、相野谷さんがいるなら……かなみもいるんじゃない?」
「そうですね。翔和くんが言うには、いつも相野谷さんの暴走を止めるの手伝ってくれてるようですよ?」
「……そうなんだ」
「じゃあ早速、翔和くんを“思わせぶり女性から守る方法”を考えようと思いますっ!」
「……頑張ってね。でも、凛」
「なんですか??」
「ライバルっていうのは、思いもよらないところからポップするからね。油断大敵だよ」
「負けませんから大丈夫です!!」
(ほんと、可愛い顔で笑ってそれでいて頼もしいなぁ。微笑ましくて、どこまでも真っ直ぐで……だから、手伝いたくなるんだけど)
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