[短編(市場)]冷製スープ

 いつものように食事をして、ふと顔をしかめる紅竜が一人。

 相対するは、同じく紅竜。しかしそちらは体格も背丈も大きく、衣服などは身につけず、がつがつと肉を飲み込んでいる。

 対照的なのは、体格だけではない。目の前にしている食事もだった。

 料理、とは言えないものを平気で平らげるいかつい方に対し、衣服を身につけた方にはしっかりとした料理がテーブルに並んでいる。

「どうした、そんな顔して」

 ふと手を止めた大きい方。

「スープ、冷たいなぁって」

 冷めてるのか、と尋ねるも、冷ましてある、と返す。

「食器に、水滴ついてるくらいには、冷たいってこと。びっくりした」

 よくよく見れば、乗せてあった皿には小さな湖が。

「そんなもの出すのか、ここは。俺が言いつけてやる」

 大きい方が、すうと空気を大きく吸い込んだところで、やめて、と小さい方。アリアももうすぐ戻ってくるだろうから、と落ち着かせる。

「スープだからって注文したけど、こういうのもあるのねぇ。多分、芋……?」

 改めて口をつける彼女のことをじろじろと眺める彼は、再び粗暴な食事を再開した。


◆◆◆◆


 味噌汁の冷製ってないんですかね? こう、暑くならないような。夏になると熱い味噌汁がきつくてですね……。


 冷製スープって飲んだことありますか? よくあるのはコーンとじゃがいもだと思うのですが、熱いのとは味付けが違うんですよね。

 冷めていてもしっかりと味覚を刺激するよう、塩味が濃いめで、あと食材の塊を感じます。


 で、じゃあ味噌汁の冷製って?

 よくよく考えたら豚汁とか、肉のないものなら冷たくても普通にいただけるんですよね。いや、スープ全般そうなのか?

 具材はわかめに南瓜に……大根もいいですね、大根おろしとかは冷たいのが鉄板ですし。作ってみたら売れませんかねぇ。冷製味噌スープ、ご賞味あれって。

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