堂々巡り

涼森巳王(東堂薫)



 最初はよくある都市伝説だと思っていた。


 そこは遠野物語で有名な東北のとある地域だ。

 観光地から、やや離れた山のなかに、古びた一軒の旅館がある。


「座敷わらしが出るんだって。見に行こうよ」と、最初に言いだしたのは……はたして誰だったのだろうか?


 郷里が同じ幼なじみの四人。

 純夜じゅんや竜児りゅうじ美野里みのり円華まどか


 純夜が三人と会うのは大学に入ってから二度めだ。去年の夏休みに旅行して以来である。


 中学からの仲よしグループで、高校が別々になってからも、よくいっしょに集まって遊んだ。大学に入って会う機会もへったが、こうして、たまに都合をあわせて旅行する。


 去年はバイト代をためて、熊本へ行った。ほんとは沖縄へ行きたいと女子二人はさわいだが、そこまで旅費を貯金することができなかった。

 でも、明るい色の海は充分、南国の香りがして美しかった。


 いや、今、問題なのは、そこではない。

 ここに四人がいるという事実だ。


 なぜ、こんなことになったのだろうと、純夜は考える。


 そもそもの事の起こりは……?

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