[ネタ]天におわすは
この世界は、神が創られた。
神には弟がおり、眩しすぎる兄に対し、弟は穏やかな性格であった。
土から水が生まれ、流れて貯まると、そこに海ができた。だが、兄弟は味気ないからと、色々なものを創り始めた。
それが人であり、生物である。
生物たちは常に創世神に見守られており、その庇護の中で生活しているのである。生物が死ねば、神は新たな依り代を用意してくれる。
この世界は、そうして動いているのです。
と、拍手の沸き起こる会場にて、いかにも部外者な装いをした青年が一礼して教壇から立ち退いた。
文化勉強会、という名の、何か。
誘われてきたものの、魔法が全盛期のこの時代に、そんな話を誰が信じるのか。いや、目の前にいたわ。この拍手の主が。
そんな万能な神様がいるなら、魔法を使って数年前の大災害をなかったことにしてくれれば、信じてやったのにな、と口を尖らせる。
◆◆◆◆
そういえば、現実に月と太陽にまつわる神話というか、話ってそれなりにあるにも関わらず、ファンタジーものではそういった話って聞きませんよね。
あるとしても、神様が奇跡を起こして災厄を封じた、とか。
太陽が、月が神秘的なもので、それが神の化身である。毎日上っては沈む、不死の象徴にもなるこれらが、なぜ物語に織り込まれることがないのでしょうか?
考えられるのは、その神話の真実が解き明かされてしまったときに問題が起こるから、だと思います。
昔話のある物語は、その逸話の真実を明らかにして、だからどうなのだ、という方向に持っていかねばなりません。
じゃあ、太陽が世界を創った神様である、として、神を恨む主人公がこれを破壊する、なんてことをしたら?
規模感はともかく、太陽がなくなれば世界どころか宇宙は極寒にさらされ、主人公以外がとばっちりをうけるんですよね。なら月だったらいいのか、と言えば、物理的な破壊によって地表が隕石にさらされるなんてことも。
だからそういった、神話には神と人間、ひいては魔物がどうこうとかの話にした方が、結末が締めやすいんですね。
でも、太陽を信仰するような何かは、どんな世界にしろあったと思いますよ。手の届かない天におわす太陽様が信仰の対象になっていなければ、天という異界に天国がある、なんていう考えは生まれないのですから。
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