昔語り

彩本珠莉

この世に私というモノが顕現した瞬間 

第1話 序章と言う名の私というモノが現れた話

昭和45年10月23日、私はこの世に生を受けた。

出産予定日より1週間近く早く産まれたらしい。

全身真紫でチアノーゼを起こし、即検査室送りになったとか。

どういう検査なのかわからないが、歩けば無問題。歩かなければ血液交換という事だったらしい。

急な出産にもかかわらず付き添った母方の祖母は「あんなに小さいのに可哀想だ」と泣いたらしい。

仕事が終わり駆けつけた父もその場には居たとか。


医師に押され私は歩いた。


全身の血液交換は必要なくなった。

その後どうなったのかは誰も教えてはくれなかったが、普通に問題ない赤子と同じように保育室に戻ったのではないだろうか?


身長46㎝ 体重2800g 頭囲29.5㎝  胸囲29㎝

埼玉県熊谷市河原町2-77番地 佐久間医院 医師 佐久間薫


私の臍の緒の入った木箱にはこのように書かれている。

私への生まれて最初のプレゼントだ。

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