第3話

 「おはよー、昨日の見たぁ?」

「そうそう、あれねぇ……」

「あ、知ってるか?山田とうとう玉砕したらしいぞ」

「あぁとうとうやったかぁ。無謀だって言ってたのになぁ」

「1年の4月から体験期間なのに朝練ってありえねぇ……」

高校1年生の朝の教室は中々にカオス

そこに駆け込む一人の男子

「ふえぇセーフ」

と同時に始業のチャイムがなった

「おはよ。相変らずだなケイ」

苦笑しながら呼びかけてくるのは幼馴染の森川雄二

「あと5分早く来なさいよね。いっつもギリギリで。そんなんだからコール漏れ……」

と森川真由美の双子

「いや、もうその黒歴史披露はやめて、お願いします」

「んで昨日の放課後はどこ行ってたんだよ」

「ん?軽音部見に行ってた」

「え~?ケイ、陸上部入らないの?」

「いやいや、入るから。なんで陸上部が練習休みの日に軽音部見に行った程度で入らないになるんだよ」

「昨日ちゃんと練習あったからね。それに最近のケイ陸上のモチベーション低いでしょ」

「あれ?昨日休みだと思いこんでたわぁ。それにやっと地獄の受験勉強終わったばかりの4月だぞ。そんないきなりスイッチ入いらねぇっての」

「ん~……」

真由美にジッと見られると中々に居心地が悪い。

こいつサバサバしてるけど、良く見ると結構な美形なんだよ。

普段は気にならないけど、こうしてジッと見られたりすると圧を感じる

「まぁいいけどね。あたしたちを引き込んでおいて自分だけ他へなんて許さないんだからね」

「おいおい、二人にオレが無理やり陸上やらせてるような言い方すんなよ」

「あのねぇ。いくら小谷野先生に頼まれたからって、ケイが居なきゃあたしたち高校でまで陸上部入ってないよ」

上目使いで拗ねたような言い方でせめてくる。中々の破壊力だが幼馴染のオレには効かない

「おまえなぁ、そういうあざとい態度でどんだけ男に勘違いさせてきたのかわかってんのか」

「そう言う割にケイは普通じゃん」

「最強の幼馴染フィルター装備ですから」

とニヤニヤと笑っていると

「ふたりとも良いコンビだよな。でも、ボクの事も忘れないでほしいね」

「おぉ雄二忘れてなんかないぞ。我が親友よ。」

「真由美にあざといとか言ってるけど、ケイもいいかげんあざといよな」

「えぇ、そうかぁこんくらい普通だろ普通」


「あぁそこの煩い3人組、朝のSHL始めるから、そろそろ黙って着席しろよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る