僕の小さな泉

紬木もの

僕の小さな泉

 まだ芽だろうと思っていたのが実は花で、それももう枯れ落ちてしまった。パソコンを開いたところで、画面は真っ白のまま。もう、書きたいものはない。自分のことを書くばかりではただの自己満足で、でも書きたいことは自分のことだった。何も書けないということは、自分が空っぽであることを意味していて、空っぽの僕はではどこに救いを求めたら良いのだろう。

 とにかく何か書き出せば分かる。そう思ってここまで書いてみたところで、頭は真っ白のまま。最初の五行を振り返って、今まで僕が書いた小説と同じような臭いを感じつつ、ということはつまり、今までの小説も所詮その程度の空虚だったのかと今さら気づいた。

 もう寝る時間をとうに過ぎてしまっている。僕はパソコンを閉じる。


 昨日と同じ時間にパソコンを開いた。あれから一日考えてみた。自分が空虚でも小説は書けるのではないだろうか。

 では、どうやって? それを考えて、また寝る時間をとうに過ぎた。今日はそのせいで日中とてもきつい思いをした。何も思い浮かばない。空虚が進歩しないまま、パソコンを閉じる。


 前回から四日経った。空虚が加速したような感覚がある。空虚が加速?

 もうすでに何もないのに、これ以上何が空っぽになるというのか。

 魂だ、命だ。


 やっぱり何も浮かばない。浮かばないことを書いてみても、結局何にもならなかった。

 つまり、このまま生きてみても何にもならないということだ。


 ありがとう、さようなら。小さな小さな僕の泉へ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

僕の小さな泉 紬木もの @Aqua_8823

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る