第47話 カブキモノの嫁になんかやらないよね

地下6階、カブトムシの階層だ。


父さんはずんずん突き進む、カブトムシの階層には、こぶし大のカナブンが雑魚として現れる。

ここまでくると僕やユキナリ、ラミーさんにレミーさんもカナブンの攻撃を回避したり、跳ね返す、

みんな強くなっているのか、いや、落ち着けばカナブンの攻撃は怖くないし、避けたり弾いたりするのは難しくない気もする。


父さんが作る明かりの影響も大きい、僕の光球だと、薄暗くカナブンの攻撃も当たってしまう。

そうこうして地下6階のボス、鬼カブトが現れた、人型の魔物だ

全身に黒い甲冑をまとい、静かに近づいてくる。


金太郎

「鬼カブトは、防御も攻撃も強い、俺がやろう」


父さんが相手するようだ、

父さんが剣に手を当て、じりじりと鬼カブトに近づく、

鬼カブトは頭の角を向けてもう突進してきた。


シャキーン!


父さんの抜き身は、鬼カブトを捉えて鬼カブトの角を切り落とした。


金太郎

「よし後は大丈夫だ、シュンタお前がやれ」


え?おれ?


おれも剣を構える、父さんのような片刃の剣ではない、ミスリル製の剣だ、


小さいときに父さんの様な片刃の剣に憧れたが、僕にはあまり向かないようだった、そして僕にあった剣を15歳の時に、父さんからプレゼントされた。


ミスリル製の魔力を帯びた剣、ベロニカの武器屋ですごい高い値段で買ってきたらしい。

軽くて丈夫で切れ味もいい!魔力のこもる剣で、使えば使うほどに手になじむ、それ以来、僕の相棒はこの剣だ。


角を失った鬼カブトは鈎爪のある固い手で攻撃を仕掛けてくる、腕にも棘が無数にあり、それが凶器となる。


確かに強いが、父さんや、シャルロットさんの剣に比べれば遅いし、体術もブーさん師匠に及ばない。

徐々に僕のペースになる

そして僕の剣は鬼カブトの首を落とした。


金太郎

「うん!よくやった」


父さんが頭をポンポンしてくれた、恥ずかしいが嬉しい。

ドロップ品は鉄のプレートメイル、まあまあのドロップだが、重い・・・

父さんが空間に穴をあけて、今までのドロップ品を突っ込んだ、空間収納だ。商人が使う、空間魔法で属性は風になる。


僕もまだ使えない。

やはり風属性の強い人がいると、迷宮挑戦はやりやすくなる、強い風属性を持つメンバーは・・シンシアか

練習嫌いだからな・・・・


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地下7階に降りる


それは、降りた瞬間から襲ってきた、ファイアーアントの大群だ。

20㌢くらいの大きな蟻の大群が、天井から、壁から、地面から湧いてくる。


金太郎

「ここは厄介だからな、挑戦者殺しの地下7階だ」


父さんは壁に手を当てて水を壁に這わせる、這わせたそばから、蟻ごと氷に変えていく。



金太郎

「凍らせて、動けなくしてしまうのがいいが・・・使えないなら土の魔法で新たな壁を作るのもいい

できるだけ、狭い空間では火の魔法は使わないほうがいいんだ」


ジーフ

「金太郎さん、私にもやらせていただきます、少し取っておいてもらっていいですか?」

ジーフ母さんが一歩前に出る。


父さんは、氷の壁つくりを止めた。

ジーフ母さんが僕たちに向かって薬を振りまく。


ジーフ

「ファイアーアントに限らず、蟻の魔物は臭いで敵味方を認識しています。こうしてあげるとほら!ね」


狂暴だった蟻は平常に戻り動かなくなる。

こわい・・・刺されると動けなくなる痛みを伴うファイアーアントが周りにいる中を歩いていく。


ジーフ母さんは平然と歩いていく

迷宮の奥から、女性の声が聞こえてくる・・・


*「何者だい?なぜ、私のかわいい子たちはお前を攻撃しないのかい?」


蟻のボス、ダーククイーンアントが現れた、上半身は人型だが下半身は卵を産む蟻のお腹となっている。


ジーフ

「ふふふ、もう少し手を加えますとこうなりますの」


