第8話

 放課後のグラウンド

練習の準備をしながら、チラリと見る

真由美と目があう。ついスッと目をそらしてしまう

うぅなんか気まずいっていうか恥ずかしい

「ケイ、いくらなんでも不自然すぎだ」

「雄二」

「なんなら、これからはオレの事はお義兄さんと呼んでもいいんだぞ」

ニヤリと笑いながら肩を叩いてきた。

「な、おま。いきなり何を」

「真由美と付き会うって事は、そういうことだろ」

普段無口な雄二からのまさかの追撃に言葉を返すことができず、オロオロしていると

「え、今更何?ケイと真由美って中学時代から付きあってたんじゃないの」

うしろからとんでもない言葉を掛けてきたのは

「京先輩……」

「あたしたちの学年のみんなは、中学時代からふたりは付きあってるって思ってたよ」

「うぅぅ、実はその今朝からで……」

「あの距離感で付きあってなかったてのは、さすがに。幼馴染ってのはまったく。それなら中学時代に遠慮しなければよかった」

後半のつぶやき声は何か聞いてはいけない言葉だったような。うん、オレは聞いてない。が、聞いてなかったことにしなかった一人が

「せんぱーい、今更ダメですからね。もう今日からはケイはあたしの彼なんですから」

と真由美が左腕に抱き付いて来た。

「真由美ちょっといきなりは……」

「え~?今更何言ってるの。こんなの今までだってしてたじゃん」

確かにそうなのだ。真由美とは子供の頃からのつきあいで抱きついたり抱きつかれたり普通にしてきたのに、つきあうことにして意識したら急に恥ずかしさが

ふと真由美の顔を覗きこむと

「そういう真由美だって顔真っ赤だぞ」

「う~、なんで。今までと一緒なのになんで……」

あ、なんかすごく可愛い

「真由美かわいい」

つい、ぎゅっと抱きしめてしまった

「あ……」



「うん、みんな練習始めるよ。今週末ブロック予選だから気合入れていくよ」

グランドに京先輩の声が響いた

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