第69話 その根性だけはすごいよね
ゲンプファーはジリジリと歩み寄る
「へん!刀使いか・・・俺の爪をかわせると思うなよ」
「いや思ったんだけど・・・空中の軍なのになぜ接近戦の武器なの?・・・空中戦を制するには遠距離攻撃がセオリー・・・ペガサスに乗りながら爪を使うのですか?」
「う!・・・お・・俺だって魔法は少し使えるぞ・・・」
「なるほど・・・先ほどの力の強い方もハムラさんの全力の攻撃を受けてなお現在意識がある状態・・・空中戦で隊長さんを守る役割は大きいですし、きっと君もすごい魔法を持っているんですね、楽しみです」
「こ!・・・余裕ぶっこきやがって貴様!見て驚くなよ! おりゃ~」
ゲンプファーは小さな火球を俊介に投げる
俊介はそれを海にはじき返した・・・
「さあ・・早くお願いします・・その爪を使ってどんな魔法を繰り広げるのか・・」
「き・き・貴様!風の術士か!俺の火球をはじき返すとは!」
「え?」
「だから風の術士か!と聞いているんだ」
「いや風の適正は弱いよ、僕は火と光の適正が強い・・ただ迷宮で実を沢山食べたので風の適正も少し上がってるけど・・もしかして今のが魔法?」
「なんだ貴様強がりばっかり言いやがって・・・光の適正なんてめったにいねえほら吹き野郎だな!」
「うーん・・・じゃあ光の光球出しますね」
俊介は剣の先に光の玉を作り出すその光はどんどん大きくなる、昼間なのに眩しいくらいだ
「ぶわはははは!ゲンプファーお前は魔法は弱ええだろ!いつも通りやれ」
ザナトラは魔法の掛け合いを見ながらゲンプファーに進言する
「ちょっと大きくしすぎたな・・・それ!」
俊介は空のかなたに光球を放った
「おい!なぜ俺を狙わねえ・・おめえ・・・俺に情けでもかけてるのか・・・うぬぬぬ」
「相手の子はおちょくるのがうまいな・・・気が短いゲンプファーを手玉に取ってる・・」
ザナトラは隣のオリオンの兵士に話しかける
「それに見ましたか?あの光球・・・しかも剣先から出している・・・魔法剣も使えるんじゃないですか相手は・・・若いのにすげえな」
オリオンの兵士たちも俊介をほめる
しかしその行為こそがゲンプファーにとっては屈辱的であった
「たしかに・・・俺は魔法が弱え・・だけどな・・接近戦は俺より強い奴なんていないんだよ!
「お頭、あんなこと言ってますよゲンプファーのやつ、接近戦は強いけど1番じゃねえな・・・」
「ああ俺のほうが強い!」
「あああ!兄貴は黙ってろ!少しは俺の応援しろ!」
「今度はすねやがった・・・本当に子供だな・・・」
「あの~来ないなら僕から行きますけど・・いいですか?不意打ちはしたくないし・・・」
「な!」
「ぷぷぷぷ」
オリオンの兵から失笑が起きる・・」
「ほれ!ゲンプファーお前の得意な接近戦だ!恥ずかしいところ見せるなよ!」
ザナトラはゲンプファーにはっぱをかける
「わかってらい!見てやがれ!」
ゲンプファーは俊太にダッシュする
早い! 俊太は剣の柄でゲンプファーの攻撃をいなす・・しかしすぐにゲンプファーの鉤爪は二の手、三の手を繰り広げる
「早い!早い!すごい!これだけ早ければ切り込み隊として空中から突然現れるみたいな事ができるね!」
俊太は楽しそうだ!対体術の戦い方はブーさん師匠にいやというほど仕込まれている、何せブーさん師匠は強い!たった一人でシンシアを魔物の群れから守っていた程の男(?)だ
それに比べればゲンプファーの動きは読みやすい。一つの流派で攻めてきている分動きが同じなのだ、ブーさん師匠はおそらく前世界の体術のすべてが達人クラス、ムエタイ、カポエイラ、空手、柔術、少林寺、太極拳、八極拳、サンボ、上げていたきりがないくらいの体術を使う、しかも攻撃の途中で切り替わったりするので対処ができない。
それに比べれば、粗削りだがゲンプファーの動きは単調である・・・
「すごいね!速さだけならブーさん師匠以上だ!僕も行くよ!」
俊太は剣をしまう・・・体術には体術か・・・・まあ好きにやらせよう!
「なんだ!なぜ剣をしまう?」
「いや僕も体術は習ってるんで、体術で相手したくなった!」
同時に俊太は水平な動きで拳をゲンプファーに突き出す、八極拳の打開、地味な技だがその拳は槍になる
!
ゲンプファーは打開をかわす、
「なんだ!その動きは・・・初動がない・・」
「へへへ!師匠が強いからね!」
「余裕だな!俺も負けてられねえ!」
ゲンプファーは爪を外した
「素手には素手をだろ!オラ!」
鉤爪を外した分ゲンプファーの動きは早くなる、その拳を俊太はかわしながら肘を取り足を払った!
