タイトル未定

景空

第1話

 「おー、2分03秒。さすがのおまえも受験明けじゃ2分切れないかぁ」

「京先輩、勘弁してくださいよ。半年以上まともに走ってないんですから。それに高校入学初のタイムトライアルでこのタイムなら十分でしょ。オレを何か変なものと勘違いしてませんかぁ」

「いやぁ、おまえが初めて800m走った時のこと思いだしてなぁ」

「ありゃ小谷野先生が酷かっただけでしょw。普通公式大会の前日に言いますか?wしかもオレの所属は野球部だったんですよ」


800mとの出会いは突然だった。それは中学1年の秋。

「おい、ケイ。明日競技場に9時集合だからな」

「は?小谷野先生何言ってるんですか?」

「うん、おまえ明日の市内大会800mにエントリーしてあるから」

「……」

流石にオレもこの言葉には、じとりと小谷野先生を睨んだ。

この小谷野先生はこの年赴任して来て陸上部顧問になったというか

自分で陸上部を設立し顧問になったという陸上バカ教師だ。

いい人なんだが、ちょっとこういうところに残念感のある先生である。

たしかにオレは足の速さにはある程度の自信はあった。

でもそれは、あくまで一般的な運動部としてのこと。

競技としての陸上なんて分かるもんじゃないのだ

いや、確かに当時設立直後だった陸上部の連中には、何やっても負けるつもりは無かったが……

それにしてもなぁ


翌日

「あれ?お前らなんだ?」

「おぉケイお前もか?」

「ひょっとして小谷野先生……」

「オレは3000m」

苦笑いをしているのはオレの幼馴染の森川雄二と森川真由美の双子。

「で、真由美、おまえは何にエントリーされてたんだ?」

「200mだって」

「オレは800mだってさ。まったく素人3人を直前エントリーとか何考えてんだ、あのひと」

頭を抱えるオレたちだったのだが……


『男子3000m3位。森川雄二選手』


『女子200m1位。森川真由美選手』


『男子800m2位、伊藤景選手』


マジか……。


「いやぁ、おまえら幼馴染3人組の足の速さは知ってたつもりだったけど。まさか3人揃って上位入賞とはなぁ」

「小谷野先生。そろそろ目的を教えてくれてもいいんじゃないですか?」

じっとりした目つきで小谷野先生を睨む俺たち3人に

「あはは、いやそのな。設立直後とはいえ、結構無理やりに作ったんで市内大会くらいの賞状が1、2枚取れないとヤバくてな」

「まぁそんなことだとは思いましたけどねぇ。これでオレ達が下位に沈んだらどうするつもりだったんですか。せめて1ヶ月くらい前に声掛けてくれれば、ペースとか作れたのに」

そう短距離の真由美はともかくオレと雄二は初めての距離でペースなど分かるわけも無く、とりあえずトップグループについていっただけで自分のペースも戦略もなにもなかったのだ

これが俺たち幼馴染3人組の陸上競技との出会いだった。




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これ一部実話です。

O先生、前日に告知とかもうやってないでしょうね。いくら地方都市の市内大会とはいっても前日に言われて練習もなしで入賞さらっていくとか。

周囲の選手たちの気持ちも考えてくださいよ

あ、ちなみにこの小説はスポ根ではないです。てかそもそも運動競技は主題にするつもりないですよぉw

たんなる主人公たちの紹介ですね。

本編は次回から

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