第一談 この漫画、神1p
二千十九年四月二十九日(月)
ヨミの国の城、ヨミ城内。
城の主人、円間は玉座に座り、はしゃいでいた。
円間「うわ、城だよ、城。夢だったんだよね、マイシャトー」
お嬢「城だけに、広いですわね。この城にいるのがわたくしたちたったの三人だけだなんてもったいない感じですが」
玉座の円間を見上げて、長い黒髪をいじりながら気だるげにそう言うのは、お嬢。
彼女はヨミの国の国民の一人だ。
スケキヨ「あの、円間様、そろそろ玉座から降りてきていただけませんか。お茶が冷めてしまいますから」
困り顔で、円間に懇願しているのは城の小間使いの少年、スケキヨ。
なかなかの美少年だ。
このスケキヨとお嬢、円間も入れて、ヨミの国の国民はたったの三名だ。
三名だけのためによくもまあ、城なんか建てたものだなと我ながら円間は感心した。
円間は玉座を降りてお茶の置かれた大理石のテーブルに着いた。
城だからといって、テーブルを大理石にしたのは失敗だった。
テーブルが冷たい。
真冬はやってられないだろう。
円間はスケキヨの入れたお茶を口に入れた。
冷めている。
円間「はあ、お茶さめてるとか、テンション下がるわ。昨日が我がヨミの国の建国記念日だったんだけどさ、結局、建国記念日に第一談のヨミ事をする事が出来なかったってこともテンション下がるわ」
お嬢「それは、円間さんがお風呂に行っちゃったからでしょ。自己責任じゃないの。中途半端が過ぎるわよ」
円間「うう、反省してます」
スケキヨ「円間様、新しいお茶、お持ちしました」
スケキヨはウェッジウッドのワイルドストロベリーに注がれた紅茶を円間に差し出した。
円間「うわ、ありがとう。はあ、あったかい。心が温まったよ」
スケキヨ「それは何よりです」
お嬢「ところで、今日はわたくし達は一体全体、なんのためにあつまったんですの?」
円間「そりゃ、決まってるでしょ。私たちが集まってする事なんてヨミ事以外にないでしょ。昨日の建国記念日に結局風呂に入っていただけでヨミ事しなかったっていうあんぽんたんやらかしたからさ、今日は気合い入れてヨミ事するよ!」
お嬢「あはん、記念すべき第一談のヨミ事が微妙な感じに始まるわ。ヨミ事、すなわち、読む事。わたくしたちでこれから、読み物について読み、語り明かそうっていうわけね」
円間「お嬢、説明くさい台詞乙。それにしても、これ、台詞の前に台詞言ってる人物の名前書いちゃう形式だけど、私、めちゃくちゃ誰の台詞か説明しちまってるし」
お嬢「ふふ、そのうちなれるわよ。円間さんは、いわゆる台本書きは嫌い?」
円間「ううん、でも、台本書きして意地悪言われるのは嫌い。別に台本書き以外でも書いてるつの!」
お嬢「な、急になんなんですの。誰かに何か言われちゃった?」
円間「いや、私はないけど、誰かが言われちゃってるの見るの嫌でさ。書いてる人の自由じゃんって感じ。あ、これ、対談形式ありのエッセイなのでノークレームでよろー」
お嬢「ちょ、売られる前に喧嘩売るのやめなさい。そもそもクレーマーなんていやしませんことよ。円間さんと同じレベルまで降りてきてクレーマーになろうって方はいないわよ」
円間「あ、なんか、私が低俗みたいな言い方」
お嬢「現在進行形でそうでしょう」
円間「オーノー」
スケキヨ「あ、あっ、あのぅ、お二人とも、そろそろ本題始めませんか。脱線が凄いですよ」
円間「せやった、ヨミ事せなあかんね。ページ数押しとるしね。始めようか!」
お嬢「ですわね、始めましょう」
スケキヨ「お手柔らかに」
円間「よし。では、記念すべきヨミ事、第一談は、神漫画について。ネクストページ!」
お嬢「おい、次のページからかよ!」
スケキヨ「……やれやれですね」
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