見事に一回転したゲンプファー、そこに俊太の決めの拳が迫る、ゲンプファーは体を回転させ、その拳を避ける、自らの腹筋でジャンプし立ち上がり体制を整えるしかし目の前にあるはずの俊太の顔がない、あるのは俊太の足だ!
遠心力で加速された俊太のけりをゲンプファーは右手で受ける・・・ピシィ
間違いなく右手の骨にヒビが入った音だ、
なおも俊太の攻撃は続く、逆立ち状態だった俊太は、腕の力で飛び上がり回転蹴りを狙う、ゲンプファーはけがをした腕でそれを掴み、逆に頭突きをかます。頭突きは俊太の鼻にヒットした。
「ふ~|ふ~」
ゲンプファーは荒い息をする、俊太は鼻から血が噴き出る、
ゲンプファーはケガをしていないほうの腕を伸ばし俊太に攻撃をする、俊太は足裏でその攻撃を封じる、しかしゲンプファーすでにブランブランの腕を鞭のように使い俊太の顔面を狙う。
しかし俊太は狙ってたかのように両腕でその腕をとり体を入れ替えて回り込む!そのまま腕ひしぎの体制に入る、
「グガ~!クソ~!あああああ」
「それまでだ!」
アメノトリフネ様が試合を止めた
「クソ!クソ!・・・クソ・・・」
俊太がゲンプファーに歩み寄る
「すごかったよ!ケガした腕も武器にするなんて、僕にはできないかもしれない」
「わるかったよ!女ったらしなんていっちまってよ!なんだよ・・体術も強えのかよ・・・クソ!悔しいな・・」
「いや僕にはいい師匠がいるから・・・もし師子に教わっていなかったら勝てなかったよ!」
ゲンプファーは俊太に抱えられてシーナペインの元に向かう
「シーナさん治療お願いします。中指の骨に手の甲の骨、腕の骨も折れてるみたいです」
「シュンタ君そこまでわかるのかい!?」
「はい!本で読んで実験してましたから、ジーフ母さんに直してもらいながら」
「あの子も、ひどい育て方するもんだね・・・自分の子じゃないのに・・・」
「いや、ジーフ母さんがいるから、限界まで訓練できるんですよ!」
「やれやれ」
シーナペインは闇の魔法で骨格の成型を行うその状態で添え木で固定する
「骨の結着まで時間かかるからね、あまり動かしちゃだめよ」
シーナペインは優しい笑顔でゲンプファーに語り掛けたゲンプファーハ赤くなる
「すげえ・・・骨の治療まですぐ行うなんて・・・それに・・綺麗だし・・・」
残念だな・・シーナさんはすでにベロニカさんというすごい人がいる・・・それに年齢は500歳を超えている
「やったな~シュンタ~ご褒美にチューをしてやるぞ!」
ミュイミュイが俊太に抱き着こうとしている
「やめなさい、ミュイミュイ!シュンタ君にその気はないから」
カエデが止める
「おいカエデ!お前イロハがジーフさんに弟子入りした時から、シュンタに対してあからさまに変だぞ!さては・・・お前もシュンタの事が好きなんだろ!」
「な!なにいっているのよ!・・シュンタ君にはイロハ様がいるんだから・・私なんて・・・」
「僕はカエデのこと好きだよ!」
「え?」
カエデは顔を真っ赤にしながら驚きの表情をする
「なに?」
ミュイミュイはわが耳を疑い聞き返す。
「ミュイミュイだってジュリだってムュイだって好きだよ」
ジュリとムュイは緑色の顔が赤くなる
「シンシアやイロハ、ラミー先輩にレミー先輩にユキナリ、探検部の仲間はみんな好きだな、ずっと一緒に入れたらいいのにって思うよ」
「ずっと・・・一緒?」
「お前が望むなら・・ずっといっしょでもいいぞ・・俺は・・」
「シュンタ様」
女達は顔を赤らめモジモジしている
俊太・・・この世界じゃ18歳は結婚適齢期だ・・・そろそろ相手を決めないといけない・・・俊太の結婚か・・・一波乱絶対にあるだろうな・・・・
「俺・・やっぱり…あいつなんかむかつく・・・」
「はははは!女も取られて、のこのこ帰ってきたか?ゲンプファー!」
「兄い!・・・ごめんよ・・・俺まだまだだわ・・」
「そうだ!まだまだだ!まだまだ強くなれる、そこを忘れるな!」
「ああ!」
「それと!隊の中では兄いは禁止だ!2回もいったな」
ザナトラはゲンプファーに拳骨を2回喰わせた
「いって~」
ゲンプファーは頭を押さえてもがき苦しんでいる
「さて俺の相手は守護者さんがしてくれるのかい?」
「いや!俺がやろう!」
トシイエが前に出る
しかしそれを力づくで引っ込ませた
「変態は引っ込んでな!俺が出なくちゃ終わらねえだろ!」
「おいおい!俺の出番はなしかい!きっと俺の活躍を期待している人間は沢山いるだろ!な!」
しかし周りは無口である
トシイエを無視するように周りは俺とザナトラの舞台を楽しもうとしている。
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