第127話
「ケイ君、真由美ちゃん、二人で何かやってるでしょ」
朝の校門で幸枝につかまった。真由美と顔を見合わせ、頷き
「文化祭でKKシーズンのステージに1曲だけとは言え混ざることになったんで、その準備をちょっとね。今までみたいに突発じゃないから、一応出来ることはやっておこうかと思ってさ」
「で、何やってるんですか」
「軽音部の練習まで終わった後に音楽室で石黒先生にボイストレーニングみてもらうことにしたの」
あっさりと真由美が答えた。
「文化祭に向けてですか」
「うん」
幸枝が何か少し考えて
「私も混ぜてもらえないですか」
「オレはかまわないんだけど」
「あたしもいいよぉ」
「でも、一応石黒先生に確認するね」
「それは、もちろんですよ」
「じゃぁ今日の昼休憩に食事終わったら先生の所に行こうか。3人一緒に行った方がいいよな多分」
「あ、じゃぁお弁当も一緒に食べていいですか。そのほうが後の行動が楽でしょう」
「うん、いいよ。さっちゃんと一緒にお昼食べるのって学校では初めてだよね」
「そういえば、そうですね。合宿とか遊びに行ったときとか色々一緒してましたけど、学校では初めてでしょうか」
「うん、なんだか嬉しいな。もし良かったら今度からお昼一緒しない?」
「え?」
「あ、これまで一緒してた友達がいるか。うん、もしよければ、そういう子も一緒にさ」
「それは嬉しいです。友達にも話してみますね。でも今日は私だけの方が多分都合いいですよね」
「あぁそっか。じゃ、さっちゃんの友達とは明日からってことで」
オレの目の前で何か色々知らないうちに話が進んでいた。まぁ悪い事ではないから良いか。
「一応雄二にもひとこと言っとけよ。嫌がりはしないだろうけど、いきなりだとびっくりするぞ」
「えー、それはケイが言っておいてよ」
ここまでの会話が全部オレの左腕にぶらさがったままだというのもあれだけれど、その体勢から上目使いはずるい。この甘えっこが
「可愛いじゃないか」
あ、思わず本音が漏れた。
「はぁ、流石にもう慣れましたけど。私の目の前でそれは結構デリカシー無いですよ」
幸枝の呟きに
「「あぁ、なんかごめん」」
そう言いながら、スマホのトークアプリで雄二にダイレクトメッセージを入れる。
kei:今日、幸枝が昼ご飯一緒に食べに来るから
ゆうじ:了解。でもいきなりだね。何かあった?
kei:まぁ夕方のボイトレ絡みな。詳しくは後で話すよ
ゆうじ:はいはい
「雄二に連絡しといた。ま、あと詳しい事は直接話せばいいだろ」
「と言うわけで、幸枝が昼ご飯一緒することになったから。あしたからの事は、幸枝が一緒にご飯食べてた友達との話しだいな」
「くく、ケイも大変だね」
昼休みに幸枝がピンクの布に包まれた弁当箱を持って教室にやってきた。
「よ、友達は大丈夫だったか?」
「ええ、むしろ今日から一緒したいって言って大変でしたよ」
「そうか、じゃぁ明日からは昼も一緒だな」
「さっちゃ~ん、お昼一緒したかったんだよぉ。よかったぁ」
真由美も嬉しそうで良かった。
「ケイ君と雄二君の人気をちょっと侮ってたので明日からちょっと騒がしいかもしれませんけど、よろしくです」
「え、じゃぁ真由美ちゃん土日のお弁当は自分で作ってるんですか?」
「うん、もう少し上手になったらケイのお弁当もって思うんだけどさ。わかるでしょ」
「あはは、ケイ君相手ですからねぇ。ハードル高いですよね」
「別にオレは真由美が作ってくれたら、それだけでも嬉しいけどな」
「そこは、まぁ乙女のプライド的なものですから気づいて上げましょうよ」
「中1のあれから今の真由美だってだけでオレとしては十分凄いって思ってるんだけどなぁ」
「真由美ちゃんって普通に料理上手ですけど、中1で何かあったんですか」
「ケーイ、何暴露しようとしてんの。さっちゃんも聞かないほうが身の安全のためな話もあるからね」
そんなバカ話をしながら食事を終えて3人揃って石黒先生のところに向かった。
「と、いうわけで幸枝もボイトレに参加したいそうなんですが大丈夫でしょうか」
「10人も増えるとかならともかく2人が3人になる程度平気よ。それも自分から来るヤル気のある子なら大歓迎だわ」
「それじゃ」
「えぇ次回からいらっしゃい」
「「「よろしくお願いします」」」
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あれ?ラブコメ成分がない
次回は多分……
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