ジーフ母さんが女王アリを守る兵隊蟻に魔力をかざす

すると、兵隊蟻たちは女王蟻を襲いだした。


*「な!お前たち!・・・おぬぬ・・・その力・・魔女か・・・・ああああああああ」


哀れ・・・女王アリは自らの子によって滅び光へと消えた。

ジーフ母さん・・・すげえ・・・これが魔女の力か・・・・


イロハ

「凄い・・・・ジーフ様・・凄すぎる・・」


カエデ

「凄いです・・・・深闇のジーフ・・・遠くオワリまでその噂は届いておりました・・・」


ジーフ

「あら?オワリまで?」


カエデ

「はい、ノブナガ様が手に入れたい人物として・・・」


金太郎

「それは、残念だが差し出すわけにはいかないな」


カエデ

「はい!その旨は!今はノブナガ様も納得なされているようでした。

ただ、深闇のジーフが守護者ツユキの妻になっていないなら、オワリにつれて来いと言われていました。」



イロハ

「今はグラスとオワリは同盟に近い関係と聞いています、いくら父上でも、人の妻を奪いなどは致しません」


イロハ

「ただ・・・」


金太郎

「ただ?」


イロハ

「その、ジーフ様が女の子を産んだというのを聞いて・・申し上げにくいのですが・・・

お兄様の嫁候補に・・・」


金太郎

「メグミはまだ1歳にもなっていません!」


イロハ

「すみませぬ、近々、お父様がまた来るかもしれません・・・」


ジーフ

「メグミにはメグミが選んだ人を愛してほしいものです・・・」


イロハ

「お兄様は・・・そんなに悪い人ではありません!しかし既に200歳を超えるというのに・・・

いまだ嫁すら取らず・・・落ち着いていないのも事実ですが・・・」


カエデ

「お父様はトシイエ様はカブキモノと仰っていましたが・・・」


イロハ

「トシイエお兄様は、ふらふらしております」


金太郎

「200歳を超える?」


イロハ

「はい、母シチリアはエルフです、基本的に寿命がありません

お兄様は母の影響か二十歳を超えたあたりから、老いる事がなくなりました。おそらく私も

その影響はあるかと思います。」


カエデ

「そして、イロハ様をシュンタ君の伴侶にと・・父は」


えええ?僕?


イロハ

「あら?それは別に構いませぬ、わたくしもそれを望んでいます」


シンシア

「ちょっと、聞き捨てならないね!シュンタはアンタのものではないのよ」


イロハ

「あら?でもシンシアに断りを入れる必要もないかと!いえ!お姉さまでしたわね、シンシアお姉さま」


シンシア

「なにが「オネエサマ」だよ、気色わるい!私は認めないからね」


イロハ

「ええ!認めてもらわなくて結構です!これは運命なのですから!」


「ちょっと・・こんなとこで変なケンカはやめよう・・」


イロハ

「シュンタ様はどうなんですか!」


シンシア

「お前がはっきり断ってやらねえから、イロハが勘違いしてるだろ!」


ミュイミュイ

「まて!まて!お前らだけ盛り上がってもだな、シュンタはゴルゴンに俺の嫁として迎えるんだ!」


ジュリ・ムュイ

「シュン様がゴルゴンに行くなんてありえないです!シュン様は永遠とこの島で私たちと暮らすのです」


ラミーとレミーはニヤニヤしてみている

いつの間にか・・・こんな話に・・・どうして?


ジーフ

「シュンちゃんがモテるのは解りました、でも今は迷宮の中ですから先に進みましょう」


シャルロット

「ふふふ、私は狭い空間で育ったので、こんな楽しいのは夢見たいです」


ちゅう吉

「シュン坊はモテモテチュウね!よ!イロオトコ!チュウ」


金太郎

「ははは!シュンタ!モテルなあ、ノブナガには今度ガツンと言ってやるから

その話はまた今度だ、先に行こう」


蟻のドロップは上級魔石3個、当たりの部類だろう


地下8階に降りる・・・・

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