[日記]動けば動物、ならば

 恐竜、と呼ばれるものがいる。

 太古に、かつて存在していたと呼ばれているでっかいやつらだが、それが、ショッピングモールの真ん中にいる。

 とはいえ、もちろん偽物だが。某映画のキャンペーンで設置しているらしい。


 一定時間を置いて、首を、尻尾を小さく振り、どこからかギャオー、と声が聞こえる。どこでも聞けそうな、聞きなれた音である。

 して、この大きさだとこんな音を出せたのだろうか?

 体高150程度、体長は200くらいか。基本的に生物は、身体が大きいと声は低くなるらしい。そうなると、ゴゴゴゴ、という音を発していたんじゃないかな、と思い至る。

 首も太いのは、補食したものを嚥下するため。気道に入れば命も危うい食という行為に対し、鳴くということは、当時、どれだけ重要だったのだろうか。

 求愛に音を使う生き物は少なくない。視覚に頼りきったものであることも珍しくない。その他の感覚が用いられることはそうそうない。

 おそらく、外界に接している感覚器官である、ということはなべて同じだが、より外の情報を得られるのはこの二つだけだからだろう。触れるほど近づかなくてよいのだ。


 ならば恐竜は求愛したのだろうか? 近縁の爬虫類でもするのだから、したのだろう。ただ、手段は大きく違っていた可能性は大いにある。


 あくまでも、模造品を見て考えたことではあるが、どうだったのだろう。全くもって、確認する方法などはない。

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