[短編(市場)]幻想と現……?

 肌を刺すような感覚はどんどんと強くなってきて、同時に心が突然、ざわめく。

 なんだ、この感覚は。思わず構えを正して、どこからのものなのか、ゆっくりと伺う。どうやら仲間も感じているのか、一戦終えたというのに落ち着きがない。

 まだ、終わっていないのだ。

 そう確信を得たと同時に、先ほど倒れた司祭の身体から、ぶわりと黒い靄が溢れだす。洪水のようにあたりに満ちていったそれは……


「っていう話なんだけど」

 朗読を区切り、残り少ない開いたままの本をテーブルに置いて、

「身体から靄が出るって、どうしたらできると思う?」

 話がある、と身構えていた彼に手渡されたのは、そんな幻想に問う一句だった。

「どう考えても魔法だろ? なんで僕に聞くのさ」

 彼女と対面する彼は、それはもう暇そうに話を聞いていて、そして分かるはずがない、と一蹴する。

「この後、魔神が出てきて本当の決戦になるんだけど、どうやってこいつが出てきたのか気になってるのよねぇ」

 わりと真面目に悩む素振りを見せる彼女に呆れてものが言えないのは、彼に限ったことではないだろう。

「ファンタジー小説なんでしょ? 考えるだけ野暮だよ」

 あくまで空想、実現できるわけがない。この本は、つい先日刊行された人気の一冊で、興味本位で彼女も購入したのだが作者もそんなことまでは考えているまい。

「というか、実現できてどうするのさ? 変なこと考えてる?」

 この問いかけもまた、興味本位。

「対象を操る、なんて魔法があったら、危険じゃない? 一応、実現できるか、考えておいたほうがこれからのためにならないかしら?」

 どこか納得のいった彼は、僕にはふるなよ、と強く言ってから、まだ悩み続ける彼女の姿を眺めていた。仮にできていたとしても、空気から身体を作り出すなんてそうそう、できるはずもないだろう、と、いつもと違う彼女の様子を。


◆◆◆◆


 あれ、一昨日って投稿しませんでしたっけ? まぁいいや。


 空想科学本って今もあるんですかねぇ? 作品のやってることを実現するなら、というやつですね。

 その考え方をファンタジーでやってみたらどうなるんでしょうか? 魔法とかそういうのがあるところの、ファンタジーは、一体どんなものになるのでしょう。

 ファンタジーの、ファンタジー。これをテーマにしてみても面白いものが作れそうですが、どのあたりがダブルファンタジーなのか、は気になるところですね。

 

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